投資をするとき、税金の効果まで考えなければいけません。そうしたとき海外不動産投資は節税効果が非常に高く、多くのお金を残せることで知られています。
そうしたとき、なぜ海外不動産投資で節税効果が高くなるのかについては、短期譲渡所得・長期譲渡所得の概念を理解しなければいけません。不動産は保有年数によって税率が異なるようになりますが、長期間について不動産を保有した後だと税金が安くなるというわけです。
それでは、海外不動産投資をするに当たってどのように短期譲渡所得・長期譲渡所得を考えればいいのでしょうか。
売却時の税金を理解するとき、海外の税制も考慮する必要があります。そこで、どのように考えてキャピタルゲイン税(売却時の税金)を考えればいいのか解説していきます。
もくじ
海外不動産投資でも、日本で譲渡所得に課税
日本の不動産であれば、譲渡所得が出れば課税されることが知られています。キャピタルゲイン税と呼ばれることもありますが、不動産売却時に利益が出ることで、その売却益に課税されるのです。
このとき重要なのは、海外不動産投資で発生した売却益については日本でも課税されることです。海外不動産投資だと一戸建て住宅やコンドミニアムへ投資しますが、日本居住者の場合は「日本国内で発生した利益に関わらず、海外で発生した利益についても課税する」という制度になっています。
なお、このとき海外不動産投資では、よほどダメな投資物件を購入しない限り、売却益が発生するようになります。これは、海外の不動産は値上がりが一般的だからです。
日本は不動産価格が下落していきますが、世界的に見ると通常、不動産価格は値上がりしていきます。新興国で値上がりするのは誰でも想像できますが、アメリカでも人口増によってずっと不動産価格が値上がりしています。
例えば、以下はアメリカでの不動産価格の推移です。
このように、上昇を続けています。日本だと不動産でキャピタルゲインを得ることはほぼないですが、海外不動産投資ではキャピタルゲインを得らえるのは当然だといえます。
5年超の保有だと税率は一律20%
そうしたとき、日本で納税する税金は「不動産の保有年数によって、売却益に課せられる税率がまったく異なる」ようになります。これが短期譲渡所得・長期譲渡所得となります。
不動産は生活に直結する非常に重要なものであるものの、短期間の所有ですぐに転売することを考える人が多くなると、不動産価格が上昇します。そうして賃貸物件を借りるにしても、新たに家を建てるにしても高額なお金が必要になります。こうした事態を避けるため、短期譲渡所得については税率を高くして短期の転売を抑制しています。
それでは短期譲渡所得・長期譲渡所得でいくらの税率になるかというと、以下のようになります。
- 短期譲渡所得(5年以下で売却):税率39%
- 長期譲渡所得(5年超で売却):税率20%
国内不動産であっても、海外不動産であっても、保有年数に応じて譲渡所得に課せられる税率が「保有して5年超かどうか」で倍ほど違ってくると考えましょう。
大幅な節税になる理由が長期譲渡所得
なお、海外不動産投資は一般的に節税になるといわれていますが、大幅な節税になる理由が長期譲渡所得になります。長期譲渡所得であれば、一律で税率20%で問題ないことが節税になる理由です。
譲渡所得を計算する場合、注意点として過去に発生した減価償却費を計上します。例えば、以下のような状況だったとします。
- 不動産の購入費用:5,000万円
- 不動産の売却金額:6,000万円
- 減価償却費の累計:3,000万円
このとき、多くの人は「6,000万円(売却金額) - 5,000万円(購入金額) = 1,000万円」が譲渡所得だと考えます。ただ実際には違い、以下のようになります。
- 6,000万円(売却金額) - 5,000万円(購入金額) + 3,000万円(減価償却費の合計) = 4,000万円
過去に発生した減価償却費を売却益に含めるのであれば、節税にならないのではと思ってしまいます。ただ個人が不動産へ投資して減価償却費を計上する場合、富裕層(高額納税者)では所得税&住民税は最高税率55%です。これに社会保険料(税率30%)まで考慮すると、税率はあり得ないほど高くなります。
一方で不動産を5年超で売却する場合、減価償却部分に課せられる税率は一律で20%です。そのため、差額税率の分だけ大幅に節税できるというわけです。
アメリカ不動産のみ可能な税金対策
ちなみに海外不動産投資で節税可能とはいっても、これはアメリカ不動産に限定されるようになります。その他の国だと、節税することはできません。アメリカの場合、以下のような木造の一戸建て住宅へ投資することになるからです。
東南アジアでは投資先がコンドミニアムになり、ヨーロッパではレンガ造の家になります。それぞれの耐用年数(減価償却期間)は以下の通りです。
- 鉄筋コンクリート造(RC):47年
- れんが造・石造・ブロック造:38年
- 木造:22年
