これからアメリカ不動産投資を考えている場合、事前に必ず理解するべきは購入時の税金や費用、登記の流れになります。
あくまでも投資目的での資産運用であるため、米国不動産でどれくらいの税金・費用がかかるのか事前に知っていなければ、最初にいくらの金額を用意すればいいのか把握できません。税金や手数料を知るからこそ、実際の購入費用を把握できるのです。
またその後は、不動産登記するまでの流れを理解しなければいけません。どのような手順により、アメリカ不動産を登記するのか理解すれば、スムーズに米国不動産を購入できるようになります。
そこでどのようにお金が必要になり、どのような手順によってアメリカ不動産を購入するようになるのか解説していきます。
もくじ
米国不動産投資は物件購入時の税金(不動産取得税)はない
当然ですが、投資で最も重要になるのは費用です。不動産投資では、どれだけのお金が必要になるのか最初に把握しなければいけません。そうすることで、ようやく投資で必要な実質利回りを算出できるようになるからです。
そうしたとき米国不動産投資については、購入時だとお金がほとんどかからないようになっています。まず、購入時の税金はありません。日本だと不動産取得税を含め高額な税金支払いが必要になるものの、これらの税金(不動産取得税)がアメリカではないのです。
また不動産会社への支払仲介料も不要です。これらの費用は売主が「物件価格の6%を支払う」のようになり、売主が負担することになります。買主が支払うわけではありません。
そのため物件購入時の税金や手数料という意味では、アメリカ不動産投資は非常に金額が安くなるという特徴があります。
購入時に必要な物件調査費用とエスクロー費用
それではまったくお金を追加で支払う必要がないかというと、当然ながらそういうわけではありません。事前に支払うべきお金は物件購入費用に限らず存在します。
この中でも、以下のような費用が購入時に上乗せされるようになります。
- 物件調査費用:インスペクション
- エスクロー費用
物件調査費用については必須になり、物件に欠陥があるかどうかの調査をしなければいけません。これをインスペクションといいます。
日本では考えられないですが、アメリカでは「キッチンの火が付かない」「ハリケーンがきたときいつも雨漏りがある」などのまま、売りに出されることが頻繁にあります。そこで、物件について欠陥があるかどうか調査するのです。
以下のような物件について、配管や屋根裏を含めてすべて調査すると考えましょう(売りに出されるときは、家具類はありません)。
またこれに加え、エスクロー費用も必要になります。エスクローは日本人にとって馴染みがないですが、「確実にお金の受け渡しをするための外部機関」と考えればいいです。
不動産は金額が高額になるため、不正があると大きな損失を背負うことになります。そこでエスクロー会社を通します。物件購入時はお金をエスクロー会社に支払い、対象の不動産について問題ないかどうかを調査します。その後、正式に契約をして登記されたらエスクロー会社から売主にお金が支払われるというわけです。
これによって安全にお金のやり取りをすることができ、エスクロー会社には物件価格の1%ほどが手数料として必要になります。
ちなみに先ほど「税金支払いはない」と記しましたが、固定資産税の日割り費用を支払うことはよくあります。ただ、これについてはエスクロー費用の中に含まれていることが多いです。
実際の不動産購入の流れや手続きを把握する
このように税金が基本的になく、不動産仲介の手数料も買主負担がないのが物件購入時です。
もちろんアメリカ不動産投資では7~10年ほど保有した後に売却するのが基本です。そのため売却時はキャピタルゲイン税や不動産の仲介手数料を課せられます。ただ、購入時は非常に安くて済むというわけです。
それでは、実際に不動産を購入するときはどのような手順になるのでしょうか。不動産になるので契約書へのサインが必要であり、登記作業も必要になります。そのため日本の不動産と同じように複雑な手順になりますが、ザックリと以下のような流れになると考えましょう。
- 予算を決め、投資エリアや不動産のエージェントを選定する
- 売主へオファーを出し、交渉する
- 銀行口座開設や個人用納税者番号(ITIN)を取得する
- 融資の申し込みを行い、ローンの手続きを進める
- 契約書へのサインと同時にエスクローを開始する
- 物件調査を行い、問題ないなら登記簿謄本へ正式に登記される
不動産の売買や登記のため、どうしても手続きは多くなります。それぞれ、どのようになっているのか解説していきます。
予算を決め、投資エリアや不動産のエージェントを選定する
当然ですが、アメリカとはいっても非常に国土が広いため、どのエリアへ投資するのか考えなければいけません。そこで予算を決め、投資エリアを選定するようにしましょう。
