南半球の国々の中でも、先進国に属するのがオーストラリアです。海外不動産投資では、こうした先進国へ投資することが手堅い不動産投資として知られています。

先進国の中でも、オーストラリアは人口が増え続けています。そのために不動産に対する需要が大きく、空室率は非常に低いですし、住宅価格は上昇を続けています。そのため、海外不動産投資をするに当たって有利な状況だと思う人は多いです。

ただオーストラリア不動産を購入して投資する場合、規制がありますし、事前に何に注意しておけばいいのか理解しなければいけません。

そこで海外不動産投資でオーストラリアを選択する場合、どのようなポイントを考えて投資をすればいいのか解説していきます。

移民による人口増が続くオーストラリア

海外不動産投資では、繁栄していく国へ投資するのが大原則です。日本のように人口が減り、衰退していく国ではなく、今後も伸び続ける国へ投資するからこそ海外不動産投資の価値があるといえます。

そうしたとき先進国であれば、アメリカやイギリスは人口が伸び続けており、投資先として魅力的です。ただオーストラリアについても、人口増が続いている国といえます。以下は実際のオーストラリアでの人口推移です。

出典:世界銀行

オーストラリアの出生率は日本と同じように低いです。ただ移民を広く受け入れている国なので、結果として人口増加が続いているというわけです。自国内で生まれる子供よりも、移民流入による人口増が大きく寄与しているのです。

要はアメリカやイギリスと同じ状況のわけですが、このような移民によって人口が増え、国力が増加しています。

不動産価格は上昇し、空室率が低い

こうした人口増加に伴い、必然的に不動産に対する需要は増加していきます。これはつまり、不動産価格が上昇していることを意味しています。日本だと不動産価格はずっと下落していますが、オーストラリアでは値上がりが基本というわけです。

以下は実際のオーストラリアでの不動産価格推移です。

このように、長期的にみるとずっと不動産価格が上昇し続けていることが分かります。年によって変動はありますが、こうした値上がりによってキャピタルゲインを得られるというわけです。

また人口増がずっと続いているため、オーストラリアでは空室率も低いです。例えばシドニーは空室率2%、メルボルンは空室率2~3%ほどといわれており、驚異的な空室率の低さだといえます。日本では東京でも空室率11%以上のため、「どれだけオーストラリア不動産の空室率が低いか」が分かります。

都市部にしか人がおらず、シドニーやメルボルンが投資エリア

ただ注意点として、必ず都市部へ投資するようにしましょう。オーストラリアは国土が広いものの、シドニーやメルボルンなど都市部にしか人が住んでいない典型的な国だからです。

人口増とはいっても、シドニーやメルボルンなどの都市部に限定されます。また空室率が低く、物件価格の上昇があるのも都市部です。例えば、以下はシドニーとパースの不動産価格の推移です。

このようにシドニーの不動産価格は上昇していますが、パースの不動産は下落していることが分かります。

パースはオーストラリアの西海岸に位置する地方都市です。ただ、オーストラリアの人口のほとんどはシドニーやメルボルンなどが属する経済の発展した都市に集中しており、不動産需要が多いのもこうした都市です。そのため、その他の地方都市では不動産価格が下落するというわけです。

こうした現状を理解すると、オーストラリア投資ではシドニーやメルボルンなどの都市部でなければいけないと理解できます。稀にパース不動産などを勧める業者は存在しますが、こうしたデータからほぼ詐欺だと理解できます。

新築物件のみ土地・建物を購入可能!永住者以外は中古不可

しかし実際のところ、オーストラリアでの不動産投資は非常にハードルが高くなっています。この理由として、「外国人は新築物件しか購入できないようになっている」ことが挙げられます。

オーストラリア不動産の場合、土地や建物を含めて購入できます。東南アジアだと土地の購入が不可になっているケースがよくあります。ただオーストラリアだと、アメリカやイギリスと同様に土地を含めて所有できるというわけです。

