海外不動産投資によって資産運用を考える人は多いですが、特に東南アジアの不動産だとプレビルドへの投資案件が非常に多くなります。

「プレ(Pre)」「ビルド(Build)」という言葉から分かる通り、実際に建物が完成する前に販売される不動産をプレビルドといいます。特に東南アジアにて海外不動産投資をする場合、プレビルドの案件が非常に多くなります。

ただ、プレビルドはハイリスクの案件になるので素人が手を出すべきではないことは理解しましょう。これは、新興国ならではの問題がたくさん発生するからです。

海外不動産投資を活用するのは問題ないですが、投資先の国々や物件を考慮するのは非常に重要です。ここでは、プレビルドの物件へ投資するときに理解するべきことを解説していきます。

メリットは安い金額で不動産を購入できること

外国人が東南アジアでの投資を考えるとき、ほぼ100%の確率でコンドミニアムになります。理由としては、以下があります。

  • ほとんどの国で外国人は土地を所有できない
  • 現地の人が好む家の特徴を理解できない

東南アジアでは、圧倒的に狭い部屋に4~5人で暮らすのは普通ですし、友達との相部屋で住む状況もよくあります。そのため、こうした人々がどのような家を好むのか理解できず、現地に滞在する外国人(ある程度のお金を持っている人)を相手にするのが基本となります。

また多くのケースで外国人は土地を保有できないため、必然的にコンドミニアムへの投資になります。ただ中古のコンドミニアムではなく、プレビルドでは建設中のコンドミニアムへ投資するのです。東南アジアでは、以下のような建設中のコンドミニアムがたくさん存在します。

当然ですが、こうした工事を継続していくにはお金が必要です。材料費や人件費などを支払わなければいけません。そのため、工事業者としてはいますぐお金が欲しいと考えます。そこで、完成前に通常よりも安い値段で物件を売ることがよくあります。

相場よりも低めの金額で投資であるため、プレビルドへの投資では「完成後に購入時より値上がりし、キャピタルゲインを狙いやすい」といわれています。販売初期に買うほど値段が安く、最初のほうで不動産を買えば20~30%引きで購入できると一般的にいわれています。

プレビルドの海外不動産投資のメリットというのは、値引きされた状態で不動産投資できることに尽きます。

工事が進むごとに支払いを行う

それでは、どのような時点にお金を支払うのでしょうか。これについては、工事が進んでいくごとにお金を支払うのが一般的です。

日本であれば、最初に少しの頭金を支払います。その後、すべての工事が完成したら残りの金額を支払うことになります。つまり、最初と最後の2回で支払いをするというわけです。

それに対してプレビルドでは、通常だと前述の通り工事の進捗具合に応じてお金を支払うことになります。イメージとしては、以下のようになります。

2~3年ほどかけて建築していくわけですが、段階ごとにお金を支払うことになるため、そのつど高額なお金を用意しなければいけないと考えましょう。こうして、物件完成後の値上がりを期待する投資手法になります。

建設業者の事業者リスクが非常に高い

将来のキャピタルゲインを狙うことができ、物件価格の20~30%引きで購入できるとなると、非常に優れているように思えます。仮に3年後にコンドミニアムが完成し、投資金額に対して30%上乗せして販売できれば成功だといえます。

ただ、当然ですがプレビルドにはリスクがあります。その中でもよくいわれるのは事業者リスクだといえます。

東南アジアでは建物の建設が途中で止まることがよくあります。物件を担当していた建設業者が途中で倒産するなどすれば、コンドミニアム建設は中途半端な状態で止まることになります。この場合、それまでに支払った手付金は戻ってきません。

そのためプレビルドでは「ディベロッパー選びが重要」といわれますが、素人は現地の建設業者の良し悪しを判断できません。海外不動産投資を考えている人の中で、現地の言葉を理解している投資家などいないのです。そのため調査できず、日本の海外不動産仲介業者の言葉を信じるしかありません。

融資でインカムゲインなしに高額な支払いが発生

また不動産投資では、一般的に融資を活用するのが基本です。すべてを自己資金だけで行う人は稀です。タイやマレーシア、フィリピン、カンボジアなどで投資するにしても銀行融資を引っ張ってくるのです。

