個人の不動産投資家や法人経営者を含め、必ず問題になるのが高額な税金支払です。稼いでいる人であるほど、法人税や所得税が大きくなるためです。

このとき、大きなお金を活用した節税手法に海外不動産投資があります。日本の不動産に投資するよりも、海外のアメリカ不動産投資のほうが、圧倒的に節税効果が大きくなるのです。これは、日本と米国で土地や建物に対する評価が異なるからです。

海外不動産での節税というと、ほぼアメリカ不動産に限定されます。他の国でも問題ないですが節税にならないため、「海外不動産での節税=米国不動産への投資」と考えましょう。

それではなぜ、米国の海外不動産への投資が大きな節税効果を生むのでしょうか。この理由や節税スキーム、メリット・デメリットまで含めて解説していきます。

日本と同じ新築・中古の耐用年数が適用される海外不動産

不動産を含めた固定資産だと、購入したときに全額を損金計上できません。減価償却という方法によって、毎年少しずつ経費化していくことになります。

このとき、日本の不動産(建物)の法定耐用年数は以下のようになっています。

  • 鉄筋コンクリート(RC):47年
  • れんが造・石造・ブロック造:38年
  • 木造:22年

つまり、これだけの年月をかけて徐々に減価償却するようになっています。新築不動産の場合、減価償却期間は長くなると考えましょう。

ただ、不動産(建物)の節税では新築ではなく中古物件を購入するのが大原則です。新築では先に示した通り、非常に長い年月をかけて減価償却する必要があります。そのため、当初に大量の現金が出ていくにも関わらず毎年の経費計上額はわずかな金額になります。

例えば1億1,000万円(建物部分)の新築木造住宅を購入したとしても、毎年の経費額はわずか500万円です(定額法の場合)。

  • 1億1,000万円 ÷ 22年(耐用年数) = 500万円

そのため、新築不動産で節税はできません。そこで、中古の不動産を購入します。中古物件であれば、新築とは違って早めに損金計上が可能になります。例えば、築23年の木造不動産は耐用年数を既に超えているわけですが、この場合は4年かけて減価償却していきます。そのため、新築物件に比べて素早い損金化が可能です。

重要なのは、日本居住者であれば「日本不動産であっても、海外不動産であっても同じように減価償却できる」ことです。不動産の購入場所は関係なく、同じルールで減価償却が可能なので、中古物件を購入することで節税できるようになっているのです。

土地より建物が評価される海外不動産

このとき、なぜ節税では日本ではなく海外不動産が注目されるかというと、海外では建物価値が評価されるからです。特にアメリカは国土が広く、土地が腐るほどあります。そのため土地の値段は重要ではなく、建物が重視されるようになります。

ちなみにアメリカだと、土地代がほとんどなく建物にお金をかけられるため、以下のような豪華な家であっても土地を含めて3,000~4,000万円ほどで購入できます。

日本だと、土地の値段が非常に高額です。土地の費用が大部分であり、建物の費用は低くなっています。日本の場合、「土地の値段:建物の値段=8:2」ほどの割合になるのは、一般的によく見かけられます。

さらに問題なのは、土地の購入費用は経費にできないことです。土地という不動産は、何年が経過しても劣化しません。もちろん土地の値段は毎年上下するものの、建物のように経年劣化することはないのです。そのため、減価償却として損金算入できないようになっています。

不動産を日本で購入しても節税しにくいのは、土地のほうが評価されるからです。経費にできるのは建物に限られると考えましょう。

一方で海外の場合、前述の通り土地よりも建物が評価されます。日本とは考え方が逆であり、「土地の値段:建物の値段=2:8」となります。また、海外では日本のように建物の価値が一気に落ちていくことはなく、むしろ新築より中古のほうが高い値段で取引されるケースがほとんどです。

建物の値段が下がりにくい理由は、前述の通り建物に多くのお金をかけられることが理由です。また日本と違い、「米国不動産では、市場に出回っている物件は中古が大多数であり、さらには不動産価格がずっと上昇し続けている」ことも理由として挙げられます。

例えば、以下は築100年以上の物件です。

建築年度(Year built)は1915年であり、築後100年以上の木造住宅とは思えないほどきれいです。また、値段は120,000ドル(約1,200万円)です。この物件はテキサス州ですが、これがロサンゼルスだと築100年以上でも5,000万~1億円以上の値段になります。

アメリカを含め、海外では日本よりも長く建物を利用するのが基本です。また不動産価格全体に占める建物価格の割合が大きく、減価償却できる金額も多くなります。さらに、中古不動産の値下がりも少ないです。そのため、海外不動産のほうが節税対象として向いているのです。

