東南アジアの中でも、非常に貧しい国の一つがカンボジアです。そうした国へ不動産投資することで、大きな利益を出せないかと考える人は多いです。

これについて、カンボジアへの海外不動産投資のメリットを伝える人は非常に多いですが、実際のところはどうなのでしょうか。当然ながらカンボジアでの海外不動産投資にはメリットがあるものの、それ以上にデメリットがあることを忘れてはいけません。

途上国への投資はどれも共通しますが、かなりのハイリスクです。要は、投資のプロでも判断が難しいのがカンボジアでの海外不動産投資です。

そこで、ここでは利回りや税金・維持費、失敗リスクを含めて、カンボジアでの海外不動産投資がどのような現状になっているのか解説していきます。

非常に貧しいが発展を遂げているカンボジア

アジアの中でも非常に貧しい国の一つとして知られているのがカンボジアです。アンコール遺跡で広く知られており、多くの観光客がカンボジアを訪れます。ただ、こうしたアンコール遺跡の存在しか知らない人がほとんどなのがカンボジアです。

事実、首都プノンペンに滞在する人はほとんどいません。特に観光地があるわけでもなく、経済が発展しているわけでもないため、多くの人が貧しい生活をしているのです。

こうしたカンボジアではあっても、経済成長率は高いです。東南アジアに共通しますが、人口の増加と共に毎年の経済成長率の伸びが激しいというわけです。

カンボジアであれば、以下のように毎年の経済成長率はプラス7%ほどになっています。

このような高い経済成長率を示す国へ投資することで、優れたリターンを得ようとする人はたくさんいます。特にキャピタルゲインという意味では、海外不動産投資において大きな利益を得られるのではと考えるのです。

米ドルにて投資でき、米ドルで回収できる利点は大きい

またカンボジアでは、他の東南アジアで海外不動産投資をするのと比べて、圧倒的に優れている部分があります。それは通貨です。東南アジアで唯一、米ドルでの支払いが可能になっています。

実際にカンボジアへ行けば分かりますが、流通しているお金はほぼ米ドルです。米ドル紙幣にてお金を渡し、米ドルにておつりが返ってくるのです。現地通貨のリエルを利用することはほぼありません。これは、以下のような現地人が利用する食堂でも同様です。

米ドルが広く流通していることから、カンボジアの不動産へ投資するときは米ドルになります。また、賃貸不動産に対する支払いも米ドルにて対応してくれます。

東南アジアでの不動産投資で非常に大きなデメリットに通貨リスクがあります。信用の低い通貨で投資するため、通貨安によって大きな損失発生となるケースがあるのです。一方でカンボジアであれば、米ドルなのでそうした心配がありません。

もちろん為替リスクがあるのは変わりませんが、新興国特有の通貨リスクを背負う必要はありません。世界で最も信用されている通貨にて取引をするからです。

外国人は土地購入できずコンドミニアムへ投資

そうしたとき、カンボジア国内ではどのような投資になるのでしょうか。これについて、まず外国人はカンボジアの土地を購入することはできません。そのため、プノンペンの一等地で土地を購入し、値上がりするのを待つ戦略を取ることはできないと考えましょう。

また土地購入できないため、一戸建て住宅などを購入しても意味がありません。土地を所有できないからです。

日本人を含め外国人は土地を購入できない以上、投資対象は100%の確率でコンドミニアムになると考えましょう。以下のような高級コンドミニアムが投資対象となります。

東南アジアでの海外不動産投資ではタワーマンションが対象になるケースが多いです。これについては、カンボジアも同様だといえます。

ちなみにカンボジアでは、外国人は「建物のうち全床面積の70%以下でなければ所有できない」「2階以上の部屋のみ所有できる」ようになっています。これも、コンドミニアムでなければ投資が無理な理由となっています。

投資エリアはプノンペンのみ

そうしたとき、カンボジアでの海外不動産投資は必然的にプノンペンのみとなります。単純にそれ以外の都市だとコンドミニアムがほとんど存在しないからです。

また、カンボジアでの経済の中心はどうしても首都プノンペンになります。そのため、外国人が住んでいるのも当然ながらプノンペンです。

高級コンドミニアムに現地のカンボジア人が住むことはほとんどありません。平均月収3万円ほどの国において、月5万円以上の賃料を支払ってコンドミニアムに住むことを考えるカンボジア人などいないのです。

