日本ではなく、海外の不動産へ投資するという手法が存在します。不動産投資というと、どうしても国内不動産がメインになります。ただ人口減少が続き、物件価値が下がり続ける日本は世界的にみても、不動産投資するときの条件が圧倒的に悪いことで知られています。
そうしたとき、投資の素人であっても失敗のリスクを最小限に抑え、圧倒的に勝ちやすいのが海外不動産投資になります。
ただ勝ちやすいとはいっても、正しい投資を実践した場合に限ります。知識を付けたうえで投資すれば素人でも成功できるメリットがあるものの、詐欺業者も多いため、調べないで投資することで騙される確率が非常に高い分野でもあります。
きちんと物件を選べば儲かる海外不動産投資ですが、何を考えて投資しなければいけないのか事前に学ぶ必要があります。そこで海外不動産投資のメリットやデメリットについて、日本との違いや投資時の注意点を含めて解説していきます。
もくじ
海外不動産投資とは、条件の優れる国へ投資すること
まず海外不動産投資とは、文字通り日本以外の国へ不動産投資することを指しますが、投資対象として何でもいいので海外の不動産へ投資すればいいわけではありません。不動産投資をするときの条件が日本よりも優れている国へ投資するのが大原則です。
例えば、いまから中国や台湾、シンガポールなどへ投資しても100%失敗します。既に不動産価格が高騰しており、利回りは低く、それでいて税金や不動産会社への支払いが発生します。その結果、簡単に赤字へ転落するというわけです。
参考までに、以下は中国や台湾の不動産へ投資したときの平均利回りです。
出典:GlobalPropertyGuide
イギリスの不動産調査会社が発表したデータですが、このように中国では表面利回り2.1%、台湾だと表面利回り2.06%となっています。ここから税金やその他の経費が出ていくため、どうやっても不動産投資で儲けることが難しくなっています。
そうではなく、優れた条件の国へ投資しなければいけません。ある程度の利回りを確保でき、物件価格の上昇も期待できる国を選ぶのです。海外不動産投資とは、何でもいいので海外で投資するのではなく、国を選ばなければいけません。
人口増加し、税制や投資環境も優れる国への不動産投資が大原則
それでは、こうした条件の良い国としては具体的にどのような国があるのでしょうか。代表的な国としては以下があります。
- アメリカ
- タイ
これ以外の国だと必然的にリスクが高くなるため、一般的にはこうした国へ投資するのが普通です。特に海外不動産では「海外不動産投資=アメリカ不動産」といわれるほど、米国不動産が大原則になります。
例えばこうした国だと人口が増加します。以下はアメリカと日本での人口推移の違いです。
出典:総務省:United Nations
東南アジアの国で人口が増えるのは誰でも想像できますが、これはアメリカも同じなのです。
またこうした国だと税制が優れており、たとえその国の非居住者であっても無駄に高額な税金を支払うことはありません。事実、アメリカでは現地で確定申告できるので税金が非常に安くなっています(確定申告しない場合、アメリカでは賃料収入に対して一律30%の源泉所得税)。
海外不動産投資では、表面利回りだけでなく現地の税制や投資環境についても理解しなければいけません。そのため日本の不動産投資とは違って学ぶべきことは多いですが、投資条件の良い国だと投資環境が優れるようになるのです。
最大のメリットは低い空室率と不動産価格・賃料の継続上昇
そうしたとき、なぜ海外不動産投資の面で優れた国へ投資するのでしょうか。これについては、人口増が進んでいることによる低い空室率が理由としてあげられます。
東南アジアだとコンドミニアムへの投資になるため、現地に住んでいる金持ちの外国人(駐在員など)が相手になります。そのため人口増はあまり関係ありませんが、例えばアメリカであれば現地の人を家に住まわせて賃料収入を得るため、人口増に伴って空室率が非常に低くなっています。
例えば日本だと、東京でも空室率は11%以上ですが、アメリカでは全米平均で空室率が7%ほどと非常に低くなっています。アメリカの場合、空室で悩むことがほぼないのです。
また人口増と共に賃貸需要が高まり、さらには経済成長による値上がりがあるため、不動産価格は上昇していくようになります。例えば、以下は米国不動産での価格推移です。
