東南アジアの中でも、非常に人口の多い国としてインドネシアが知られています。人口というのは、そのまま国力(GDP)に直結します。そのため人口が多く、さらには増え続けているとなると、不動産投資で有利だと容易に想像できます。
そこで海外不動産投資を検討するとき、インドネシアにて投資を考える人は多いです。そうしたとき、インドネシアの状況はどのようになっているのでしょうか。
海外不動産投資の中でも、インドネシアは圧倒的に投資が難しく、完全なるプロ向けの投資手法になります。少なくとも、素人が実践できるやり方ではないことを理解しましょう。これは、インドネシアで外国人に対する不動産投資の規制が厳しいからです。
それでは、インドネシア不動産投資は具体的にどのような現状になっているのでしょうか。投資を決める前に現状を理解する必要があるため、ここではインドネシアで海外不動産投資をするときの実情を解説していきます。
もくじ
非常に人口が多く、経済発展も著しいインドネシア
投資先を決めるとき、対象の国が今後において成長するかどうかは非常に重要になります。日本では人口減が確実といわれており、空室リスクが高く、物件価格の上昇も期待できませんが、海外不動産投資であればそうした心配がありません。
そうしたときインドネシアについては、新興国なので経済成長率が非常に高いです。以下は実際のインドネシアの経済成長率です。
出典:世界銀行
このように、毎年5~6%ほどの経済成長率となっています。
また人口は2億6,000万人以上であり、非常に人の多い国として知られています。もちろん、これからも人口は増加し続けていきます。
住宅価格は伸び続ける
こうした現状があるため、インドネシアでは住宅価格が伸び続けています。住宅への需要が増えれば、それに応じて価格が上昇するのは当然だといえます。
インドネシアの住宅価格の推移については、以下のようになっています。
出典:Bank Indonesia
このように2010年から2020年にかけて、不動産価格が非常に高くなっていることが分かります。経済成長による物価上昇と共に、不動産も値上がりしているというわけです。
インドネシアへ投資する場合、こうしたキャピタルゲイン(不動産の売却益)を大きく獲得できることが特徴となっています。
バリのヴィラは失敗する!ジャカルタへ投資するべき
それでは、このときどのようにインドネシアへの投資を考えればいいのでしょうか。このとき、バリ島のヴィラへ投資することを考える人がいます。以下はバリ島の様子ですが、こうしたリゾート地への投資というと、なんだか優れているように思ってしまいます。
ただ、確実に失敗するのでやめましょう。そもそも、ヴィラへ投資して誰から収入を得ることを考えているでしょうか。ヴィラに住み着き、家賃を毎月支払ってくれる人などいません。また観光客を相手にするにしても、安定的な収益は望めません。
さらにいうと、東南アジアでの投資は「コンドミニアムへ投資し、現地の外国人(駐在員)を住まわせる」のが王道になります。そうしたときヴィラを諦め、バリ島のコンドミニアムへ投資するにしても、駐在員がほぼいないので住んでくれる人がいません。
つまりバリ島の不動産投資案件は詐欺ばかりであり、確実に失敗が見えていることを理解しましょう。
そうではなく、東南アジアではその国一番の経済都市に投資するのが大原則です。そのためインドネシア不動産はジャカルタの一択になります。
ジャカルタの中でも南ジャカルタへ投資しましょう。南ジャカルタには日本人街で知られる「ブロックM」、高級商業エリアで日本人・欧米人に人気の「スナヤン」などの地区があります。一般的にインドネシアの駐在員はジャカルタ南部に多く住んでいると理解しましょう。
こうしたエリア感を理解していないと、海外不動産投資で失敗するのは当然です。そのため、投資エリアの知識は必須だといえます。
インドネシア投資は外国人だと所有権が付かない
しかし、ほかの東南アジアに比べるとインドネシア不動産への投資は非常に大変です。事実、インドネシア不動産へ投資している人はほとんど存在しません。この理由として、「外国人に対する不動産投資への厳しい規制」があげられます。