法人での利益の繰り延べ効果が大きい

このとき法人では、節税目的で海外不動産を購入するケースが多いです。出すぎた利益を消すために利益の繰り延べをするのです。

利益が出すぎてしまった場合、大きな費用を出すことで経費金額を大きくするのは節税の基本です。そうしたとき、耐用年数の短い中古不動産を購入することで、大きな損金を作るように仕向けます。

例えば、建物の値段が8,000万円の海外不動産を購入したとします(土地は経費にできないため、分かりやすくするために省きます)。耐用年数の過ぎた木造住宅だと、前述の通り4年で減価償却できるため、4年かけて毎年2,000万円の減価償却費を計上できます。

この場合、毎年利益が3,000万円(法人税は約900万円)ほどの会社であると、毎年の利益を1,000万円(法人税は約300万円)にまで圧縮できます。そのため、以下のようになります。

不動産購入前不動産購入後節税額
1年目の法人税900万円300万円▲600万円
2年目の法人税900万円300万円▲600万円
3年目の法人税900万円300万円▲600万円
4年目の法人税900万円300万円▲600万円
法人税の合計3,600万円1,200万円▲2,400万円

このケースだと、減価償却した分だけ4年間で合計2,400万円の法人税を削減できることになります。また、海外不動産なので当然ながら他の人に貸し出すことになります。そのため、家賃収入を得られるようになります。

さらに、前述の通り日本とは違って建物の価値が大きく評価されるため、米国では不動産価値がほぼ下がりません。むしろ購入時よりも高い金額で売れるのが普通のため、売却時には不動産購入時よりも多くのお金を手にできるようになります。

このように考えると、「儲かった利益に対する将来への繰り延べ効果が非常に大きく、さらには利益も出せる」のがアメリカ不動産への投資です。

個人の税金対策でも問題なく可能

なお法人ではなく、個人の節税目的のために個人投資家として海外不動産の購入を考える人もたくさんいます。これについては、年収が700~1,000万円以上の人でない限り節税にならないのでやめたほうがいいです。

法人だと、前述の通り「築22年以上の中古木造物件へ投資することで、4年という短い期間で減価償却できる」ようになります。ただ同じ米国不動産投資でも、個人による投資では同じことができなくなっています。アメリカを含め、海外不動産へ個人が投資するとき、正規の減価償却期間にて徐々に減価償却させなければいけません。

以前は個人でも「中古木造物件へ投資することで4年償却が可能」だったものの、2020年の税制改正で規制されました。

このとき当然ですが、木造住宅へ投資して22年の歳月をかけて徐々に損金計上していくのは効率が悪いです。そこで、投資不動産について以下のように分けます。

  • 建物:償却年数22年
  • 構築物:償却年数15~17年
  • 動産:償却年数5~8年

家であっても、構築物は給水管や庭の設備、エアコンなどのように細かく分けられます。そうしたとき、給水管は耐用年数15年であり、外付けのエアコンなら償却期間は7年です。このように物品ごとに分け、それぞれについて減価償却していきます。

これをコストセグリゲーション法といいますが、日本でも商業施設などで広く実施されているやり方になります。正規の減価償却にて損金計上するため、もちろん完全合法のやり方になります。

そうしたとき、例えば「建物4,000万円のアメリカ不動産へ個人投資する」というケースだと、コストセグリゲーション法を利用すれば、ザックリと毎年300万円ほどの損金を約10年にわたって計上できるようになります。

物によって減価償却期間が違うのであくまでもザックリした考え方になりますが、このように正しく行えば個人であってもアメリカ不動産にて問題なく節税できるのです。

高年収の個人ほど損益通算での節税が可能

なお、米国不動産へ投資して計上した減価償却費については、個人の課税所得と損益通算(利益と損失を相殺)します。このとき、損益通算による節税効果は富裕層であるほど効果が高いです。

高額所得者であると、累進課税によって半分が税金で取られることが知られています。そうしたとき税率50%(所得税率40%+住民税率10%)の人であれば、アメリカ不動産へ投資して毎年300万円の損金を作れば、損益通算によって年150万円もの税金を減らせます。

  • 年300万円(毎年の減価償却費) × 50%(税率) = 150万円

これが10年続けば、1,500万円もの高額な節税が可能です。富裕層が米国不動産へ投資するのは、「日本とは違って米国不動産は建物割合が大きく、節税額が非常に大きいから」なのです。「不動産価格が値上がりする」だけでなく、節税面でも意味が大きいといえます。