このように住宅価格が上がり、結果として毎年の賃料も上昇していくようになります。
日本だと建物の経年劣化と共に、賃料を下げていくのが常識です。ただ、これは日本の不動産環境が非常に悪いからであり、経済の成長している他の国であれば毎年の賃料を上げるのが常識というわけです。
物件売却時にキャピタルゲインを得られる
また、このように不動産価格の上昇があることから、大きなキャピタルゲイン(不動産の売却益)を得られるのが海外不動産投資です。
日本の不動産でキャピタルゲインを得るのは圧倒的に難易度が高いです。事実、新築物件よりも中古物件のほうが値段が高くなることは、ほぼありません。しかし、海外できちんと投資先の国やエリア、物件を選べば問題なく不動産の値上がり益を期待できるというわけです。
海外不動産投資ではキャピタルゲインを得られるのが大きなメリットだといえます。
こうしたキャピタルゲインについては、アメリカやイギリス、東南アジアの不動産だと得られるようになります。こうした国だと人口増加となっており、今後も国が発展していくと分かっているからです。
アメリカ不動産なら節税効果まで得られる
また日本との大きな違いとして、海外不動産投資では節税効果を得られることがあげられます。つまりインカムゲイン(賃料収入)やキャピタルゲイン(不動産の売却益)に加えて、日本にて無駄な税金を削減できるのです。
こうした節税効果の実現は海外不動産投資の中でもアメリカ不動産のみになります。木造住宅だからこそ節税が可能なわけであり、コンドミニアム(東南アジアへの投資)やレンガ・ブロック造(ヨーロッパ不動産への投資)の不動産では無理なわけです。
またこのときは減価償却費を計上しますが、土地代は減価償却できません。そうしたとき、日本だと土地の金額が高く、不動産のうち金額割合は「土地:建物=8:2」となります。
一方でアメリカでは国土が広く、土地が余っているので「土地:建物=2:8」です。米国不動産では建物割合が大きく、結果として高額な減価償却費の計上が可能になります。
「木造不動産」「建物価値が高い」という特徴からアメリカ不動産のみ節税可能ですが、例えば5,000万円の不動産(建物価値は4,000万円)の不動産へ個人が投資すると、ザックリと「毎年300万円の減価償却費を10年にわたって計上できる」ようになります。
仮に日本国内にて個人で「所得税&住民税が50%」の人だと、「300万円(減価償却費) × 50%(税率) = 150万円」もの高額な税金を削減できるようになります。
日本だと土地価格が高く、節税効果を得られることはありません。ただアメリカ不動産であれば、節税効果まで受けられるというわけです。しかも、不動産価格が下がらないというおまけ付きです。
投資の素人が勝ちやすい米国不動産
日本と違い、このような投資環境なので海外不動産投資の中でも、アメリカ不動産は投資の素人でも勝ちやすい環境となっています。このメリットは大きく、よほどダメな投資をしない限りは問題なく資産運用できるというわけです。
例えば私の場合、テキサス州ダラスに以下のような投資物件を保有しています。
3,500万円ほどの不動産ですが、表面利回りは7%(実質利回り4%)ほどの物件です。これにキャピタルゲインや節税効果が加わったため、すべてを加味した全体の利回りは8.5%を問題なく超えるまでになりました。
私はそれまで過去に国内不動産を持たず、完全素人での投資でしたが「不動産投資の経験ゼロにしては、それなりに優秀な成績だったのでは」と思います。日本の不動産ではインカムゲインしか見ず、物件価格は下がるわけですが、キャピタルゲインなど他の要素まで考慮できるのが海外不動産投資です。
融資条件が国内より悪く、富裕層や資産家のみ可能
しかし、実際のところ不動産投資の多くは国内物件が対象となります。この最大の理由は融資です。日本国内の不動産だと、場合によってはフルローンでさえも可能です。つまり自己資金なしに、すべて銀行借入だけで投資できるのです。しかも、不動産担保なしでも可能なケースがあります。
ただ海外不動産投資では、よくて「物件価値の6~7割までの融資」となります。つまり、残りはあなたが自己資金で何とか対応しなければいけません。