インドネシアで海外不動産投資を検討するにしても、外国人だと所有権を得ることができません。つまり、登記することであなたの不動産にすることができません。
要は、インドネシアの不動産では土地や建物を含め、外国人が所有しているケースはよほどのことがない限り存在せず、どの不動産もインドネシア人が保有していると考えましょう。
インドネシア投資で個人にて所有権を得られないことが、「インドネシアが海外不動産投資に向いておらず、ほとんどの人がインドネシア不動産を相手にしていない理由」となります。
個人に限らず、法人も事実上無理
ただ中には、「個人ではなく法人を立ち上げれば問題ない」と宣伝している業者もいます。ただ、こうした宣伝をする業者は詐欺であり、誇大広告によって顧客を集めようとしているといえます。
インドネシアでは100%外資にて法人を作ることができます。こうした法人を設立し、法人名義で不動産投資すれば、土地や建物を含めて問題なくインドネシア不動産へ投資できます。そのため、確かに理論上は海外不動産投資が可能です。
ただインドネシアでこうした100%外資の投資会社を設立するためには、資本金として100億ルピア(約8,000万円)が必要となり、そのうち25%の25億ルピア(約2,000万円)を現地の銀行へ実際に振込しなければいけません。
会社設立をするだけで2,000万円ほどの出費が必要になるため、これでは不動産投資どころではありません。そのため個人投資家がインドネシア不動産へ投資することを考えたとき、必然的に法人設立によるインドネシア不動産の購入も事実上無理だといえます。
リースホールドの土地になるプロ向けの投資
そのためインドネシアでフリーホールド(所有権)を得ることは諦めましょう。そうではなく、リースホールド(借地権)による不動産投資になります。
通常の投資だと、不動産を所有したうえで賃貸人を見つけるのが普通です。ただそうではなく、土地や建物を保有しているインドネシア人からリースホールドとして「不動産を借りる権利」を得たうえで、対象の不動産へ居住する人を見つけるのです。
リースホールドのため、権利を購入した後も借地代としてお金の支払いは続いていきます。またこのときの投資法には、以下の2つの方法があります。
- リースホールドの物件を購入し、そこへ人を住まわせる
- リースホールドの土地を購入し、建物を建てて人を住まわせる
外国でリースホールドの土地を購入して自ら建物を建てるとなると高額なお金が必要ですし、かなりレベルの高い手法となります。そこで通常はリースホールドの物件を購入して人を住まわせ、賃料収入を得るのが一般的です。
いずれにしても外国人は規制が強く所有権を得ることができないため、わずかに出回っているリースホールドの物件購入を考える必要があります。
表面利回りは5.2~7.7%ほど
こうした外国人への不動産投資の規制が厳しく、投資するにしても数少ないリースホールドの物件であることから、完全なるプロ向けになります。そのため、自分ですべて何とか対応できる人のみがインドネシア不動産投資の対象になります。
少なくとも、素人向けの海外不動産投資である「お金だけ出せば儲かるアメリカ不動産」などとは比べものにならないほどハードルが高いことは理解しましょう。
それでは利回りがいいかというと、必ずしもそういうわけではありません。ジャカルタ不動産へ投資する場合、表面利回りは5.2~7.7%ほどになっています。この利回りについては、イギリスの不動産調査会社が以下のように公表しています。
出典:GlobalPropertyGuide
ここから税金やその他の経費を差し引くと、実質利回りは3~4%ほどに低下します。ちなみにインドネシアは他国に比べて税金が高いため、この点についてもマイナスとなります。
なお実質利回りが3~4%なのであれば、他の国へ投資すれば同じ利回りが実現可能です。また所有権ありの状態で不動産投資できます。そのため、よほど優れた利回りの良い物件を自分で見つけ出さない限り、インドネシア不動産へ投資する意味はありません。