プール付きのカンボジアのコンドミニアムに住むのは外国人に限定されると考えましょう。参考までに、以下は実際にカンボジアにあるコンドミニアムの様子です。

外国人はシェムリアップ(アンコール遺跡のある都市)ではなくプノンペンに住んでいるため、日本人がカンボジアで投資するときはプノンペンの一択になります。

・Boeung Keng Kang(ボンケンコン)で投資する

ちなみにエリアについては、プノンペンの中でもBoeung Keng Kang(ボンケンコン)のエリアだけに限定しましょう。ここに最も多くの外国人が住んでおり、イオンなど大型スーパーなども立地しています。

また大使館も非常に多く、日本でいう六本木に当たります。非常に多くの外国人が住んでいることから、不動産投資をするにしてもポンケンコン以外にあり得ません。

もし、このエリア以外を勧めてくる不動産業者がいたら確実に詐欺であり、ほぼ失敗すると考えましょう。

賃貸に住まわせる対象の駐在員の外国人は少ない

ただ事前に理解するべきは、いくら外国人の多いBoeung Keng Kang(ボンケンコン)で不動産投資したとしても、賃貸に住まわせる対象の外国人の絶対数が少ないことは理解しましょう。

タイやマレーシア、フィリピンなどの国であれば、金持ちの外国人やリタイア生活を楽しみたい人が住み、南国気分を味わいながら長期滞在することはよくあります。またそれなりに経済が発展しているため、外国人の駐在員も非常にたくさんいます。

一方でカンボジアはどうかというと、経済成長率が高いとはいってもアジアの最貧国の一つであることには変わりがありません。アンコール遺跡(観光業)のほかに主要な産業がなく、結果としてプノンペンに住んでいる外国人の絶対数は少なくなります。

コンドミニアムを借りるのは「成功した金持ち」「リタイアした方」「駐在員」のどれかです。この中で最も多いのは駐在員ですが、駐在員の絶対数が少ないため、コンドミニアムへ投資しても貸し付けが厳しくなることは理解しましょう。

物件からのインカムゲインは表面利回り7%ほど

なお人々の月収は非常に低いカンボジアですが、コンドミニアムでの賃貸価格はそれなりに高くなっています。1ベッドルームの一人用の部屋を借りる場合であっても、月5万円以上になるのは普通だと考えましょう。

コンドミニアムに住むのは、カンボジアではそれなりに高い金額となります。そのため、表面利回りについては東南アジアの中でも高めの7%ほどです。

カンボジアのコンドミニアムで投資するとき、「khmer24」などのサイトを活用して調べてみるといいです。例えば、以下は日系の不動産会社が出しているコンドミニアムになります。

このように45m2の小さめの部屋で月800ドル(約8万円)です。年間だと9,600ドルになります。外国人はアジアでほぼコンドミニアムに住むことになりますが、賃料価格の相場はカンボジアの物価で考えると高めだといえます。

また、この物件では賃貸人の募集だけでなく、不動産の売却先についても同時に募集しています。このときの不動産価格は125,000ドル(約1,250万円)になります。ここから表面利回りを計算すると年利は約7.4%です。

カンボジアで投資することを考えたとき、こうした数字が一般的になります。東南アジアの中では、表面利回りは高いといえます。

なお外国人であっても、現地採用の人がこうした高い家賃を払えることはありません。あくまでも駐在員がターゲットであり、「貸し付けできる対象の人がどうしても少なくなる現状」は理解しましょう。

銀行融資は年利12%ほど

ただ不動産投資で得られる利回りは高くても、カンボジアではどうしても金利が高くなってしまいます。まずカンボジアでは個人での定期預金の金利が5%以上になることが一般的に知られています。米ドルにて銀行にお金を預けるだけで、年利5%以上で資産運用ができるのです。