海外不動産では3,000万円以上とある程度のグレードの不動産へ投資するのが基本です。そうでないと「投資エリアが悪い」「値上がりを期待できない」など問題のある物件しか投資できないからです。そうしたとき、7割について融資を受けるとなると、3,000万円の家なら900万円の自己資金が必要です。
海外不動産投資では1,000万円以上の余裕資金が必要といわれます。これは、こうした融資の問題があるからなのです。
または、日本国内に残債(残りの借金返済額)が少ない不動産を有する場合、「現地不動産を担保に入れて7割のローンを組み、残り3割部分は日本国内のそうした不動産を担保に入れる」なども可能です。ただこの場合、日本に不動産を有していなければいけません。
- 余裕資金1,000万円以上ある
- 国内に残債の少ない不動産をもつ
このいずれかの条件を満たす必要があるため、一般人にとって海外不動産投資はハードルが高いというわけです。
日本の不動産へ投資するメリットは「金融機関から融資を受けやすい」ことだけです。ただ、このメリットが圧倒的に大きいため、海外よりも国内不動産への投資が盛んというわけです。アメリカなど海外不動産投資のほうが圧倒的に簡単で成功しやすいものの、融資の問題を解決しなければいけません。
・東南アジアの不動産はキャピタルゲインのみ
ちなみにアメリカ不動産をメインで話を進めていますが、東南アジアの不動産はインカムゲイン(賃料収入)での利益を得ることはできません。理由としては、銀行への支払利子が非常に高いからです。
例えば、以下はフィリピン最大の商業銀行が出している住宅ローンの利率です。
このように年利8%です。そのため利子払いだけで賃料利益の大半が吹き飛ぶようになります。これに税金や管理会社への支払いが加わるため、インカムゲインでの利益を得られないというわけです。
東南アジアの不動産は基本的にインカムゲインを捨て、キャピタルゲインのみを狙うことになります。そのためリスクが高く、ほとんどの人がアメリカ不動産を選択するのには、こうした理由があります。
情報が少なく、投資エリアは限られる
ただ海外不動産投資では融資の問題に限らず、出回っている情報が圧倒的に少ないです。海外不動産投資は素人で成功しやすいメリットがあるものの、一般人は融資の問題を解決することができず、どうしても投資先は日本国内が中心になります。そのため、海外不動産投資に関する情報はほとんど表に出てきません。
実際のところ海外不動産投資を実践する人の全体数は少なく、海外不動産投資の中で最もリスクが低く王道といわれるアメリカ不動産でさえも出回っている情報が少ないのです。
実際、世の中に出回っている不動産投資の解説本はどれも日本国内に限定されています。海外不動産投資について記された本はほとんど存在しません。
また日本であれば、東京に限らず日本全国が投資対象先となります。ただ海外の場合、現地の情報を深く理解しているわけではないため、よほどのことがない限りは都市部への投資になります。
例えば東南アジアであれば、「タイ・バンコクのスクンビット地区」「フィリピン・マニラのマカティ地区」などのように、投資するべきエリアが既に決まっています。こうした情報を知らずに投資すると詐欺に遭うため、事前に「どのような場所へ投資するべきなのか」について情報が少ない中で集めなければいけません。
詐欺業者が非常に多いデメリット
なお、このように情報が非常に少ないことから騙されやすい環境が整っているのが海外不動産投資の現状です。その結果、詐欺業者が非常にたくさん横行しています。
国内不動産でも詐欺業者は腐るほどいますが、これは海外不動産投資も同様だと考えるようにしましょう。例えば、以下のような物件を販売している業者は確実に詐欺です。
- 家賃保証(サブリース)での契約
- ホテル投資
- 地方都市の物件
- イギリス学生寮
海外不動産投資にはプレビルド(完成前の不動産)の案件があり、これでもハイリスクとなりますが、それ以上に最悪な投資内容が先に挙げた項目です。
例えば家賃保証があると、非常に安全なように考えがちです。このときはサブリースという仕組みにより、物件の又貸しをすることで家賃が保証されるというわけです。
ただ海外不動産投資で利回り保証は詐欺で広く利用されています。カラクリは簡単であり、サブリース会社が「とんずら」によって途中で消えたりします。その結果、家賃保証がなくなるというわけです。