このように、コンドミニアム(鉄筋コンクリート造)やれんがの家だと非常に耐用年数が長いことが分かります。
一方、法人であれば築22年以上の木造物件へ投資することで「4年の減価償却期間」になります。また個人だと4年償却は無理ですが、細かく構築物個々の減価償却期間を分けることで「10年ほどで大部分を減価償却できる」ようになっています。そのため、木造住宅でなければ節税効果を得られません。
また日本も木造住宅がメインですが、日本は土地価格が異常に高いです。一方でアメリカは国土が低く、土地が安くて建物の値段が高くなります。減価償却できるのは建物部分だけであり、土地は減価償却できません。そのため、「海外不動産投資の節税=米国不動産」になるのです。
海外も国によって短期譲渡所得・長期譲渡所得がある
なお短期譲渡所得・長期譲渡所得を考えるとき、海外についても同じような概念があることを理解しましょう。「不動産の短期転売による、不動産価格の無意味な高騰」を防ごうとするのはどの国も同じなのです。
特に海外不動産投資だと、譲渡益に対する税金を日本で支払う前に、現地の国でキャピタルゲイン税を支払わなければいけません。そのため、現地の国でも短期譲渡所得や長期譲渡職を考えなければいけないのです。
ただこれについては、日本に住みながら海外不動産投資をする場合、そこまで考える必要はありません。日本の「5年超」という判定期間は海外の税制に比べて非常に長いからです。
例えばアメリカ不動産であれば、短期譲渡所得の判定では「1年超かどうか」になります。つまり1年以上を保有していれば長期譲渡所得になり、20%ほどの長期譲渡所得の税率で問題ありません。海外の長期・短期の判定基準というのは、一般的に短い傾向にあります。
売却益は外国税額控除で相殺する
なおキャピタルゲイン税については海外(現地の国)と日本の両方で課税されますが、このとき二重課税について心配する必要はありません。
不動産売買の利益について、例えば「アメリカで20%」「日本で20%」を支払っていると、合計で40%となります。ただ、これだと二重課税になっていて違法の状態です。これを是正するため、外国税額控除を利用することになります。
外国税額控除を使えば、海外で支払った税金分を相殺できます。例えば、以下のような状況だったとします。
- アメリカの納税額:700万円
- 日本の納税額:1,000万円
この場合、日本での納税は差額の300万円だけで問題ありません。海外不動産では投資先の国と日本の両方で納税が必要になるため複雑ですが、外国税額控除によって二重課税の問題は解決されています。
長期譲渡所得で5年超の保有でないと意味がない
不動産投資を実践する場合、海外不動産投資では特別な理由がない限り、全員が5年超を保有することになります。実際には節税効果を加味するので7~10年ほどの所有になりますが、いずれにしても5年以内に不動産を売却する人はいません。
この理由が長期譲渡所得の適用になります。短期譲渡所得だと非常に税率が高く、キャピタルゲイン税として39%もの高額な税金を課せられてしまいます。いくら海外不動産で値上がりを期待できるとはいっても、これでは節税効果がほぼなく、売却益も薄まります。
そこで、税率が一律20%で問題ない5年超での売却を考えます。長期譲渡所得だと税率が低く、どれだけ利益が出ようが譲渡益の20%の税金で問題ありません。
なおアメリカでも東南アジアでも不動産価格の上昇を期待するため、キャピタルゲインを狙えます。このとき税率を抑えて利益を大きくするため、長期譲渡所得の関係で5年超の保有が必須になることは理解しましょう。
最もリスクが低く、条件が良い海外不動産投資の国がアメリカです。「海外不動産投資=アメリカ不動産」というほどであり、これには人口増加や空室率の低さ、物件価格の値上がりなどが理由として挙げられます。
東南アジアの不動産だとインカムゲイン(賃料収入)の利益を得られず、節税効果もありません。一方で米国不動産では「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」「節税効果」の3つを得られるため、圧倒的に優れた利回りを実現できるようになります。
ただアメリカ不動産の中でも富裕層向けでリスクが低く、さらには将来の値上がりを期待できる物件へ投資しなければいけません。
これを実現するため、アメリカ現地にオフィスをもつ優良の大手エージェント会社を紹介します。「すべて日本語で完結できる」「融資を引き出せる」「物件購入後の管理や売却までサポートしてくれる」という会社であり、米国不動産投資での問題点をすべて解決できるようになっています。
なおリスクの高い物件は取り扱っていない会社であり、インカムゲイン(賃料収入)での利回りは7~8%ほどになります。ただ、こうした利回りにて米国不動産へ投資し、数年後の物件価格の値上がりを期待しつつ、さらには個人・法人による節税まで可能になっています。