例えば、以下のような不動産へ投資するとします。
こうした不動産について、カルフォルニア州ロサンゼルスであれば1~2億円以上になります。一方でテキサス州ダラスなら3,000~4,000万円ほどです。エリアによって値段が異なりますし、もちろん利回りも違ってきます。
また、同時に不動産投資のエージェントを選定しなければいけません。実際のところ、アメリカの非居住者(日本の在住者)がアメリカ現地へ出向いて英語で何度も交渉し、契約書へサインし、賃貸として貸し付けを自ら行うのは不可能です。
たとえアメリカに住んでいる人であっても、アメリカ現地に事務所をもつエージェントを通して売主へオファーを出すのが基本です。そうしたことを考えると、投資エリアだけでなく同時に不動産のエージェントについても調査するようにしましょう。
売主へオファーを出し、交渉する
その後、売主へオファーを出します。米国不動産投資では、不動産のエージェント経由で「この不動産を購入したいので交渉してほしい」と依頼します。
そうして価格交渉していきますが、当然ですがすべての不動産オファーについて売主が応じてくれるわけではありません。他にも不動産を買いたい人からのオファーがあるため、不動産を購入したいと思ったときは「100件のオファーを入れて2~3件ほど決まる」と考えましょう。
つまり成約率は良くて2~3%ほどであり、こうした地道な作業を繰り返していきます。
もしくは、米国不動産投資を専門として取り扱っている日本の会社の中には、既にアメリカ現地で不動産を保有しているケースもあります。その場合であれば、不動産会社が既に保有している物件を購入するので確実であり、非常に楽です。
参考までに私の場合、アメリカにて以下の物件を保有していますが、アメリカで既に不動産を保有している日本の業者から購入しました。
金額は3,500万円ほどであり、実質利回りは4%くらいになります。これに節税効果やキャピタルゲインを含めると利回りはさらに改善しますが、こうして賃料収入を米ドルにて得ています。
銀行口座開設や個人用納税者番号(ITIN)を取得する
それと同時に銀行口座開設をしなければいけません。米国不動産投資であるため、賃料は米ドルにて入ってきます。そのため、米ドル口座を保有するのは必須だと考えましょう。私の場合であれば、以下のように自分の米ドル口座にドル資産が貯まっています。
どのような米ドル口座が必要になるかというと、これについては提携先のエージェント会社によって違ってきます。ただ、主に以下の2パターンに分かれます。
- アメリカ現地にて銀行口座を開設する
- 日本の銀行を通し、現地の米ドル口座を開設する
アメリカでは、米国の非居住者であっても銀行口座を開設することができます。そのため米国へ行き、銀行口座開設できます。参考までにハワイアンバンクであれば、ハワイにて日本語のみで銀行口座開設できます。
またアメリカの銀行口座については、三菱UFJ銀行でも口座開設が可能になっています。三菱UFJ銀行はアメリカのユニオンバンクの代理店であり、日本に居ながらアメリカ現地の銀行口座を開設できるようになっています。
そのためアメリカまで出向き、銀行口座開設の交渉をするのが面倒なのであれば、ユニオンバンクにて銀行口座開設するという方法でも問題ありません。
・個人用納税者番号(ITIN)を取得する
なおアメリカ不動産投資をする場合、必ず現地で確定申告しなければいけません。厳密には確定申告なしでもいいですが、その場合は「賃料収入に対して30%の源泉徴収税」という異常なほど高額な税金を課せられるようになります。
そのため、米国不動産投資をするほぼ全員が現地で確定申告します。確定申告さえすれば、利子払いや減価償却費などの経費を考えると、アメリカでの所得税は基本的にゼロになります。
そのためには個人用納税者番号(ITIN)が必要になります。これについても国内の不動産エージェントが手配してくれるため、事前に聞いておくといいです。
融資の申し込みを行い、ローンの手続きを進める
また物件購入の交渉がまとまったのであれば、次は融資の申し込みをしなければいけません。不動産投資ではすべて自己資金で行う人はほぼ存在せず、銀行融資を受けることで不動産投資を開始するのが普通です。これは米国不動産投資でも同様です。
ただ日本国内の不動産ではないため、ローンのハードルは非常に高くなっています。そうしたとき、主に以下の2つの方法があります。
- 日本国内の金融機関からお金を借りる
- アメリカ現地の銀行を利用する
東京など首都圏や大阪近辺に不動産(アパートやマンション)を保有している人であれば、これらの不動産を担保に入れることで借入できるようになっています。オリックス銀行が有名であり、このような担保は必要ですが海外不動産投資の資金調達で活用できます。