ただ、こうしたアメリカ不動産への投資は高額所得者が行うからこそ節税できるわけであり、年収の低い人が実施しても意味ありません。累進課税での税率が低く、税金対策への効果が薄いからです。そのため、年収700~1,000万円以上の人のみ米国不動産へ個人投資するべきだといえます。

富裕層・高額所得者で5年超を保有して税率20%で売るスキーム

その後、毎年の無駄な税金を削減したら、不動産を5年超保有した後に海外不動産を売却します。不動産譲渡所得税については、不動産の保有年数によって変わってきます。以下のようになります。

  • 短期譲渡所得(保有年数5年以下で売却):税率39%
  • 長期譲渡所得(保有年数5年超で売却):税率20%

つまり、どれだけの高額所得者であったとしても、不動産売却による譲渡所得については5年超保有することで、税率20%で問題ないようになっています。

このとき不動産の譲渡益については、それまで減価償却した費用も含めます。例えば、以下のような状態だとします。

  • 不動産の購入費用:5,000万円
  • 減価償却費の累計:3,000万円
  • 不動産の売却金額:6,000万円

これについて、「6,000万円(売却時の費用) - 5,000万円(購入時の費用) = 1,000万円」が譲渡益ではありません。これまでの減価償却費の累計を含めて不動産の譲渡益(売却時の利益)を出します。

そうなると、譲渡益は4,000万円になります。

  • 6,000万円(売却時の費用) - 5,000万円(購入時の費用)  + 3,000万円(減価償却費の累計) = 4,000万円

過去に発生した減価償却費を計上するなら、米国不動産へ投資しても意味がないように思ってしまいます。ただ、何も問題ありません。前述の通り、長期譲渡所得は税率20%だからです。

先ほど述べた通り、高額所得者で半分税金(税率50%:所得税率40%+住民税率10%)の人であれば、減価償却費3,000万円を計上することで税金1,500万円(所得税&住民税)を減額できます。

  • 3,000万円(減価償却費の累計) × 50%(累進課税の税率) = 1,500万円

ただ長期譲渡所得では税率20%であるため、3,000万円の減価償却費が上乗せされたとしても、増加する税金は600万円だけです。

  • 3,000万円(減価償却費の累計) × 20%(長期譲渡所得の税率) = 600万円

その結果、差額の900万円について無駄な税金が減ることになります。累進課税で税率の高い高額所得者だからこそ、税率20%だけの支払いでいいのは大きなメリットだといえます。。

アジアやヨーロッパ(イギリスなど)は節税に向かない

このとき、海外不動産の節税でアメリカでなければいけないのは理由があります。まず、アジアではほぼ100%以下のようなコンドミニアムへの投資になります。

タイやフィリピンを含め、外国人は土地を所有できないケースがアジアだと大半です。また現地在住の外国人が賃貸先対象のターゲットとなるため、どうしてもコンドミニアムへの投資になります。

またイギリスなどヨーロッパ不動産だと、レンガ造りの家が非常に多くなります。

コンドミニアムやレンガだと、減価償却期間が非常に長くなります。アメリカ不動産のように木造住宅がメインでないため、節税にはまったく向かないと考えましょう。

ロサンゼルスやテキサスなど、米国不動産の投資場所を考える

ただアメリカ不動産とはいっても、どこでもいいから投資すればいいわけではありません。節税では地域を考える必要があります。

米国不動産で真っ先に日本人が思い浮かべる投資先としてハワイがあります。ただ、ハワイ不動産で節税をすることはできません。アメリカ不動産は木造住宅がメインであるのは既に述べた通りですが、ハワイは市街地のすぐ裏が山であり、以下のようにオアフ島の狭い限られたエリアに人が密集して住んでいます。

日本と同じように土地が狭いため、ハワイではコンドミニアムへの投資になります。そのため減価償却年数が長く、節税に向きません。

またデトロイトなど、治安の悪い地域もあります。こうした地域は利回りが高いものの、「空き巣に何度も入られる」「ホームレスが勝手に倉庫に住む」など日本では考えられない事態が頻繁に発生します。そのため節税目的では、こうした治安の悪い地域を避けるのも重要です。

そこでカルフォルニアやテキサス、ジョージアなどの中で、それなりに治安の良い場所でアメリカ不動産投資を実践するのが節税の大原則です。例えば私の場合、テキサス州ダラスにて3,500万円ほどで以下のような米国不動産を個人で所有し、節税を図りながら賃料収入を得ています。

