東南アジアで重要な国の一つにベトナムがあります。アジアで発展している国であるため、ベトナムにて海外不動産投資を開始することで資産運用することを考えるのです。
成功すれば、東南アジアでの投資でキャピタルゲインを狙うことができます。ただベトナムについてはキャピタルゲインを期待できず、不動産価格は値上がりしません。また社会主義の国であり、外国人への投資規制も強いのがベトナム不動産の特徴になります。
そのため、正直なところベトナムにて海外不動産投資を活用するのはかなりリスクが高くなっています。さらに融資をほぼ利用できないため、自己資金で行わなければいけません。
これら悪条件がそろっているため、ベトナム不動産を購入するくらいなら日本の不動産へ投資したほうがいいです。具体的にベトナムでの海外不動産投資の現状がどのようになっているのかを解説していきます。
もくじ
東南アジアで経済成長率の高いベトナム
発展途上国の多くで共通していますが、ほとんどの国々で経済成長率が非常に高くなっています。これは東南アジアのベトナムも同様であり、毎年6~7%ほどの成長です。
もちろん人口も増え続けているため、日本とは違って経済が長期的に成長し続けているわけです。
※出典:世界銀行
そのため経済成長しているベトナムでの投資を考えるようになりますが、「経済成長している=海外不動産投資に優れている」わけではありません。当然ですが、ベトナムならではの特徴を理解する必要があります。
投資先はほぼコンドミニアムで外国人を住まわせる
不動産投資をするとき、投資先を決めなければいけません。このとき、東南アジアでの海外不動産投資に共通しますが、ベトナムではほぼコンドミニアムへの投資になります。
- プレビルド(建築中の物件)を購入する
- 外国人から中古物件を購入する
このどちらかによって、新築または中古のプール付きのコンドミニアムへ投資すると考えるようにしましょう。以下のようなコンドミニアムになります。
日本人だと、現地ベトナム人が好む家を理解できません。つまり、アジアの現地人向け不動産に投資をしても難しいのです。そこでこうした高級コンドミニアムへ投資して、現地に住む外国人をターゲットに投資するのが大原則になるのです。
・全戸数の30%まで保有できる
高級コンドミニアムのため、その中の一室を保有すると考えましょう。コンドミニアム1棟の全戸数のうち30%まで外国人が保有できるため、そのうちの一部屋であれば問題なく投資できます。
ホーチミン・ハノイの都市が大原則
なおベトナムで実際に投資をする場合、投資対象地域を考えなければいけません。このときの投資先は決まっており、以下の2都市のうちどちらかです。
- ホーチミン
- ハノイ
ホーチミンはベトナムで最も栄えている商業都市であり、投資先の第一選択肢になります。ホーチミンに最も多くの外国人が住んでいるため、コンドミニアムへ住む人の需要も多いのです。街も活気があり、以下は実際のホーチミンの様子です。
またハノイはベトナムの首都になります。ホーチミンに比べると劣ってしまいますが、ハノイで投資するという選択でも問題ありません。
一方でホーチミンやハノイ以外は絶対にやめましょう。失敗することがほぼ確実だからです。東南アジアの投資で失敗する典型例は「リゾート地への不動産投資」です。ベトナムだとダナンというリゾート地があり、ダナンへの投資を考えるのです。
ただ、ダナンなどのリゾート地へ投資してもコンドミニアムの需要がありません。住む外国人を見つけることができず、結果としてお金だけ垂れ流す状態となってしまいます。
・ホーチミン1区のレタントン(Le Thanh Ton)近くが優れる
ちなみにベトナムでの不動産投資に失敗したくない場合、ホーチミン1区に投資するのが基本です。ベトナムで最も栄えている地域がホーチミン1区です。またホーチミン1区の中でも、レタントン(Le Thanh Ton)の周辺にあるコンドミニアムが優れています。
レタントンは日本人街で知られており、ここには多くの日本人が住んでいます。そこで日本人の駐在員向けに部屋を貸し出すのです。
日本人であれば、「トイレをウォシュレットにする」だけで住むのを決めてくれます。日本人オーナーだからこそ、日本人が好む家を理解できるのです。
投資期間は50年まで!中古物件は外国人から使用権を引き継ぐ
なお、日本人がベトナムへ投資するときに「ほぼコンドミニアムになる」のは他にも理由があります。それは、原則として外国人はベトナムの中古不動産を購入できないからです。つまり新築物件の購入が大原則となります。
またはベトナム人からではなく、外国人からの引継ぎであれば中古物件の購入が可能です。外国人がベトナム国内に保有しているのはコンドミニアムがほとんどです。そのため、コンドミニアムの中古物件しか基本的には購入できません。