ただ実際のところ、そうした国内不動産を保有している人は少数です。その場合、アメリカ現地の不動産(投資先の不動産)を担保に入れて投資したいと考える人は多いですが、これに対応している数少ない金融機関にアイビーネット(iBNet)があります。金利3%ほどでの融資になります。
または英語能力に長けており、現地にて交渉が可能な人であればアメリカの銀行を利用しても問題ありません。私はアメリカの銀行にも出向いたことがありますが、以下は実際の様子です。
アメリカだと投資用のローン金利が5%と高めです。また、現地に2年以上住んでいない人はクレジットスコアが足りずに、融資の獲得は非常に難しくなりますが、銀行によっては交渉次第で可能になります。
契約書へのサインと同時にエスクローを開始する
売主との交渉やローン審査に問題がなければ、正式に契約書へサインすることになります。このときの交渉も日本側のエージェントを通すのが一般的です。
日本だと、不動産の売買契約について相手側の不動産会社が提示してきた内容に不備があるのはあり得ません。ただ、アメリカでは契約書に間違いがあるのは普通であり、内容を精査しなければいけません。しかし難しい不動産契約の内容であるため、英語に堪能な人であっても契約の全容を理解するのは無理です。
そのためアメリカ現地に店舗を有する日本の不動産会社(エージェント)へ依頼します。こうした会社を通して契約書に不備がないかどうかを確認し、問題がなければサインをします。また、同時にエスクローとして手付金を支払うことになります。
物件調査(インスペクション)を行い、問題ないなら正式に登記される
エクスロー開始後は登記簿謄本を取り寄せて調査したり、実際に物件で欠陥がないかのリサーチ(インスペクション)をしたりします。このとき大きな問題が発覚した場合、まだエスクローの段階なのでキャンセルすることができます。
これらすべての調査を行い、登記簿謄本の内容や物件調査(インスペクション)で問題ないことが分かり、双方が合意すれば最終的な契約書や登記書類へサインするようになります。
その後、エスクロー残金を支払って正式に所有権移転登記が行われ、対象のアメリカ不動産があなたの所有物になります。もちろん物件購入だけでなく、その後は不動産管理会社を利用して物件管理を継続したり、住む人を見つけたりする作業は必要になります。
ちなみにローンを組む場合、審査があるので売主からの売買交渉がスムーズに進んだとしても、すべての交渉が終わるまで1ヵ月以上(30~45日ほど)の期間が必要になることは理解しましょう。
米国不動産投資で物件購入の手数料や手順を把握する
ここではアメリカ不動産投資をするとき、物件購入時の購入代金に加えてどのような税金や費用が発生するのかについて解説してきました。購入時については、買主は追加費用がほとんど発生しません。あるとしても、 物件調査費用(インスペクション)やエスクロー費用くらいになります。
そうしたうえで、次に不動産購入の流れについて理解しておきましょう。日本だと「自分で売主と交渉する」「不動産会社を通す」などさまざまな方法があるものの、アメリカ不動産の場合は場所が離れていることもあり、普通は現地オフィスのある国内のエージェント会社を通すようになります。
つまり日本国内の不動産会社の選定が最も重要になりますが、そうした会社を通じて売主と交渉し、契約書へのサインやエスクロー後の物件調査などを実施していくと考えるようにしましょう。
これらの作業が完了したら、正式に登記となります。あとは不動産管理会社を利用して継続して物件を管理し、住む人を見つけて賃料収入を得るだけとなります。
最もリスクが低く、条件が良い海外不動産投資の国がアメリカです。「海外不動産投資=アメリカ不動産」というほどであり、これには人口増加や空室率の低さ、物件価格の値上がりなどが理由として挙げられます。
東南アジアの不動産だとインカムゲイン(賃料収入)の利益を得られず、節税効果もありません。一方で米国不動産では「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」「節税効果」の3つを得られるため、圧倒的に優れた利回りを実現できるようになります。
ただアメリカ不動産の中でも富裕層向けでリスクが低く、さらには将来の値上がりを期待できる物件へ投資しなければいけません。
これを実現するため、アメリカ現地にオフィスをもつ優良の大手エージェント会社を紹介します。「すべて日本語で完結できる」「融資を引き出せる」「物件購入後の管理や売却までサポートしてくれる」という会社であり、米国不動産投資での問題点をすべて解決できるようになっています。
なおリスクの高い物件は取り扱っていない会社であり、インカムゲイン(賃料収入)での利回りは7~8%ほどになります。ただ、こうした利回りにて米国不動産へ投資し、数年後の物件価格の値上がりを期待しつつ、さらには個人・法人による節税まで可能になっています。