海外にて不動産を購入する場合、先進国を選択肢に入れる人は多いです。東南アジアの不動産へ投資するときよりもリスクを抑えることができるからです。

こうした先進国の中でも、ヨーロッパへの投資で重要になる投資先にイギリスがあります。イギリスの一戸建て住宅へ投資することで、インカムゲイン(賃料収入)を得ながらも、最終的にはキャピタルゲイン(物件価格の上昇)も狙うというわけです。

そうしたとき、何も知識なしにイギリスへ投資すると確実に失敗します。事実、イギリス不動産では「非常にリスクの高い詐欺案件」もたくさん紛れているため、「どのような投資を実践しなければいけないのか」について事前に学ばなければいけません。

そこで、ここではイギリス不動産へ投資するときの正しい考え方や現状について解説していきます。

移民が多く、人口が増え続けるイギリス

イギリスを含め先進国では人口が増え続けています。日本に限らず、世界中で先進国の出生率が低いのは共通ですが、イギリスやアメリカなどの欧米諸国のいくつは人口増となっているのです。

例えば、以下は実際のイギリスでの人口推移です。

なぜ、このように日本と違うのかというと、広く移民を受け入れているからです。イギリスなどの先進国で働きたいと考えている他国の人は非常に多くいます。そうした人々が流入してくるため、必然的に人口が増え続けているというわけです。

日本だと人口減少となり、「将来は国力が低下する」と分かっています。一方でイギリスの場合、逆の現象が起きているのです。

不動産価格は値上がりし、キャピタルゲインを狙える

人口が増えるということは、不動産への需要が増加することを意味します。人口が増え続けている国はどこも共通しますが、不動産価格は長期的にずっと上昇を続けることになるのです。そのため、当然ながらイギリスについても住宅価格がずっとプラス傾向となっています。

以下はイギリスでの実際の住宅価格推移になります。

物件価格が下がっていたり、停滞していたりする時期はあるものの、このように長期的に見るとイギリスの不動産価格は上昇していることが分かります。日本のように、住宅が古くなるに従って物件価格が下落することはなく、むしろ時間が経過するほど不動産価格が高くなるわけです。

当然、日本のように賃料を下げることはありません。むしろ、毎年上げていくのが海外不動産投資では普通です。

・アメリカ不動産のような値上がりはない

ただ注意点として、「イギリス不動産の値上がりがある」とはいっても、アメリカ不動産のような値上がりはありません。同じ先進国だと、どうしても比較対象になるのはアメリカですが、物件価格の上昇率という意味だと米国不動産に比べるとゆるやかです。

イギリスはアメリカほど大きな国ではなく、移民の数も米国ほどではないため、結果として不動産価格の上昇率は低めになっています。ただイギリスだと、日本のような物件価格の下落はないというわけです。

古い家ほど価値が上昇し、築200年以上は当たり前

また日本とイギリスを比べたとき、住宅事情もかなり違っています。日本だと台風や地震が多く、これらに耐えるために木造の住宅がメインです。

一方でイギリスでは、ハリケーン(台風)が来ることは日本に比べると圧倒的に少ないです。またヨーロッパなので地震が起こることはほぼありません。そうしたこともあり、地震のないイギリスでは石やレンガ、ブロック造の建物が主流となります。

またこうしたレンガ造りの建物だと、築200年や築300年でも特に珍しいわけではありません。むしろ、そうした古い家のほうがプレミアが付くようになり、多くの人にとって人気です。要は、古い家のほうが付加価値を付けられるというわけです。

レンガ造りという性質上、イギリスではむしろ古い家のほうが多くの賃料を取ることができ、さらには物件としても価値も上昇します。これにより不動産価格の値上がりが加わるため、インカムゲイン(賃料収入)だけでなくキャピタルゲイン(物件価格の上昇)も狙えるというわけです。

外国人でも土地を所有できる投資環境

さらに重要なのは、イギリスでは外国人であっても土地を所有できることです。不動産投資で土地を保有できるというと当たり前のように感じますが、海外不動産投資ではそうではありません。海外では、外国人の土地購入に制限をかけているケースが多いです。

