海外不動産投資では、最初に投資先の国を決めなければいけません。そうしたとき、候補の一つに上がるのがドイツです。
ヨーロッパの中でも、最も栄えている国がドイツです。イギリスでもフランスでもなく、ドイツが一番強い国力をもっているといえます。そうしたドイツで不動産を購入し、投資することで優れた利回りを目指すというものです。
ただ結論を先にいうと、そこまでドイツの不動産投資は魅力的ではありません。ドイツの状況は日本と似ており、国力が減っていく未来だからです。また、利回りも低めです。
この理由やドイツでの不動産投資事情について、実際のデータで解説しながら内情を見ていくようにします。
もくじ
日本と似たドイツの人口減少の事情
残念ながら、日本がこれから国際社会で力を付けていくことはありません。この理由として人口減少があります。日本は人口が減っていき、GDPが目減りしていくことが確実視されています。
これがアメリカやイギリスであれば、移民の受け入れを含めて人口増となります。出生率については日本と同じように低いものの、人口が増え続けているというわけです。
ただドイツだと、日本と同じように人口減となります。ヨーロッパなので移民を受け入れている分、日本よりは人口減少の度合いがマシであるものの、それでも人口が徐々に目減りしていき、国力が弱っていくとされています。
もちろん、こうした人口減は海外不動産投資を検討するとき、大きく影響するようになります。人口減は物件価格や空室リスクに直結するからです。
物件価格は停滞またはわずかな上昇
ただ物件価格については、他国の海外不動産ほどではないものの、ドイツ不動産は上昇しています。日本だと住宅価格はずっと下落していますが、ドイツはその点だと異なるというわけです。以下はドイツでの、実際の不動産価格の推移です。
出典:CEIC
このように、「不動産価格が停滞している」「少しずつ上昇している」のどちらかであることが分かります。長期的に不動産価格がずっと下落または停滞している日本に比べれば、同じように人口減があるとはいっても、ドイツ不動産はまだマシだといえます。
不動産価値の大幅な下落がないのはメリット
そもそも、日本とドイツでは住宅の様子がまったく異なります。日本だと台風が多く、さらには地震があるため、自然災害の多い国として知られています。そのため、家は木造住宅です。木造の一般住宅だからこそ地震に耐えられるのです。
一方でドイツでは地震が基本的にありません。そのためヨーロッパ諸国に共通しますが、こうした家では石やレンガ造りになります。以下のような感じです。
ドイツを含め、ヨーロッパでは築200年や築300年の家が普通にあります。しかもこうした不動産というのは、築年数が古くなるほどプレミアが付きます。つまり新築よりも、古い物件のほうが高額で取引されるようになるのです。
時間経過による値下がりを気にする必要がないのは、ドイツ不動産の利点だといえます。
ベルリンを含めて大都市が少なく、投資エリア選定は難しい
ただドイツの場合、大都市が非常に少ないです。ヨーロッパの中では人口が非常に多いといわれるドイツですが、特定の大都市に人がたくさん集まっているわけではなく、いろんな地域に散らばって人が住んでいるのです。
例えば、最も人口の多い首都ベルリンであっても人口は350万人ほどです。
参考までに、東京の人口は1,300万人を超えます。神奈川だと900万人以上です。千葉でも600万人以上です。このように考えると、いかにドイツ人がいろんな街に分散して住んでいるのか分かると思います。
そのため、ドイツの場合は投資場所の選定が非常に難しくなっています。海外不動産投資ではある程度の都市部にて投資をするのが大原則です。ただドイツだと、そもそも大きな都市がほぼなく、そういう意味で投資先の選定が難しくなるのです。
迷うならデュッセルドルフで日本人相手が候補
なお投資先のエリアで迷うのであれば、ドイツの中でもデュッセルドルフを選べば問題ありません。以下は実際のデュッセルドルフの街並みです。
なぜデュッセルドルフかというと、世界有数の日本人街があることで知られているからです。ヨーロッパで日本人街はあまり馴染みがないです。ただドイツのデュッセルドルフには日系企業が非常に多数進出しており、巨大な日本人コミュニティがあるのです。
ユーロ圏は国境がなく、通貨も同じであるため、ドイツに会社があればすべてのユーロ圏を相手にできます。ドイツからフランスやオランダに行くにしても、日本でいう「東京から福岡へ行く」のと同じくらい気楽です。そこで、ヨーロッパの拠点としてデュッセルドルフに会社を置くというわけです。
デュッセルドルフの人口自体は多いわけではなく、人口60万人ほどの地方都市です。ただこうした街であれば、日本人相手に不動産投資をして住まわせることができます。
通常、欧米諸国で投資をするときは現地の人を対象に不動産投資をするのが大原則です。ただドイツの場合、デュッセルドルフであれば例外的に日本人をターゲットに不動産投資できるため、日本人の住環境を知っている私たちは非常に有利だといえます。
例えば「トイレにウォシュレットを付ける」「バスタブを付ける」などを実施するだけでも、簡単に日本人に選んでもらえます。また日本人をターゲットにしている不動産会社もたくさんあるため、営業もやりやすいといえます。
そこまでおすすめでないのがドイツ
このような特徴を有するのがドイツです。外国人であっても土地を所有でき、一戸建て住宅からマンションまで自由に投資できます。また物件価格の下落は基本的にありません。
ただ海外不動産投資を考えたとき、ドイツ不動産の購入はそこまでおすすめできません。おさらいにはなりますが、この理由としては以下があります。
- 人口が減少する(空室リスクが高まる)