こうした罠が海外不動産投資であるのですが、無知のまま投資してしまうと、詐欺会社に引っかかってしまうというわけです。そうしたとき、例えば以下の案件はダメな要素がすべて詰め込まれている案件であると分かります。
タイ・バンコクではなくパタヤという田舎での投資です。これに利回り7%の保証があり、ホテル投資の案件です。要は確実な詐欺案件であり、こうした投資詐欺が大々的に行われているのが海外不動産投資だと理解しましょう。
特別に高いインカムゲインの表面利回りは得られない
また他の海外不動産投資のデメリットとしては、特別に高い利回りではないことがあげられます。実際に海外不動産投資を活用すれば分かりますが、あまりにも高い利回りは期待しないほうがいいです。
「日本国内よりも、海外のほうが高い利回りを実現できる」という業者がいた場合、確実に詐欺だといえます。実際のところは違うからです。
事実、日本やアメリカよりも表面利回りが高いといわれる東南アジアでは、ここまで解説した通りむしろインカムゲイン(賃料収入)の利益はゼロになります。これは借入に伴う銀行利子などその他の支出が多くなるからです。
そもそも利回りだけを考えるのであれば、日本の田舎へ投資すれば実質利回り20%以上は普通です。またアメリカでも、デトロイトのような治安の悪い地域だと実質利回り20%は当然です。ただリスクが高すぎるので結局失敗するわけですが、利回りについては海外だから優れるわけではないのです。
そうはいっても、海外の場合はインカムゲインによる利回りだけでなく、キャピタルゲインなど他の要素が加わることが大きいです。
特にアメリカだと、例えば私の場合ならインカムゲインの実質利回りは4%ほどであり、この数字だけみると大したことはありません。ただここに不動産価格の値上がりや節税効果まで加わるため、結果的に全体で利回り8.5%以上となったわけであり、日本で投資するよりも優れた効果を得やすいというわけです。
ただいずれにしても、「海外不動産投資=インカムゲインによる高い利回り」を考えている場合、実際には違う現実を認識しなければいけません。
正しく物件を選んで投資する
実際のところ「海外不動産投資は儲かるのか」について、正しく投資をすれば大きく稼げるようになります。「詐欺物件に騙されない」「高利回り(=リスクの高い物件)を選ばない」などの注意点はありますが、海外不動産のほうが日本よりも圧倒的に投資するときの条件や環境が良いです。
その中でも特別な理由がない限りは米国不動産への投資になりますが、人口増加しており、空室率が低く、物件価格が上昇しているのがアメリカ不動産です。そのため、不動産投資の素人でも正しく物件を選べば儲かるというメリットがあります。
ただ大きなデメリットが融資です。融資の問題を多くの一般人で解決できないため、いまでも国内不動産投資が活発というわけです。
ここでは日本での不動産投資との違いを含めてメリット・デメリットを解説してきました。投資環境の違いを理解し、事前に海外不動産投資の知識を付けたうえで、詐欺業者に騙されないようにして正しく投資するようにしましょう。
最もリスクが低く、条件が良い海外不動産投資の国がアメリカです。「海外不動産投資=アメリカ不動産」というほどであり、これには人口増加や空室率の低さ、物件価格の値上がりなどが理由として挙げられます。
東南アジアの不動産だとインカムゲイン(賃料収入)の利益を得られず、節税効果もありません。一方で米国不動産では「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」「節税効果」の3つを得られるため、圧倒的に優れた利回りを実現できるようになります。
ただアメリカ不動産の中でも富裕層向けでリスクが低く、さらには将来の値上がりを期待できる物件へ投資しなければいけません。
これを実現するため、アメリカ現地にオフィスをもつ優良の大手エージェント会社を紹介します。「すべて日本語で完結できる」「融資を引き出せる」「物件購入後の管理や売却までサポートしてくれる」という会社であり、米国不動産投資での問題点をすべて解決できるようになっています。
なおリスクの高い物件は取り扱っていない会社であり、インカムゲイン(賃料収入)での利回りは7~8%ほどになります。ただ、こうした利回りにて米国不動産へ投資し、数年後の物件価格の値上がりを期待しつつ、さらには個人・法人による節税まで可能になっています。