例えば東南アジアでは、100%の確率で以下のようなコンドミニアムへ投資することになります。

これは現地の駐在員を相手にするという意味もありますが、一番の理由は「外国人が土地を購入できないため、投資先がコンドミニアムに限られる」ことになります。

一方でイギリスだと、そうした制限がないというわけです。そのため、自由に不動産へ投資できる環境が整っているといえます。

レンガ・ブロック造のロンドン一戸建て住宅へ投資するのが基本

それでは、イギリスの中でもどのような場所へ投資するのが最適なのでしょうか。これについては決まっており、イングランドです。

イギリスはイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4地域から成り立っています。先ほど人口増加が続いていると述べましたが、もっと正確にいうと「イングランドで人口増加となっている」となります。つまり、他の地域は特に人口増とはなっていません。

またこうしたイギリスのうち、イングランドの首都がロンドンです。そこで、ロンドン郊外にある一戸建て住宅へ投資するようにしましょう。

新築ばかりの日本とは違い、イギリスでは中古不動産の売買がメインです。また前述の通り、古い住宅のほうがプレミアが付くようになります。そのため一戸建て住宅へ投資しても何も問題なく、最終的な不動産売却の場面でもスムーズです。

なおロンドン郊外となるのは、そこにイギリス人の金持ちが住むからです。狭い家でも問題ない日本人でさえ、東京の大都会に家族で住もうと考える人は少ないです。そうではなく中心部から少し離れた、子育てしやすい環境を求めるわけですが、これが欧米人になるとその傾向がさらに強くなります。

こうした理由があるため、イギリスでの不動産投資で失敗しないコツは「ロンドン中心部から少し離れた場所で一戸建て住宅へ投資し、現地の人を住まわせる」ことになります。

学生寮やホテルへの投資など、微妙な案件は手を出さない

ただロンドンを含めたイギリスでの海外不動産投資案件を見ると、非常に怪しく「詐欺に近いのでは?」という案件がたくさん出されています。代表的なものを挙げると、学生寮やホテルへの投資などがこれに該当します。

全世界に共通しますが、学生寮はリスクの高い不動産投資になります。入居者は入学時期に殺到するようになり、仮にこの時期に入居者が決まらなければ、1年間は家賃収入を得ることができません。

また、一番重要なリスクとして「物件を保有後、最終的に誰に売るのか」があります。学生寮なのでレンガ造りなどではなく、特にプレミアが付くわけではありません。また物件の販売先は不動産投資家だけであり、一般的なファミリー世帯が興味を示すことはありません。

しかも学生寮について、一棟を保有する人はいても、1Kなど非常に狭い部屋を一つだけ保有しようとする投資家はほとんどいません。これは、日本でも同様だと思います。つまり、海外不動産投資で最も重要な出口(最終的な売り先)がありません。

この問題点はホテル投資でも同様です。イギリスではなぜかホテル投資の案件を紹介する不動産会社が多いですが、ホテル投資はほぼ詐欺案件で知られています。それなりに稼働率が高くても、それ以上に固定費やメンテナンス費用が出ていくため、ほぼ儲からない(または赤字)となります。もちろん、ダメな案件なので最終的な売却もできません。

こうした現状を正しく理解したとき、イギリス不動産投資で「学生寮やホテルへの投資を積極的に勧めてくる業者」はすべて詐欺です。最後の不動産売却ができず、取り扱うのが圧倒的に難しくリスクの高い不動産を顧客に買わせようとしているからです。

一般的な英国不動産の表面利回りは5~6%

そうしたとき、実際に英国不動産へ投資する際に気になるのは利回りです。これについては、イギリス不動産へ投資するときの表面利回りは一般的に5~6%ほどになると考えましょう。

これについては以下の通り、イギリスで不動産売買を広く手掛ける会社が利回りを公開しています。

出典:SDL Auctions

例えばロンドンへ投資する場合、上図によると平均での表面利回りは5.75%ほどになります。そのため平均的な表面利回りとしては、東京で投資するときに比べて高めの表面利回りとなります。