ただ中古物件への投資が不可能であり、新築のみ投資が許されていると理解しましょう。

唯一の例外として、永住権を保有している人であれば外国人特有の規制なしに、中古不動産に対しても投資できます。ただオーストラリアで永住権を得るのは圧倒的に難しく、現実的ではありません。そのため、結果として新築物件のみの投資になるのです。

オーストラリア不動産で中古物件へ投資できるのは、オーストラリア国籍を保有している人または永住権を有する人のみに限られていると理解しましょう。

投資前はFIRBの事前の許可が必要

それでは、オーストラリアでは「新築物件であれば何でもいいので、現地にて海外不動産投資が可能になるか」というと、そういうわけではありません。外国人がオーストラリアの不動産を購入して金額が吊り上がらないように、事前の許可申請が必要になります。

こうした許可として、オーストラリア不動産への投資ではFIRB(Foreign Investment Review Board)があります。

FIRBの手続きはインターネット上で行うことができます。具体的な物件について、契約を結ぶ前にFIRBで許可を取っておくのは必須となります。そのため、事前にこうした作業が必要になることを理解しなければいけません。

なお実際には、現地オフィスをもつ不動産会社を通じて海外不動産投資を開始するのが一般的です。そのため、信頼できる不動産会社にFIRBの段取りを進めてもらわなければいけません。

融資を利用できるが、住宅価格は高め

このとき、オーストラリアの非居住者だと現地の銀行を利用できます。借入利率は6~7%と高めですが、物件価値の6~7割ほどを融資してくれます。

しかし、オーストラリアの都市部だと新築物件は住宅価格がそれなりに高くなります。以下は広く公表されている「オーストラリアの都市別の平均住宅価格」です。

この表によると、平均的な不動産価格は以下のようになっています。

  • シドニー:84万豪ドル(約6,720万円)
  • メルボルン:66万5,000豪ドル(約5,320万円)

このように、それなりに高額になります。また融資の7割を引き出せたとしても、シドニーでは約2,000万円、メルボルンでは約1,600万円の自己資金が必要になります。

そのためオーストラリア不動産へ投資する場合、かなり高額なお金を自ら用意しなければいけません。通常だと、海外不動産投資は余裕資金1,000万円以上から投資可能です。ただオーストラリアの場合、自己資金1,000万円ほどではショボい物件しか購入できません。その結果、物件価格の値上がりもなく、投資に失敗するわけです。

表面利回りは低くシドニーで2.8~3.7%ほど

それでは、オーストラリア不動産へ実際に投資する価値があるかというと、正直なところないといえます。理由は単純であり、利回りが非常に低くなっているからです。

イギリスの不動産調査会社によると具体的な利回りとしては、オーストラリア不動産へ投資することで得られる表面利回りは、シドニーで2.8~3.7%ほどになっています。以下が実際に公表されている内容になります。

出典:GlobalPropertyGuide

これらは表面利回りであるため、ここからさらに税金や不動産会社へ支払う手数料などが経費として上乗せされるようになります。その結果、実質利回りは1%台になります。

オーストラリア不動産へ投資してもいいですが、高額な費用が必要になるわりに得られるインカムゲイン(賃料収入)による利益が少ないというわけです。同じ先進国でも、他の国であれば問題なくインカムゲインを狙えますが、オーストラリアでは微妙になっています。

ちなみに前述の通り、オーストラリアでは銀行融資での投資ローン金利が6~7%ほどです。そのため、現地の銀行からお金を借りて不動産投資をする場合、条件の良い物件でない限りは赤字に転落することを理解しましょう。

海外不動産投資の税金が高いオーストラリア

一方でオーストラリアの税金については、非常に高くなっています。利回りが低いにも関わらず、高額な税金を取られるのです。海外不動産投資では現地の税制を深く理解しなければいけませんが、オーストラリアでは税金のために魅力がさらに薄くなります。