例えば、以下はカンボジアにあるPPCBankでの定期預金の金利です。

※出典:PPCBank

このようになっていますが、当然ですが住宅ローンでお金を借りるときはより高金利になります。一般人がお金を預けるだけでも年利5%以上なので、それよりも高い年利になるのは当然といえます。

そうしたとき、カンボジアで非常に規模の大きい銀行にCanadia Bank(カナディア銀行)があります。カナディア銀行で住宅ローンを利用する場合、年利12%ほどになります。つまり、非常に年利が高いといえます。

仮に投資資金の半分を自己資金で補ったとしても、不動産投資で得られる収入のうち「12%(金利) ÷ 2(半分を自己資金) = 年利6%」の部分が利子払いに費やされます。つまり、賃貸収入のうち大半が支払利子で消えることになるのです。

※「日本政策金融公庫から低金利で借りればいい」と記している人はいますが、いまはほぼ審査が通りません。

そのためカンボジアで投資することを考えたとき、ほぼ自己資金での投資でなければ成功は厳しくなっています。つまり、現金として余裕資金をたくさん保有する富裕層のみ利用できる投資手法になります。

税金・費用を加えて実質利回りを考える

また利子払いだけでなく、税金やその他のコストも含めて実質利回りを算出しなければいけません。このとき、税金や費用については以下のようになっています。

【不動産の取得時】

カンボジアで不動産を取得するとき、税金や仲介料の支払いが必要になります。

  • 資産譲渡税:物件価格の4%
  • 不動産会社の仲介手数料:物件価格の3~5%

そのため、安くても物件購入価格の7%ほどがコストとして上乗せされると考えましょう。なお、不動産会社の仲介手数料は会社ごとに異なります。

【不動産の保有時】

もちろん物件を保有しているときについても税金がかかってきます。以下が主になります。

  • 固定資産税:年間で物件評価額の0.1%
  • 不動産収入税(源泉徴収税):賃料収入の 14%

固定資産税は安いですが、すべての賃料収入の14%に対して税金を課せられます。つまり税金により、自動的に賃料収入が14%減になると考えましょう。こうして、年間での利回りがかなり押し下げられてしまいます。

外国人でカンボジアの非居住者だと、全員が一律で14%となります。経費を差し引いた所得に対して課税されるわけではないため、これによって利益が消え去り、全体でみると赤字になると考えましょう。

これに加えて、管理会社へのお金の支払いが発生します。カンボジアで何も深く考えずに投資して失敗する人は非常に多いですが、これは税金の制度を理解していないために起こります。

【売却時の税金はゼロ】

ただカンボジアで非常に優れているのは、キャピタルゲイン税がゼロである点です。将来は不明ですが、カンボジアでは外国人の確定申告制度がありません。そのため、高額な売却益が出たとしても現地で納税する必要はありません。

もちろん日本では税金を払わないといけませんが、少なくともカンボジアでのキャピタルゲイン税(売却時の値上がりによる税金)はなく、優れているといえます。

キャピタルゲイン狙いが大原則

こうした税金制度や維持コストになっているため、外国人がカンボジアで海外不動産投資を行い、インカムゲインを狙うのは不可能に近いと考えましょう。「インカムゲインを考える=確実にカンボジアでの投資に失敗する」といえます。

ここまで説明した通り、投資によって得られる表面利回りは7%ほどですが、「住宅ローンの金利が12%ほど」「賃料収入の14%を源泉税で取られる」などに加え、さらには他の税金や仲介手数料がかかってきます。ここから、外国人の投資でインカムゲインを狙うのが無理だと容易に想像できます。

そこでカンボジアへ投資する場合、キャピタルゲインを考えましょう。不動産価格の値上がりによる売却益を狙うのです。

参考までに、以下は2010~2018年でのプノンペンでの土地価格推移になります。

出典:CBRE:Investment On The Up Following General Election

建物を含めた不動産価格全体ではなく、あくまでも土地の価格推移ですが、このように2010年から2018年の間に土地価格が約2倍に膨れ上がっていることが分かります。

カンボジアの不動産投資については情報が少なく、広く公開されている英文データも少ないです。ただ、このように値上がりを期待できるのです。インカムゲインを期待できなくても、このようにキャピタルゲインを狙えれば問題ないといえます。