- 投資エリアの選定が難しい
- 他の国のほうが、条件が良い
不動産投資でのリスクを考えるとき、空室リスクは非常に重要となります。そうしたとき海外不動産投資では10年などある程度の長い年数をみる必要があるため、人口減少によって賃貸需要が増えないことは日本と同様にリスクになります。
またベルリン以外の都市だと人口の多いエリアが少なく、日本人投資家にとって人気なデュッセルドルフでも、前述の通り人口は60万人ほどになります。
しかも、同じように海外不動産投資をするのであれば、インカムゲイン(賃料収入)やキャピタルゲイン(不動産価格の値上がり)、さらには節税効果を考えるとアメリカ不動産へ投資するほうが圧倒的に優れています。つまり、わざわざドイツを選ぶ意味がないといえます。
投資時の表面利回りは3.5%ほど
ドイツが投資に値しないのは、他の理由に「利回りの低さ」があります。ドイツで投資をする場合、表面利回りは3.5%ほどになると知られています。
例えば、以下はイギリスのGlobal Property Guideが提供しているドイツ不動産での都市ごとの表面利回りです。
この内容によると、「ベルリン:表面利回り3.5%」「ミュンヘン:表面利回り3.5%」「フランクフルト:表面利回り3.7%」になっていることが分かります。このように、非常に低い利回りであることが分かります。
ここに税金や管理会社への手数料などが加わるため、実質利回りはさらに低くなり、実質利回りは2%ほどになると考えましょう。
アメリカ不動産でもイギリス不動産でも、実質利回りは4%ほどが可能です。それに比べると、かなり見劣りする内容となっています。
ドイツ不動産の税金・費用はどれくらいか
また利回りを考えるとき、現地の税制がどのようになっているのか理解することも重要です。税金は利回りに直結するからです。また、同じように不動産会社への手数料支払いも必要です。
このとき、以下のような税金・費用が必要になると考えましょう。
【物件の購入時】
ドイツでの物件購入時に高額な費用が発生するようになります。税金と不動産会社への仲介手数料により、それなりに海外不動産投資でのお金が跳ね上がるわけですが、ドイツの場合は以下のような税金や費用となります。
- 不動産取得税:物件価格の5~6%ほど
- 不動産会社への仲介手数料:物件価格の3%
ドイツの税制はわりと複雑であり、州によって税率が異なります。ただ、ザックリと物件価格の5~6%が税金として取られると考えましょう。
これに加えて、不動産会社への仲介手数料3%が必要になります。そのため、物件購入時はそれなりに高額なお金が上乗せされるようになります。
【物件の保有時:固定資産税】
購入時に発生する税金に対して、ドイツでは固定資産税は安くなっています。固定資産税に当たるものについて、ドイツでは不動産税といいますが、不動産税は年間で物件価値の0.3%ほどになります。
あとは所得税(その他の経費と相殺させるとほぼゼロ)や不動産管理会社への手数料になりますが、物件保有時の経費支払いは少なくて済みます。
【物件の売却時:キャピタルゲイン税はゼロ】
なおドイツ不動産の優れている点として、物件を10年以上保有することでキャピタルゲインがゼロになることがあげられます。10年より前の売却ではキャピタルゲイン税が発生するものの、10年以上の保有なら売却益を課せられないのです。
もちろん利益が出た場合、日本でキャピタルゲイン税20%を支払う必要があります。ただドイツについては、そうしたキャピタルゲイン税がないというわけです。ドイツについて、こうした税金の支払いがないのは非常に優れているといえます。
ドイツ不動産を購入するときの特徴を理解する
これから海外不動産投資を考えるとき、ヨーロッパで最も大きな力をもつドイツが候補に入ります。ただドイツ不動産は海外不動産投資の中では取り扱いが難しく、プロ向けであることを理解しましょう。以下のような状況だからです。
- 人口が減少する国
- 人口の多い都市がほぼない
- 日本人の多いデュッセルドルフでも人口が約60万人
- 利回りが非常に低い
そのため、ドイツ不動産へ投資する意味があるかというと、正直ありません。ドイツよりも条件のいい国は他にあるため、そちらで投資すればいいです。
どの国へ投資するのかについて、海外不動産投資では最初に決めなければいけません。そうしたとき、ドイツを排除するのが正しい選択だといえます。
最もリスクが低く、条件が良い海外不動産投資の国がアメリカです。「海外不動産投資=アメリカ不動産」というほどであり、これには人口増加や空室率の低さ、物件価格の値上がりなどが理由として挙げられます。
東南アジアの不動産だとインカムゲイン(賃料収入)の利益を得られず、節税効果もありません。一方で米国不動産では「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」「節税効果」の3つを得られるため、圧倒的に優れた利回りを実現できるようになります。
ただアメリカ不動産の中でも富裕層向けでリスクが低く、さらには将来の値上がりを期待できる物件へ投資しなければいけません。
これを実現するため、アメリカ現地にオフィスをもつ優良の大手エージェント会社を紹介します。「すべて日本語で完結できる」「融資を引き出せる」「物件購入後の管理や売却までサポートしてくれる」という会社であり、米国不動産投資での問題点をすべて解決できるようになっています。
なおリスクの高い物件は取り扱っていない会社であり、インカムゲイン(賃料収入)での利回りは7~8%ほどになります。ただ、こうした利回りにて米国不動産へ投資し、数年後の物件価格の値上がりを期待しつつ、さらには個人・法人による節税まで可能になっています。