また外国人について不動産を保有できる期間は50年と決められています。このとき外国人から不動産を購入するとき、保有権利を引き継ぐことになります。例えば前の人が8年保有して売った場合、「50年 - 8年 = 42年」が外国人の所有できる残りの期間になります。
・自由な転売ができず、出口を作りにくい
こうした縛りがあるため、ベトナムでは不動産投資をしにくくなっています。もっというと、出口(不動産の売却)を作りにくいという特徴があるのです。
値段が高額なため、コンドミニアムを現地のベトナム人が保有することはほとんどありません。保有者はほぼ外国人になります。
それにも関わらず長く外国人が所有した不動産物件だと、「残りの保有権利」が短くなり、売りにくい物件になってしまいます。買い手が付きにくくなるため、自由な転売ができません。ベトナム不動産では、不動産投資したものの物件を売れない状況に陥ってしまうリスクが他の国よりも高いといえます。
社会主義によるカントリーリスクがある
また意外と知られていませんが、ベトナムは社会主義の国になります。事実、かつてフランス領だったホーチミンは活気にあふれているものの、首都ハノイは非常に暗い雰囲気となります。
治安自体は悪くないものの、夜になると人の外出が減り、町が暗く静まり返るのが首都ハノイ(社会主義の影響が強い街)なのです。
このような社会主義国というのは、投資をするときにリスクが非常に高いという共通点があります。国民の意見を無視して、政府の一存で国の制度を大きく変えることができるからです。当然、海外不動産投資を実践するうえで社会主義という事実は大きなカントリーリスクとなります。
しかも、ここまで説明した通りベトナムでは外国人に対する不動産投資の規制が厳しくなっています。こうした規制というのは、社会主義ではより強くなってしまう可能性が高いのです。
基本的に融資は期待できず、自己資金で投資する
なお、ベトナムでの不動産投資をさらに難しくしている一因として、融資制度があげられます。「ベトナムで現地の銀行に申し込み、住宅ローンを得る」のは基本的に無理だと考えるようにしましょう。つまり、すべて自己資金で何とかするしか方法がありません。
日本の銀行に掛け合ったとしても、海外不動産投資ではほぼ融資の審査に通りません。ベトナムも日本でもお金を借りられないため、融資の活用という意味では不利だといえます。
なお仮にベトナムで住宅ローンを利用できたとしても利率は非常に高くなってしまいます。金利は8%以上であり、例えば以下はベトナムの銀行が実際に出している年利になります。
新興国では、どこも融資を受けるときの金利が非常に高くなっています。そのためベトナムでは、高金利のためにいずれにしても銀行融資を活用して投資するのが現実的ではなくなっているのです。
表面利回りは5~6%ほどになる
なお発展途上国ではあっても、ベトナムのホーチミン1区にあるコンドミニアムに住む場合には、それなりに家賃が高額になります。これも現地ベトナム人ではなく、外国人が相手になる理由です。
例えば、以下はホーチミン1区にあるコンドミニアムについて、50~60m2くらいの部屋を借りるときの値段です。
おおよそ月に3,000万ベトナムドン(約15万円)です。1~2人が暮らせるほどの部屋の大きさですが、ここから賃料は意外と割高だと理解できます。
一方で実際に不動産投資をする場合、もちろんコンドミニアムによって金額は異なりますが、50m2ほどの部屋を購入する場合は6~10億ベトナムドンになるケースが多いです。例えば、以下は実際に掲載されている50m2ほどの部屋へ投資するときの金額です。
仮に条件を良く見積もり、月3,000万ベトナムドン(約15万円)の賃料収入に対して、6億ベトナムドンで投資した場合、表面利回りは6%になります。
当然、かなり良く見積もってこの表面利回りのため、実際には表面利回りはより下がると考えましょう。日本の不動産投資よりは利回りがいいものの、それでも表面利回りは6%ほどと意外と高くないことが分かります。
固定資産税はなく、税金は優れている
ただ税金や維持費用については、ベトナムは優れています。税金面で差し引かれる経費が少なくなっているのです。
【不動産の購入時】
まず不動産の購入時には以下の税金支払いが必要になります。
- 付加価値税(VAT):税率10%。消費税であり、不動産価格に含まれることが多い
- 印紙税:物件価格の0.5%
【不動産の保有時】
一方で不動産保有時の固定資産税はありません。日本だと高い固定資産税の支払いが必要になるものの、ベトナムではそうした固定資産税がないのです。そのため、管理会社への支払いや修繕費などの経費を支払うだけです。
ちなみにベトナムの所得税については、ベトナム非居住者の外国人は「所得税5% + 付加価値税5% = 10%」を一律で課せられます。