もちろん、カンボジアの法整備が進んで「キャピタルゲイン税を課せられるリスクがある」ことは理解しましょう。

プレビルドは建設中止のリスク高く、詐欺業者リスクが最大の問題点

なお、カンボジアで販売される物件としてはプレビルドの案件が非常に多いです。これは、建設中のコンドミニアムへ投資するという手法です。建築中なので完成時の様子は不明であり、見学するにしても模型くらいしか確認方法がありません。

また現場を確認しても、以下のように建設されているだけの状態となり、何も情報を得られません。

そのためプレビルドへの海外不動産投資は非常にリスクが高いことを事前に理解しましょう。途中で建築が止まり、途中でとんざするケースが頻繁に起こるからです。

また日本だと、建築が終わった後にお金を支払うことになります。ただ東南アジアを含め、カンボジアでは工事の進捗に応じてそのつどお金を支払うことになります。ただ、途中で工事が止まってもお金は返ってきません。

そのため業者リスクが非常に高いですが、現地に住んでいるわけではないため、建築業者が信頼できるのかどうか調べる方法がありません。カンボジア人は基本的に英語を話せないため、現地へ渡航して聞いたとしても情報をほぼ得られないのです。

不動産の仲介業者からは情報を教えてくれるかもしれませんが、その情報が本当なのかどうかを調べる方法は存在しないと考えましょう。カンボジアでの投資は多くがプレビルドになりますが、詐欺かどうかの見極めが難しく、こうした現状もカンボジアでの投資が難しい理由となっています。

かなりの上級者向け投資地域がカンボジア

海外不動産投資によって大きく資産形成を図ることは重要です。ただすべての海外不動産投資に共通しますが、東南アジアを含め新興国での投資はリスクが非常に大きくなります。

その中でも、カンボジアは最高レベルで投資が難しい地域の一つになっています。米ドルにて投資できることは優れていますが、「インカムゲインをほぼ得られない」「銀行融資の金利が高い」「貸付先対象の外国人が非常に少ない」など難しい条件がそろっているのです。

一方でキャピタルゲインを狙うのであれば問題ありません。不動産価格は上昇しているため、不動産運用から生じる損失を何とか最小限に抑えながら年数が経つのを待ち、最後に売り抜くようにするのです。インカムゲイン狙いだと確実に失敗しますが、キャピタルゲイン狙いなら大丈夫です。

ただ、投資するときの難易度が非常に高いことは理解しましょう。賃貸先が少ないだけでなく、最後の売り先の外国人の人数も少ないからです。そのためかなりの上級者向け地域であることを理解したうえで、カンボジアでの海外不動産投資を考えるようにしましょう。

米国不動産投資で個人・法人が節税し、利回り7%以上の物件で資産運用する

最もリスクが低く、条件が良い海外不動産投資の国がアメリカです。「海外不動産投資=アメリカ不動産」というほどであり、これには人口増加や空室率の低さ、物件価格の値上がりなどが理由として挙げられます。

東南アジアの不動産だとインカムゲイン(賃料収入)の利益を得られず、節税効果もありません。一方で米国不動産では「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」「節税効果」の3つを得られるため、圧倒的に優れた利回りを実現できるようになります。

ただアメリカ不動産の中でも富裕層向けでリスクが低く、さらには将来の値上がりを期待できる物件へ投資しなければいけません。

これを実現するため、アメリカ現地にオフィスをもつ優良の大手エージェント会社を紹介します。「すべて日本語で完結できる」「融資を引き出せる」「物件購入後の管理や売却までサポートしてくれる」という会社であり、米国不動産投資での問題点をすべて解決できるようになっています。

なおリスクの高い物件は取り扱っていない会社であり、インカムゲイン(賃料収入)での利回りは7~8%ほどになります。ただ、こうした利回りにて米国不動産へ投資し、数年後の物件価格の値上がりを期待しつつ、さらには個人・法人による節税まで可能になっています。

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