そうしたとき、当然ですが融資を受けた瞬間から利子払いが発生するようになります。通常の海外不動産投資であれば、完成物件に人を住まわすことができれば賃料が入ってくるため、そこからの収入を銀行への利子支払に充当すれば問題ありません。

ただプレビルドでは、工事の進捗に応じてお金を支払います。一方、物件完成前まで賃料は入ってきません。そのため、賃料収入を得られるよりも前に銀行借入をすれば、「インカムゲインを得られていないにも関わらず、銀行への利子払いが発生する」ようになります。

しかも新興国だと、タイやマレーシア、フィリピン、カンボジアを含めてどこも利率が高いです。例えば、以下はフィリピン最大の商業銀行が出している住宅ローン金利です。

海外不動産投資では税制の関係で6年以上を保有した後に売却するのが大原則です。そのため長い期間で融資を受けるのですが、このときは金利8%であると分かります。

すべて自己資金でまかなうのならいいですが、そうでない場合は「賃料収入を得られていないのに、高額な利子払いだけが発生する状態」となります。そうして、自己資金が急速に減っていくようになります。

・完成までの施工が遅れるのは当たり前

さらには、順調に工事が進んで完成するのであれば問題ありません。ただ、タイやマレーシア、フィリピン、カンボジアなど、東南アジアで施工が遅れるのは当然だと考えましょう。さすがに途中でディベロッパーが倒産して完成しない事態は少ないものの、施工が遅れるのは普通です。

完成が遅れれば、インカムゲインを得られない状態がさらに長引くようになります。ただ、銀行への利子払いは発生します。そうして、プレビルドへ投資したことを後悔するようになります。

途中で融資が中止になるのは普通

リスクはそれだけではありません。途中で銀行融資が下りなくなることもあるのです。融資が下りないため、途中でお金が足りなくなります。

日本であれば、融資の審査に通過すれば問題なく資金調達できることが確約されます。ただ新興国なので、審査が下りたとしてもプレビルドへ投資する段階になって「やっぱり融資は無理」と判断が覆るのは特に珍しいわけではありません。

そうしてお金を支払えなくなると、それまでに支払った手付金は戻ってきません。

完成時に融資を引っ張ってこられずにお金を支払えず、それまでの手付金を没収された人は何人もいます。中古不動産を購入するときでは存在しないリスクがプレビルドではあるのです。

思ったほどキャピタルゲインを得られないことはよくある

このように多くのリスクがあるものの、プレビルドでは他により大きなリスクがあります。それは、「思ったほど物件価格が上昇せず、キャピタルゲインを得られない」ことです。

物件価格とはいっても、販売業者が自由に決める値段になります。実際に市場で取引されている金額ではありません。そのため、コンドミニアムが完成しても空室のままであり、高い値段で売れないのは珍しくありません。

日本だと、タワーマンションとはいっても特定エリアだけに密集しているわけではなく、都市圏であればそれぞれの駅の周辺に点在することになります。

一方で東南アジアの場合、タイやマレーシア、フィリピン、カンボジアを含めて特定のエリアに密集するケースがよくあります。例えば、以下はマレーシアのコンドミニアムの様子です。

このように、特定の個所にコンドミニアムが乱立されます。モントキアラというマレーシアの高級住宅街になりますが、東南アジアではコンドミニアムが特定の地域に密集しているのはよくあります。

そのためコンドミニアムが供給過多の状況になりやすく、キャピタルゲインを得られないのです。また、こうした高級住宅街以外の場所のコンドミニアムへ投資しても、外国人が少なく人を住まわすことができません。プレビルドでは、こうしたリスクがあるのです。

東南アジアのコンドミニアムは新築物件ほど問題が起こる

また日本では考えられませんが、タイやマレーシア、フィリピン、カンボジアを含めて、新築物件であるほど問題が発生しやすいという問題があります。

日本だと、新築物件だと新品なので不具合が起こりません。ただ、新興国では新築物件のほうがトラブルを生じやすくなります。「家にアリが出てきた」「雨漏りがある」などは高級コンドミニアムであっても普通であり、それらの修繕費が新たに発生するようになります。