キャピタルゲインは期待できない
また同時にキャピタルゲインを得ることもほぼできないと考えましょう。これは、リースホールドの物件へ投資することになるからです。
前述の通りインドネシアは人口増加が激しく、経済は成長しており、物件価格も上昇しています。ただ、こうした不動産価格の値上がり益を得られるのは「自ら不動産を所有しているから」となります。不動産を所有せず、単に土地・建物を借りている状態ではキャピタルゲインをほぼ得られないというわけです。
東南アジアの不動産へ多くの人が投資する一番の理由は「キャピタルゲインを得られる」ことです。ただ、インドネシア不動産ではそうしたキャピタルゲインの獲得がないのです。
インドネシアではインカムゲイン(賃料収入)が普通程度であり、キャピタルゲイン(不動産の売却益)も期待できないため、正直なところ素人がインドネシア不動産へ投資する意味はゼロだといえます。
通過安での為替相場も大きな問題
考えるべきはそれだけではありません。為替レートも事前に考慮するべき重大な問題だといえます。インドネシアは新興国であり、通貨としての信用はありません。そのため、長期的に見ると通貨安に陥りやすいです。
例えば、以下はインドネシア・ルピアと日本円での過去10年の為替相場変動です。
このように長期的にみると、ずっと通貨安になっていることが分かります。そのため仮にインドネシア不動産への投資に成功したとしても、最終的な投資物件売却後に日本円へ換えるとき、通貨安(円高)になっているために手にできる日本円が非常に少なくなります。
新興国への海外不動産投資では投資物件だけでなく、投資対象国の通貨についても注意しなければいけません。そうしたとき、インドネシアは過去の歴史をみても通貨安のリスクが非常に高い国だといえます。
圧倒的な悪条件での投資がインドネシア不動産
東南アジアへ投資する場合、どの国へ投資するべきなのかを最初に見極めることになります。そうしたとき、インドネシア不動産へ投資できないか考える人は一定数います。
ただ残念ながら、完全なるプロ向けがインドネシア不動産です。素人が手を出すと、ジャカルタでもバリでも確実に失敗します。
- 所有権を得られない
- リースホールドの物件へ投資する
- 利回りが思ったほど高くない
- キャピタルゲインを期待できない
- 通貨安リスクが高い
このように、悪条件ばかり揃っているのがインドネシアです。このような現状であるなら、他の国を選ぶのが当然だといえます。
インドネシア現地で強いコネクションがあるなど、特別な理由がない限りはインドネシア不動産への投資はおすすめできません。勧めるとすれば詐欺業者くらいなので、こうした注意点を理解したうえで投資対象の国を選ぶようにしましょう。
最もリスクが低く、条件が良い海外不動産投資の国がアメリカです。「海外不動産投資=アメリカ不動産」というほどであり、これには人口増加や空室率の低さ、物件価格の値上がりなどが理由として挙げられます。
東南アジアの不動産だとインカムゲイン(賃料収入)の利益を得られず、節税効果もありません。一方で米国不動産では「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」「節税効果」の3つを得られるため、圧倒的に優れた利回りを実現できるようになります。
ただアメリカ不動産の中でも富裕層向けでリスクが低く、さらには将来の値上がりを期待できる物件へ投資しなければいけません。
これを実現するため、アメリカ現地にオフィスをもつ優良の大手エージェント会社を紹介します。「すべて日本語で完結できる」「融資を引き出せる」「物件購入後の管理や売却までサポートしてくれる」という会社であり、米国不動産投資での問題点をすべて解決できるようになっています。
なおリスクの高い物件は取り扱っていない会社であり、インカムゲイン(賃料収入)での利回りは7~8%ほどになります。ただ、こうした利回りにて米国不動産へ投資し、数年後の物件価格の値上がりを期待しつつ、さらには個人・法人による節税まで可能になっています。