ここから税金やその他の経費を差し引くと、実質利回りは4%ほどになります。

日本の都市部の場合、毎年1.7%の高額な固定資産税&都市計画税があるため、元々の表面利回りが低いにも関わらず、そこからさらに税金支払いで利益率が低くなります。一方で英国では、固定資産税は入居者が支払うことになり、税金支払いでの維持費がほぼ存在せず、その分だけ利回りは非常に良くなります。

不動産投資をする場合、日本よりもイギリスのほうが表面利回りが良く、さらには税金面での支出が少ないので実質利回りも良くなっています。

・利回り保証を押し出す業者は詐欺

なお利回りという意味では、海外不動産投資の中でもなぜかイギリスについては、利回り保証付きの案件が非常に多いです。たただ学生寮案件などと同様に、利回り保証は詐欺案件の代表格です。そのため、こうした利回り保証を説明してくる業者から物件を購入して投資を始めてはいけません。

利回り保証とはいっても、多くは「税金を考慮していない」「満室が前提となっている」などの条件です。さらには不動産投資後に住む人が見つからず、利回りが保証水準を下回ったら業者は消え去るようになります。

そもそも、投資で元本保証や利回り保証が存在するはずがありません。そうした業者ほどイギリス学生寮などの詐欺物件を紹介してきますが、必ず無視をしなければいけません。

投資時の税金や費用を理解する

それでは、税金についてはどのようになっているのでしょうか。英国不動産投資の税金についても理解しなければ、正しい投資を実践することはできません。

このときイギリス不動産投資では、以下のような税金が必要になると理解しましょう。

【物件購入時:土地印紙税】

不動産を購入する場合だと、土地印紙税がかかってきます。それなりに高額な税金であり、税率は物件価格によって以下のようになっています。

  • ~£125,000(約1,625万円)以下:0%
  • ~£250,000(約3,250万円)以下: 2%
  • ~£925,000(約1億2,000万円)以下:5%
  • ~£1,500,000(約1億9,500万円)以下:10%
  • £1,500,000 ~(約1億9,500万円)超:12%

日本でいう不動産取得税に当たるのが英国不動産での土地印紙税です。日本の不動産取得税は3~4%なので、イギリス不動産の土地印紙税も似た税率になっていると理解すればいいです。

そうして、これに不動産仲介会社へ支払う手数料が必要です。手数料は日本と同じく取引価格の3%ほどになります。

【物件保有時】

なおイギリスの場合、前述の通り固定資産税は入居者が支払います。英国では、日本でいう住民税に当たるものが存在せず、その代わりとしてCouncil Tax(カウンシル税)が課せられます。このCouncil Tax(カウンシル税)が家に割り当てられており、イギリスの不動産に住む限りは必ず支払わなければいけません。

ただCouncil Tax(カウンシル税)については、住民税と同時に固定資産税と似た役割も果たします。なお物件のグレードによってCouncil Taxで支払う税金は異なりますが、ザックリと年間13~40万円となります。最高グレードの物件に近づくほど、Council Tax(カウンシル税)も高くなります。

このときはA~Hとグレードごとに分けられますが、以下のように年間のCouncil Tax(カウンシル税)が違ってきます。

入居者がいる場合、Council Tax(カウンシル税)を住んでいる人が支払うことは既に述べました。ただ入居者がいない場合、イギリス非居住者であってもあなたがCouncil Taxを支払うことになります。

英国非居住者なので住民ではないものの、物件保有者として税金がかかるのです。そのため、イギリス不動産投資では入居者が入りやすい物件を購入して、Council Tax(カウンシル税)を肩代わりしてくれる住人を素早く見つけることが重要になります。

・所得税は累進課税となる

なおCouncil Tax(カウンシル税)よりも重要なのが所得税です。イギリスにて所得を得た場合、現地で納税しなければいけません。このときの所得税率は以下のようになります。

  • ~£11,000(約143万円):0%
  • ~£43,000(約559万円):20%
  • ~£150,000(約1,959万円):40%
  • £150,000 ~(約1,959万円)以上:45%

日本人として英国不動産へ投資する場合、経費などを差し引くと多くのケースで年間所得は「~£11,000(約143万円):0%」の間に収まります。そのためイギリスで支払う所得税はゼロ(または非常に少ない)と考えて問題ありません。