【不動産の売却時(キャピタルゲイン税)】
またベトナム不動産は、必ずどこかの時点で売却することになります。このときの課税については、譲渡益(キャピタルゲイン)に対して課せられる税金というよりも、売却価格に課税されます。
譲渡税として、不動産の売買価格2%の税金を支払うことになります。キャピタルゲイン税として譲渡益ではなく、売却額が課税対象であることに注意が必要です。
キャピタルゲインは期待できない
なお東南アジアで不動産投資を考える人の中では、キャピタルゲインを狙っている人が多いです。そのためベトナムで表面利回りが低かったとしても、さらには融資が下りなかったとしても大きな問題ではなく、不動産価値が値上がりすればいいわけです。
不動産価値が2倍になれば、譲渡税(キャピタルゲイン税の代わり)として売買価格の2%の税金を納めたとしても大きく資産を増やせます。
ただ残念ながら、ベトナムの不動産へ投資したとしても他のアジアの国々への不動産投資のように、大きな値上がりを期待することはできません。キャピタルゲインをそこまで期待できないのが、ベトナムへ投資する価値がない最大の理由になります。
参考までに、以下は外部機関が公表しているホーチミンでの不動産価格の推移です。
このように、値上がりどころか不動産価格が下落するのも珍しくありません。アジアへの不動産投資だと、常に不動産価格が値上がりしているように思ってしまいます。ただ、ベトナムではそのようになっていません。
キャピタルゲインを狙う場合、アジアへの投資であってもベトナム以外のほうが適切です。実際の数字を見ても、ベトナムでキャピタルゲインを得られる確率は低いといえます。
通貨リスクも非常に大きい
さらに致命的なのは、ベトナムドンの通貨価値が下がりやすいことにあります。同じ通貨でも、米ドルやユーロで投資する場合なら問題ありません。または、タイバーツのように新興国の中でも通貨安になりにくい通貨での投資なら、まだマシだといえます。
しかし、ベトナムドンは通貨としての信頼が非常に弱く、簡単に通貨安となってしまいます。事実、ベトナムドンは長期的にみるとずっと通貨安が続いています。以下の通りです。
ベトナムドンが通貨安になれば、ベトナムドンを日本円や米ドルへ交換するとき、わずかなお金にしか両替できません。
ベトナムではキャピタルゲインを得られない可能性があるだけでなく、これに通貨安のリスクが上乗せされるようになります。ベトナムドンで仮に儲けたように見えたとしても、長期的には通貨安となっているため、結局のところ資産運用できていないことはよくあります。
リスクが非常に高い国の一つがベトナム
海外不動産投資では、物件選びの前に「どの国に投資するのか」を選ぶ作業が必要になります。そうしたとき、ベトナムでは他の国に比べて失敗する要素が詰まっています。
- 外国人への規制が強い
- 社会主義の国
- 融資が下りない
- 表面利回りが低い
- キャピタルゲインを得られにくい
- 長期的に通貨安となっている
優れているといえば、税金が安いことくらいです。ただ税金が安くても、不動産投資で稼ぐことができなければ意味がありません。そうした視点でみると、他の東南アジアに比べて圧倒的に見劣りしてしまうのがベトナムだといえます。
ベトナムに投資するくらいなら、アジアであればタイなど別の国を選ぶほうが適切です。また、より堅実な投資ならアメリカ不動産です。海外不動産投資を検討する場合、投資先の国がどのような事情になっているのか調べたうえで投資するようにしましょう。
最もリスクが低く、条件が良い海外不動産投資の国がアメリカです。「海外不動産投資=アメリカ不動産」というほどであり、これには人口増加や空室率の低さ、物件価格の値上がりなどが理由として挙げられます。
東南アジアの不動産だとインカムゲイン(賃料収入)の利益を得られず、節税効果もありません。一方で米国不動産では「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」「節税効果」の3つを得られるため、圧倒的に優れた利回りを実現できるようになります。
ただアメリカ不動産の中でも富裕層向けでリスクが低く、さらには将来の値上がりを期待できる物件へ投資しなければいけません。
これを実現するため、アメリカ現地にオフィスをもつ優良の大手エージェント会社を紹介します。「すべて日本語で完結できる」「融資を引き出せる」「物件購入後の管理や売却までサポートしてくれる」という会社であり、米国不動産投資での問題点をすべて解決できるようになっています。
なおリスクの高い物件は取り扱っていない会社であり、インカムゲイン(賃料収入)での利回りは7~8%ほどになります。ただ、こうした利回りにて米国不動産へ投資し、数年後の物件価格の値上がりを期待しつつ、さらには個人・法人による節税まで可能になっています。