火災保険金の申請はすべての人が行うべきことだといえます。火災保険料を支払うだけでなく、台風(風災)や落雷、雪などの自然災害を受けた場合はあらゆる人で火災保険金を受け取る権利があります。

ただ、火災保険の利用で気を付けなければいけないのが詐欺業者の存在です。実際のところ、火災保険の申請代行業者は詐欺であることが圧倒的に多いです。また、こうした詐欺業者に関係した事件によって逮捕された例もたくさん存在します。

どのようにすれば詐欺業者を避け、優良業者に依頼することができるのでしょうか。このためには、詐欺の手口を理解する必要があります。

詐欺を回避しつつ、高額な火災保険金を手にするには正しい手順があります。どのようにすればいいのかについて、詳しく解説していきます。

火災保険の申請代行で詐欺業者が多い

いますぐ高額なお金を労力なく手にできる方法が存在します。それが火災保険金の申請です。しかも怪しい手法ではなく、真っ当なやり方になります。

ただ高額なお金が出るため、この仕組みを利用した詐欺業者が非常に多いのも事実です。実際のところ、年間で1,000件以上の火災保険金に関わる詐欺被害が発生しています。以下は国の機関(独立行政法人)が発表している警告資料の一部です。

出典:独立行政法人国民生活センター

火災保険を利用することで高額なお金を手にすることができ、このお金を利用してリフォーム工事をしたり、他の用途に利用できたりするのは本当です。ただ、詐欺業者に引っかかってはいけないというわけです。

点検商法や工事無料チラシでアプローチしてくる

なお、こうした詐欺業者の特徴は決まっています。それは、業者側から訪問やチラシなどによってアプローチしてくるパターンです。主に以下の2つのやり方があります。

  • 点検商法
  • 工事無料のチラシ

点検商法はわりと有名な方法ですが、「不具合があるかもしれないので無料で家を点検します」と訪問してくるやり方です。

日本の家やマンションでは、必ず何かしらの不具合箇所が存在します。毎年のように大型の台風が夏にやってくるからです。だからこそ高額な火災保険の請求が可能なのですが、例えば以下のような雨どいのゆがみであっても保険金申請が可能です。

そこで、こうした損傷を含めて火災保険で申請可能な場所を発見した後、「屋根や雨どいの損傷が激しい」「いますぐ工事をしたほうがいい」と言ってきます。実際には急ぐ必要がまったくないにも関わらず、工事することを要求してくるのです。

同じように、「0円でリフォームできる!」というチラシを入れる業者もたくさん見受けられます。ただ、こうした業者を通して火災保険金の請求をすると、後でトラブルに巻き込まれるというわけです。

保険金請求と工事がセットの場合は確実に詐欺

これらの詐欺業者には共通点があります。それは、多くのケースで「保険金請求と工事がセットになっている」ことです。

このようにしている理由は、手数料の二重取りが可能だからです。火災保険の請求代行をすることによって、成果報酬で手数料を得ることができます。また工事の契約をさせることによって、工事料金のうち10~15%の手数料を工事業者から徴収することができます。こうして、多額の手数料を受け取れます。

ただ実際には、損害保険会社から支給された火災保険金をどのように使うのかはあなたの自由です。極端な話、受け取った火災保険金を旅行代や資格取得代に回しても何も問題ありません。それにも関わらず、修繕工事を無理強いさせようとするのは明らかにおかしいといえます。

・思ったほど保険金が下りず、断ると違約金が発生する

またこうした詐欺業者は保険金を下ろさせるだけでなく、工事の手数料をもらうことも考えているため、思ったほど保険金が下りないことはよくあります。

火災保険金を利用して保険金を得るためには、実際の工事見積書を提示しなければいけません。以下は火災保険の請求をしたときの実際の見積書ですが、こうした書類を損害保険会社に提出するのです。

ただ詐欺業者が作る見積書だと書類上の不備が多いため、結果として思ったほど保険金が下りないことがよくあります。

しかし、保険金が考えていたほど多くは下りないからといって工事を断ると、高額な違約金が発生するようになります。交わした契約書の中に、工事の途中解約に関する高額な違約金の記載がこっそりと盛り込まれているというわけです。

つまり工事を実施しても断っても、あなたに大きな被害が生じるようになります。火災保険で大きなお金が支給されるのは本当だとしても、詐欺業者に引っかかるとむしろ高額なお金が出ていくようになります。

詐欺業者だと不正請求が多く、あなたが損する

また詐欺業者については、不正請求するケースも多いです。火災保険は台風や落雷、雪などの建物被害について保険金を請求しますが、本当は建物に何も問題ないにも関わらず、「わざと建物を破壊して損傷しているように見せかけ、高額な保険金を請求しようとする」ことがあるのです。

例えば屋根や雨どいを破損させたり、壁に軽い穴を開けたりするのは詐欺業者の代表的な方法です。

詐欺業者としては、わざとあなたの家やマンションを破壊することによって、「保険金請求の金額が上がる」「工事費用が増える」となって受け取れる手数料が増えます。ただ、あなたにとっては詐欺業者に支払うべき手数料が増え、本来は必要ない工事費用が増加するため大きく損をします。