むしろ中古物件のほうが「それまで問題が出尽くされているため、安心して住める」のがアジアの常識です。

日本と同じ感覚でプレビルドへ投資すると、高確率で失敗することになります。これには、日本と東南アジアでは事情が大きく異なるからなのです。

東南アジアの不動産業者でプレビルドを勧める理由は手数料が高いから

こうした事情を理解すると、プレビルドへ海外投資して資産運用するのはリスクが非常に大きいことが分かります。単に賃料収入を得るわけではなく、完成前から値上がりを期待してコンドミニアムへ投資するため、これについてはある意味当然だといえます。

それでは海外不動産投資の中でもかなりのハイリスクにも関わらず、なぜ「東南アジアで海外不動産投資を勧める業者」の多くがプレビルドを紹介するのでしょうか。この理由は単純であり、その分だけ多くの手数料を得られるからです。

間に現地業者や売り手側の業者を挟む必要がないため、日本の海外不動産販売の会社は開発業者から直接手数料を受け取れます。そのため、通常よりも多い3~5%をそのまま受け取れます。

また実際に建物が完成しているわけではないため、模型やモデルルームを見せるだけになります。また売り手との価格交渉などはなく、開発業者と話を付けるだけで問題ありません。

つまり、圧倒的に楽にも関わらず手数料をたくさん取れるというわけです。これが、タイやマレーシア、フィリピン、カンボジアなどで海外不動産投資をするとき、日本の不動産会社がプレビルドばかりを勧める理由になります。

もちろん、プレビルドのほうが良いケースもあります。本当に良い物件というのは、初期の売り出し中でなければ買えないケースがほとんどです。ただ、「大半のプレビルドはかなりのハイリスクである」ことは理解しましょう。

タイやマレーシア、フィリピン、カンボジアのプレビルドはハイリスク

海外不動産投資の中でも、圧倒的にレベルの高い手法が新興国への投資です。要は、東南アジアへ投資することを指します。

このとき、中古物件への投資でさえもタイやマレーシア、フィリピン、カンボジアへ投資するのはリスクが非常に高いです。ただ東南アジア不動産の中でも、さらに新興国への投資をハイレベルにしているのがプレビルドだといえます。

もちろんキャピタルゲインを得られるメリットはありますが、そのように順調に物事が進むことは新興国ではまずあり得ません。むしろトラブルが続出するようになるのが一般的です。実際に現地に住んでいる日本人に聞けば分かりますが、日本のように予定通りに進むほうが稀だと理解しましょう。

なお、ここまで記した事態はプレビルト案件で発生するトラブルの初歩です。あなたが既に東南アジアで何件も不動産を所有しているプロなら問題ないですが、プレビルトは少なくとも素人が手を出すべき投資案件ではなく、リスクが非常に高いことは事前に理解しましょう。

米国不動産投資で個人・法人が節税し、利回り7%以上の物件で資産運用する

最もリスクが低く、条件が良い海外不動産投資の国がアメリカです。「海外不動産投資=アメリカ不動産」というほどであり、これには人口増加や空室率の低さ、物件価格の値上がりなどが理由として挙げられます。

東南アジアの不動産だとインカムゲイン(賃料収入)の利益を得られず、節税効果もありません。一方で米国不動産では「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」「節税効果」の3つを得られるため、圧倒的に優れた利回りを実現できるようになります。

ただアメリカ不動産の中でも富裕層向けでリスクが低く、さらには将来の値上がりを期待できる物件へ投資しなければいけません。

これを実現するため、アメリカ現地にオフィスをもつ優良の大手エージェント会社を紹介します。「すべて日本語で完結できる」「融資を引き出せる」「物件購入後の管理や売却までサポートしてくれる」という会社であり、米国不動産投資での問題点をすべて解決できるようになっています。

なおリスクの高い物件は取り扱っていない会社であり、インカムゲイン(賃料収入)での利回りは7~8%ほどになります。ただ、こうした利回りにて米国不動産へ投資し、数年後の物件価格の値上がりを期待しつつ、さらには個人・法人による節税まで可能になっています。

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