ハワイ不動産を所有している日本人はそれなりにたくさんいます。不動産投資目的であったり、移住・別荘保有のための所有であったり、人によって理由は異なりますがハワイで不動産を購入しているケースは珍しくありません。
ただ中には、こうしたハワイ不動産を売却したいと考える人がいます。米国不動産では出口(物件の売却)も重要になるため、どのような税金や費用の支払いが必要になるのか理解しておくことは非常に重要です。
アメリカ不動産に共通しますが、アメリカと日本の両方で税金支払いが必要になります。また、これにハワイ州独自に取り決めが加わるようになります。
そこでハワイ不動産を売却するとき、どのような税金が必要になっているのかを解説していきます。
もくじ
売却時に利益が出れば税金の支払いが必要
どのようなケースであっても、売却時に利益が出れば税金支払いが必要になります。これについては、どの国であっても共通だといえます。
特にアメリカは不動産価格が値上がりしており、これはハワイも同様です。以下はハワイでの住宅価格の推移です。
ハワイは観光に依存している州のため、どうしても他の州に比べるとリスクは高くなります。ただ、それでもアメリカ全土で住宅価格が上昇しているため、その影響もあってこのように不動産価格の値上がりがあるのです。
そのため長期でハワイ不動産を保有している場合、売却によってキャピタルゲイン(売却益)を得る人が大多数となります。要は、税金支払いが必要になるというわけです。
源泉徴収税(FIRPTA:連邦源泉税&州税)とハワイ譲渡税を支払う
このとき、物件売却と同時に支払うべき最初の税金として源泉徴収税があります。アメリカ政府は非居住者から確実に税金を徴収するため、高額な源泉徴収税を課しています。これに、ハワイ譲渡税が加わるようになります。
このときの源泉徴収税やハワイ譲渡税は売却金額について課せられますが、税率は以下のようになっています。
- 源泉徴収税・FIRPTA(連邦源泉税):売却価格の 15%
- 源泉徴収税・ハワイ州税:売却価格の 7.25%
- ハワイ譲渡税:売却価格の0.15~1.25%
重要なのは、「売却価格に対する税率」となります。つまり源泉徴収税については、「FIRPTA15% + ハワイ州税7.25% = 22.25%」の税率となります。もちろん源泉徴収税としての預り金であるため、確定申告によって後で返ってくるお金になります。ただ、それでもこうした高額な費用が必要になることは理解しましょう。
またハワイ譲渡税については、物件価格によって税率が変動するものの、売却価格の0.15~1.25%が税金になります。
確定申告でキャピタルゲイン税のみの支払いになる
ただ源泉徴収税については、あくまでも預り金になります。そのため前述のように確定申告すれば、払いすぎていた高額な源泉徴収税が還付されるようになります。ハワイ譲渡税については既に定められている税金なので取り戻すのは無理ですが、源泉徴収税については後で返ってくると考えましょう。
それでは現地で確定申告をするとして、キャピタルゲイン税はどのようになるのでしょうか。これについてはアメリカだと、キャピタルゲイン税は20%ほどの税率となります(1年超の保有でハワイ不動産を売却した場合)。
つまり売却益が出た場合、キャピタルゲインについて約20%の税金を納めれば問題なく、源泉徴収分との差額のお金については戻ってくるようになります。
売却時は「不動産売却額の22.25%」という異常なほど高額な預り金を支払うことになるものの、正しくキャピタルゲイン税を算出することで、高額なお金が還付されるというわけです。
減価償却費を足して売却益を出す
ただ、売却益を算出するときは減価償却費についても考慮しなければいけません。不動産を購入したあとには、長い年数をかけて減価償却していきます。アメリカでは、居住用だと建物の構造に関係なく一律で耐用年数27.5年なので、こうした期間をかけて減価償却を続けていくことになります。
例えば、以下のような状況だったとします。
- 購入時の金額:1億円
- 売却時の金額:1億2,000万円
- 減価償却費:4,000万円
この場合、「1億2,000万円(売却時) - 1億円(購入時) = 2,000万円」が売却益ではありません。そうではなく、以下のようになります。
- 1億2,000万円(売却時) - 1億円(購入時) + 4,000万円(減価償却費の合計) = 6,000万円
ハワイ不動産投資をしている人なら、その分だけアメリカ国内で支払う所得税を減価償却の分だけ減らせます。そのため売却時には、投資目的の人について減価償却費を上乗せしなければいけないのは当然です。ただ、移住・別荘などの目的で保有した人についても減価償却費を考慮しなければいけません。
古い家の場合、いくら不動産価格が上昇していくとはいっても、経年劣化するのは共通です。そこで、「経年劣化していった不動産が高い金額で売れた場合、その分を考慮した譲渡益を算出するべき」となっているのです。
なおハワイ不動産の場合、以下のようなコンドミニアムへ投資することになります。
ハワイだと1LDKでも5,000万円以上の金額になり、非常に値段が高いです。そのため減価償却費を考慮すると、キャピタルゲイン税はそれなりに高くなると考えましょう。
外国税額控除を考慮し、日本は税金なしとなる