このとき、以下のような税金や手数料がかかります。

【物件の保有時:所得税】

オーストラリア不動産投資での税金を考えるとき、重要なのは物件購入時ではなく、物件保有時になります。

海外不動産投資でオーストラリアを考える人だと、所得税の支払いを考えなければいけません。ただオーストラリアで不動産投資をする場合、非居住者(日本在住)だと収入に対して一律で所得税を課せられるようになります。

このときの税率は非常に高く、税率32.5%となります。賃料収入が87,000豪ドル(約700万円)を超える人だと、さらに税率は高くなりますが、オーストラリアでの不動産投資だけでこれだけの収入を得る日本人はほぼいないはずなので、税率は32.5%だと理解すれば問題ありません。

参考までに、オーストラリアの非居住者では所得税額に応じて32.5~45%の税率となります。その中で最も低い32.5%というわけですが、それでも圧倒的に高額な税率であることには変わりありません。

【物件売却時の税金:キャピタルゲイン税】

また、オーストラリア不動産は物件価格の値上がりがあるため、売却益を得たときはキャピタルゲイン税として税金を支払わなければいけません。

このときのキャピタルゲイン税の税率は個人所得税と同様です。つまり、キャピタルゲイン税として32.5%を支払うことになると考えましょう。

日本だと、一般的にキャピタルゲイン税は20%です(5年超を保有する場合)。ただ、オーストラリアでは32.5%もの高額な税金となり、世界的に見てもオーストラリア非居住者にとって不利な税制になっていると理解しましょう。

オーストラリアへ投資する価値はゼロ

ここまで、実際のところオーストラリア不動産へ投資するとき、どのような現状になっているのかについて、世の中の銀行や調査機関が公表しているデータをもとにして解説してきました。

これらの情報から分かるのは、海外不動産投資の中でもオーストラリアへ投資する価値はゼロという事実です。以下のような状況だからです。

  • 規制が厳しく、外国人は新築物件のみ投資可能
  • シドニーやメルボルンの物件価格は非常に高い
  • 表面利回りが3%ほどと低い
  • 銀行からの借入利子は金利6~7%と高額
  • 税金が圧倒的に高い

そのため、オーストラリアへ投資するとインカムゲインを得るどころか、低い利回りや高い税金、高金利の借入利子によってほぼ確実に赤字となります。オーストラリア在住者ならまだマシですが、少なくとも非居住者が投資するべきではありません。

これらの客観的な事実を確認したとき、確かにオーストラリアで空室率は低く物件価格の上昇はありますが、毎月赤字では投資の意味がありません。そのため海外不動産投資ではオーストラリア不動産を無視して、その他の国への投資を検討するようにしましょう。

米国不動産投資で個人・法人が節税し、利回り7%以上の物件で資産運用する

最もリスクが低く、条件が良い海外不動産投資の国がアメリカです。「海外不動産投資=アメリカ不動産」というほどであり、これには人口増加や空室率の低さ、物件価格の値上がりなどが理由として挙げられます。

東南アジアの不動産だとインカムゲイン(賃料収入)の利益を得られず、節税効果もありません。一方で米国不動産では「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」「節税効果」の3つを得られるため、圧倒的に優れた利回りを実現できるようになります。

ただアメリカ不動産の中でも富裕層向けでリスクが低く、さらには将来の値上がりを期待できる物件へ投資しなければいけません。

これを実現するため、アメリカ現地にオフィスをもつ優良の大手エージェント会社を紹介します。「すべて日本語で完結できる」「融資を引き出せる」「物件購入後の管理や売却までサポートしてくれる」という会社であり、米国不動産投資での問題点をすべて解決できるようになっています。

なおリスクの高い物件は取り扱っていない会社であり、インカムゲイン(賃料収入)での利回りは7~8%ほどになります。ただ、こうした利回りにて米国不動産へ投資し、数年後の物件価格の値上がりを期待しつつ、さらには個人・法人による節税まで可能になっています。

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