【物件売却時:キャピタルゲイン税18%】

また物件を売却するときについては、キャピタルゲイン税を支払うことになります。物件の値上がりによって利益を得た場合、キャピタルゲイン税を取られるのはどこの国も同じです。

このときイギリス不動産では、キャピタルゲイン税として売却益の18%を支払うと考えましょう。

厳密にいえば、「イギリス国内で所得税率40%以上の人だと、不動産売却によるキャピタルゲイン税が28%になる」という取り決めは存在します。ただ英国の非居住者である日本人がイギリスにて所得税率40%以上になることはないため、キャピタルゲイン税18%で考えれば問題ありません。

これに加えて、不動産業者へ支払う仲介手数料として売値の3%に対する費用が発生するようになります。

英国不動産での銀行融資は無理

このように税金が安く、不動産価格が上がり、古い物件ほど評価されることから、日本に比べて成功する要素しかないのが英国不動産です。ただ、実際のところイギリス不動産を行うのは非常にレベルが高くなっています。この理由に融資の獲得があります。

まず、イギリス国内の銀行を利用して融資を受けるのは不可能だと考えましょう。これは、現地の非居住者は英国国内で銀行口座を開設することができないからです。現地で銀行口座を作れないというのは、融資を受けられないことを意味しています。

また日本国内の金融機関に頼るのも無理です。アメリカ不動産投資であれば、数は少ないものの日本国内の金融機関を利用し、米国不動産を担保に入れることで借入できるケースがあります。ただ、英国不動産では無理です。

そのためイギリス不動産へ投資する場合、すべて自己資金で何とかしなければいけません。

このとき学生寮のような詐欺案件ではなく、一戸建て住宅の真っ当な投資案件を考える場合、最低でも3,000万円以上の資金は必要です。投資先の条件としては日本に比べて優れるものの、実際のところイギリス不動産投資を実践する人がほとんどいないのは、こうした融資の問題があるからなのです。

英国不動産のメリット・デメリットを理解する

優れた投資を実現するためには、投資先の国を十分に理解しなければいけません。これをせずに投資をすると、いくら日本よりも投資で勝ちやすい英国不動産であっても失敗します。よくあるのが学生寮やホテルへの投資であり、こうした詐欺案件は避けるようにしましょう。

そうではなく、ロンドン中心部から少し離れた郊外へ投資していきますが、正しく投資をすれば実質利回り4%ほどになります。

またイギリスでは日本に比べると税金が安く、利益が残りやすくなっています。ただ融資を利用できず、全額自費での投資になるため、現金で3,000万円以上を用意しなければならず非常に投資しにくくなっているのが英国不動産です。

このようにメリットがあればデメリットもあるため、これらを正確に把握することから始めましょう。そうすることで、ようやく海外不動産投資で成功できるようになります。

米国不動産投資で個人・法人が節税し、利回り7%以上の物件で資産運用する

最もリスクが低く、条件が良い海外不動産投資の国がアメリカです。「海外不動産投資=アメリカ不動産」というほどであり、これには人口増加や空室率の低さ、物件価格の値上がりなどが理由として挙げられます。

東南アジアの不動産だとインカムゲイン(賃料収入)の利益を得られず、節税効果もありません。一方で米国不動産では「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」「節税効果」の3つを得られるため、圧倒的に優れた利回りを実現できるようになります。

ただアメリカ不動産の中でも富裕層向けでリスクが低く、さらには将来の値上がりを期待できる物件へ投資しなければいけません。

これを実現するため、アメリカ現地にオフィスをもつ優良の大手エージェント会社を紹介します。「すべて日本語で完結できる」「融資を引き出せる」「物件購入後の管理や売却までサポートしてくれる」という会社であり、米国不動産投資での問題点をすべて解決できるようになっています。

なおリスクの高い物件は取り扱っていない会社であり、インカムゲイン(賃料収入)での利回りは7~8%ほどになります。ただ、こうした利回りにて米国不動産へ投資し、数年後の物件価格の値上がりを期待しつつ、さらには個人・法人による節税まで可能になっています。

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