また物件購入時には、「売却しやすい不動産かどうか」という視点も重要です。不動産を法人での利益の繰り延べや高額所得者の節税スキームに利用するため、価値が減らない固定資産として好きなタイミングで売れることが最重要になります。

そうしたとき、どうしてもアメリカ本土の一戸建て住宅のほうが有利だといえます。

アメリカ現地の法律や税制は理解するべき

なお、日本の不動産を購入するわけではないため、現地の法律や税制についてはある程度まで理解したうえで購入する不動産を選ぶようにしましょう。

当然ながら、日本居住者が日本の不動産を購入するときに比べて、米国不動産投資を活用するときは事務作業が複雑になります。不動産所得について現地の国に税金を支払うなど、その国の法律に従う必要があるからです。

例えばアメリカであれば、何も対策を講じなければ「米国不動産によって得られる家賃収入については現地で30%の源泉徴収」となります。

現地の税理士に頼んで確定申告さえすれば、ほぼ無税になりますが、そうした手続きをしなければ高額な税金支払いになってしまいます。事前に知識があるかどうかだけで、手元に残るお金の金額がまったく違ってくるのです。

売却時に必要なFIRPTA(連邦源泉税)の申告

他にも、実際に不動産を売却したときアメリカ国外に住んでいる人については、FIRPTA(連邦源泉税)という源泉徴収を課せられます。かなり大きな税金であり、売却代金の15%です。これは、米国以外の外国人から確実に税金を取るための制度になっています。

もちろん確定申告さえすれば、このとき支払った高額な連邦源泉税は戻ってきます。譲渡益に対してのみ、課税されることになります。そのため、いずれにしても必ず現地の税理士に依頼できる体制が必要になります。

また日本とアメリカでの二重課税を防ぐため、日米双方にて事前の準備をしたうえで確定申告をしなければいけません。

米国不動産で大きく節税できるのは本当です。ただ日本とアメリカと2つの国について税制を考えなければいけないため、どうしても日本不動産へ投資するときに比べて、米国不動産では内容が複雑になります。

ただ、これらを理解したうえで投資できる富裕層であれば、圧倒的な金額を節税できるというわけです。さらには、米国不動産での資産運用まで可能になります。

個人・法人の米国不動産(固定資産)への投資による節税スキーム

海外に不動産をもつことを考えたとき、第一候補となるのがアメリカです。特に節税まで考えるのであれば、投資先は米国不動産の一択となってしまいます。

このときはカルフォルニアやテキサス、ジョージアなど州・都市の選択肢はさまざまですが、これら米国の物件に投資するのです。ハワイなど節税に向かない州・都市は存在しますが、そうした地域・場所を避ければ個人でも法人でも税金対策できます。

日本とは異なり、アメリカでは土地よりも建物の値段のほうが圧倒的に高いです。また、土地よりも建物に価値を置くため、値下がりもしにくいです。

そのため、法人や高額所得者の節税目的で米国不動産へ投資が行われることはよくあります。ただ、外国の固定資産なので米国の法律も関わるようになり、事務作業が複雑になりやすいことは理解しましょう。ただこれらを理解したうえで節税スキームを実践していけば、多くのお金を残せるようになります。

米国不動産投資で個人・法人が節税し、利回り7%以上の物件で資産運用する

最もリスクが低く、条件が良い海外不動産投資の国がアメリカです。「海外不動産投資=アメリカ不動産」というほどであり、これには人口増加や空室率の低さ、物件価格の値上がりなどが理由として挙げられます。

東南アジアの不動産だとインカムゲイン(賃料収入)の利益を得られず、節税効果もありません。一方で米国不動産では「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」「節税効果」の3つを得られるため、圧倒的に優れた利回りを実現できるようになります。

ただアメリカ不動産の中でも富裕層向けでリスクが低く、さらには将来の値上がりを期待できる物件へ投資しなければいけません。

これを実現するため、アメリカ現地にオフィスをもつ優良の大手エージェント会社を紹介します。「すべて日本語で完結できる」「融資を引き出せる」「物件購入後の管理や売却までサポートしてくれる」という会社であり、米国不動産投資での問題点をすべて解決できるようになっています。

なおリスクの高い物件は取り扱っていない会社であり、インカムゲイン(賃料収入)での利回りは7~8%ほどになります。ただ、こうした利回りにて米国不動産へ投資し、数年後の物件価格の値上がりを期待しつつ、さらには個人・法人による節税まで可能になっています。

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