また金銭的な負担が増えるだけでなく、間接的に特殊詐欺に加担していることになります。損害保険会社からお金をだまし取り、闇業者の資金源を増やしているため、社会的にも大きな問題です。

過去には逮捕例も多い

こうした火災保険の詐欺業者による事件は多いため、当然ながら過去には逮捕例がいくつも存在します。こうした詐欺業者の多くは特殊詐欺に関与しており、その一つの方法として火災保険の請求代行業者を装っています。

例えば以下は、東京で発生した別の詐欺事件を捜査した結果、「火災保険を利用した保険金詐欺のマニュアルが発見され、2万件ほどの契約者リストが存在した」というニュースです。

このように、詐欺グループ会社が闇社会での活動資金として火災保険金詐欺を広く実施していることが分かります。また保険金請求だけでなく、詐欺業者はリフォーム工事もセットにしているのが一般的です。

詐欺に引っかからないためには、こうした詐欺会社が実際にたくさん存在することをまずは認識しなければいけません。また、同時に闇組織が保険金詐欺をしている手口を学ぶ必要があります。

営業してくる業者は無視するべき

そうしたとき、大原則として「訪問やチラシを含めて、相手業者から営業してくるケースについては、すべて無視をする」ようにしましょう。

本来、優良業者であるほど既に多くの顧客をもっています。そのため自ら営業する必要はなく、当然ながら優良業者が訪問営業をしたり、チラシをばらまいたりすることはありません。詐欺をしようとしているからこそ、一件ずつ家を訪問して点検商法を仕掛けるのです。

そこで営業してくる業者を無視すれば、それだけで保険金詐欺に引っかかる確率を格段に減らせるようになります。

保険金請求だけの代行会社を利用するべき

そこで火災保険の請求を代行してもらうにしても、修復工事をセットにして勧めてくる業者ではなく、純粋に「火災保険金の請求代行だけ」をしている会社に依頼するようにしましょう。そうした会社であれば無理に工事の契約を強いることはなく、保険金請求だけを代行してくれます。

実際のところ、保険金請求は素人が行うと高確率で損をします。まず、どのような被災箇所について火災保険の請求が可能なのか分かっていない人がほとんどです。

また保険金請求では報告書の作成が必要であり、損害保険会社が納得する詳細なレポートを作成しなければいけません。例えば、以下は実際の報告書の一部です。

一見すると分かりにくいですが、こうした破損箇所であっても問題なく火災保険金の請求が可能になります。こうしたことを素人が完ぺきにまとめるのは現実的ではないため、通常は火災保険金の請求会社を利用します。

ただ火災保険金の請求をするにしても、詐欺会社を利用してはいけないというわけです。

工事・リフォームする場合はあなたが独自に探す

なお前述の通り、受け取った保険金についてはあなたの自由に利用できます。高額な保険金が下りた後、特に修復工事をしなかったとしても問題ありません。

一方で、保険金を利用して工事をしたいという人もいると思います。その場合、工事・リフォームのための業者はあなたが独自に見つけるようにしましょう。実際、優良業者であるほど保険金の申請代行のみしており、工事の請負まではしません。これは、利益相反になるからです。

火災保険の請求をするとき、下りる保険金の金額は基本的に「見積もりをした工事金額」と同額になります(加入プランによって減額や増額があります)。

そのため火災保険の請求会社としては、提携の工事業者から「通常価格の見積書を作ってもらう」のが一般的です。頑張って値引きした工事見積書だと、保険金の請求額が安くなってしまうからです。そのため、保険会社に提示するための工事見積書については、値引きなどはなく通常価格なのです。

一方であなたが実際に工事する場合については、当然ながらできるだけ安い工事価格のほうが最適です。つまり、保険金請求で利用する見積書の値段は通常価格で問題ないものの、実際の工事費用はいろんな値引きが含まれている見積書のほうが最適なのです。

一つの見積書を使って「高い保険金を請求する」「安い工事金額で施工する」の2つを同時に満たすことはできません。詐欺業者であれば、高い保険金を請求し、意味なく高い値段の工事をさせることで高い手数料を取ろうとします。ただ優良業者の場合、この矛盾に気づいているので保険金の請求だけに特化するのです。

そこで火災保険のお金を利用してリフォーム工事をしたい場合、依頼する工事会社はあなたが独自に見つけなければいけないことを理解しましょう。

火災保険の調査や修理で詐欺業者を避ける

台風による風災や水災などの被害を利用して火災保険を請求することで、工場に必要な費用を手にすることができるのは本当です。これによって、自己負担なしにo円にて工事できるのも本当です。

ただ、こうした制度を悪用する詐欺業者が存在することを理解しましょう。詐欺会社は火災保険の申請で「無料調査をする」と営業してきたり、チラシをまいたりしているのです。

詐欺業者は特徴があり、多くのケースで無理に工事契約しようとしてきます。ただ工事契約すると、思ったほど保険金が下りなかったり、工事解約によって違約金が発生したりします。またあなたは保険金詐欺に加担することになり、特殊詐欺グループの活動資金を増やすことにつながります。

そこで悪徳業者の手口を理解し、優良業者がどのようなビジネスをしているのか学ぶようにしましょう。火災保険金の申請をするにしても、必ず優良業者から保険金請求をする必要があります。