その後、今度は日本へ税金を支払います。日本に住んでいない人(日本の非居住者)であり、ハワイへ完全移住している人だと関係ありませんが、「日本に住んでいる人が投資したり別荘保有していたりする海外不動産を売る」という場合、日本にも譲渡益に対する税金を支払わなければいけません。
ただこれについては、外国税額控除という制度によって二重課税を回避できます。日本とアメリカへキャピタルゲイン税を支払うとなると二重課税となり、違法状態になります。これを回避するのが外国税額控除です。
しかしハワイ不動産の場合、基本的に日本へ税金を支払うことはありません。個人だとアメリカで納税するキャピタルゲイン税のほうが高額になるからです。
前述の通り、米国不動産では建物の構造に限らず一律で耐用年数27.5年です。一方で日本だと、個人が海外不動産を購入する場合、コンドミニアム(鉄筋コンクリート造:RC造)では耐用年数47年です。つまり日本のほうが減価償却できる金額が少ないです。
また日本だとキャピタルゲインの税率(5年超の保有)は20%であり、アメリカでもキャピタルゲイン税は約20%です。ハワイ不動産だとアメリカのほうが減価償却費は高額になり、結果として米国で納税するキャピタルゲイン税のほうが多くなります。その結果、外国税額控除によって日本での納税はゼロになるというわけです。
売主は6%のエージェント費用を支払う
ただ、アメリカ不動産を売却するときは税金だけを考えればいいわけではありません。その他の費用支払いが発生することも理解しましょう。
米国不動産だと、購入時に発生する費用は非常に少ない金額で済みます。これは、売主が不動産会社への仲介手数料をすべて負担するようになっているからです。つまりハワイ不動産を売却するとき、あなたが買主分のエージェント費用を支払わなければいけません。
このとき支払う不動産会社への仲介手数料としては6%ほどになります。買主3%、売主3%の合計6%がエージェント費用になると考えましょう。
物件の売買価格に対する6%であるため、それなりに高額な金額になってしまうのが不動産会社への支払い費用になります。ハワイ譲渡税よりも高額な費用負担が不動産会社へのエージェント費用だと考えましょう。
エスクローなどの費用で1%が必要
これに加えて、アメリカ不動産の売却ではエスクローが発生します。日本だと馴染みのない制度ですが、買主はあなたに購入代金を支払うのではなく、エスクロー会社へ支払います。またお金の受け取りはエスクロー会社からになります。
こうした第三者を通すことで、不動産売買での不正がなくなります。そのため双方にとって、安心して不動産の売買ができる制度になっています。
エスクロー費用は買主と売主で負担しますが、売主はエスクロー会社へ1%ほどの費用を支払うことになると考えましょう。
・諸経費は譲渡益から差し引ける
なおこうした不動産会社への費用やエスクロー費用については、もちろん譲渡益から差し引けるようになります。経費としての支払いになるからです。
そのためアメリカへ支払うキャピタルゲイン税はそれなりに高くなりますが、諸経費の分だけ税金は少なくなると考えましょう。
アメリカ・ハワイで不動産を売るときの費用を学ぶ
ハワイに投資や移住・別荘の目的で不動産を保有するにしても、いつかは売却することになることが多いです。ハワイへの完全移住で日本に戻る気がないケースを除き、どこかの時点で家を売るのです。
そうしたとき、ハワイ不動産を売るときにどのような税金や費用が必要になるのか事前に学んでおくことは重要です。まとめると、ハワイ不動産の売却益での税率や手数料は以下のようになります。
- ハワイ譲渡税:売却価格の0.15~1.25%
- キャピタルゲイン税:譲渡益の20%(アメリカへの支払い)
- 不動産会社への仲介手数料:売却価格の6%
- エスクロー費用:売却価格の1%
こうした、それなりに高額の税金やその他の費用が必要になることを理解しましょう。不動産は売却するまでが重要なため、どのようなお金が必要になるのか理解しておくといいです。
最もリスクが低く、条件が良い海外不動産投資の国がアメリカです。「海外不動産投資=アメリカ不動産」というほどであり、これには人口増加や空室率の低さ、物件価格の値上がりなどが理由として挙げられます。
東南アジアの不動産だとインカムゲイン(賃料収入)の利益を得られず、節税効果もありません。一方で米国不動産では「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」「節税効果」の3つを得られるため、圧倒的に優れた利回りを実現できるようになります。
ただアメリカ不動産の中でも富裕層向けでリスクが低く、さらには将来の値上がりを期待できる物件へ投資しなければいけません。
これを実現するため、アメリカ現地にオフィスをもつ優良の大手エージェント会社を紹介します。「すべて日本語で完結できる」「融資を引き出せる」「物件購入後の管理や売却までサポートしてくれる」という会社であり、米国不動産投資での問題点をすべて解決できるようになっています。
なおリスクの高い物件は取り扱っていない会社であり、インカムゲイン(賃料収入)での利回りは7~8%ほどになります。ただ、こうした利回りにて米国不動産へ投資し、数年後の物件価格の値上がりを期待しつつ、さらには個人・法人による節税まで可能になっています。