これから海外不動産投資を開始する場合、必ず決めなければいけないのが「投資先の国」です。国によって投資状況がまったく違いますし、税制も大きく異なるようになります。

しかし日本の不動産事情とは異なり、海外不動産投資では情報が非常に少ないです。また詐欺業者も多く、投資先の国についてメリットしか述べないケースがほとんどです。そのため投資先の国が本当に良いのかどうか分からない人が非常に多いです。

そこで私が実際に海外不動産投資を実践している実体験から、投資に値する国をランキング形式で掲載します。

それぞれの国の特徴についてメリット・デメリットを含めてありのままに記載しているため、こうしたランキングを参考にしながら投資先の国を決めるようにしましょう。

投資に値する国は限られる

海外不動産投資を実践するとき、投資に値する国は限られるようになります。例えば日本だと、外国人の目から見たときに「日本の不動産は非常に魅力が薄く、投資に値しない」ことが広く知られています。

  • 人口が減少し、国力は衰退する
  • 不動産価値が下がることが確実
  • それでいて東京では利回りが低い
  • 税金が無駄に高額

こうした悪い条件が揃っているからです。日本人と同様に韓国も「急激な人口減で国が衰退する」と分かっていますが、こうした不動産市場はまったく魅力がないわけです。海外不動産投資ではある程度の人口の多い主要都市で投資するのが大原則のため、投資先の国の環境が重要です。

海外では先進国から新興国まで、無数に国が存在します。その中でも、条件が良い国に投資しなければいけません。

人口が増加し、不動産価格が値上がりする国は必須

そうしたとき「おすすめの国ランキング」に入る前に、投資先の国の必須条件として、「人口が増加している国」を満たしているのは当然だといえます。海外不動産で人気の国というのは、人口増加という条件が必須です。

人口増の傾向であれば、以下のような状況になります。

  • 空室率が低くなる
  • 不動産価格が値上がりする

そのため先進国でも新興国でも、人口増の国へ投資するのは必然です。例えば先進国の中でも、アメリカやイギリスはずっと人口が増え続けていることが知られています。例えば、以下はアメリカと日本での人口の推移です(将来予測を含む)。

出典:総務省:United Nations

特に不動産投資では10年後などを見据えたうえで投資しなければいけません。そうしたとき、不動産投資で非常に分かりやすい指標が人口推移だといえます。

事実、アメリカは人口増によって不動産需要が非常に大きいため、以下のように長期的に不動産価格は上昇し続けています。

発展途上国だと、不動産価格が値上がりすると誰でも予想できます。ただアメリカやイギリスを含め、人口が増え続けている先進国についても住宅価格が上がり続けていると理解しましょう。

その他の要素を考慮する

また人口が増えて国力が増加するとはいっても、例えばシンガポールのように既に不動産価格が高騰しきっている国へ投資してはいけません。100%の確率で損をすると分かっているからです。

さらには現地の税制なども考慮しなければいけません。例えばシンガポールで確実に損をするのは、利回りが低いだけではありません。外国人がシンガポール不動産を購入するとき、物件価格の18%という異常なほど高額な税金を上乗せされるからです。

これに加えて固定資産税やその他の経費が発生し、しかもシンガポール不動産の表面利回りは3%ほどであるため、簡単に赤字に転落するというわけです。

他には、銀行融資についても考慮しなければいけません。すべて自己資金だけで投資を行うのは大変だからです。特に東南アジアだと、銀行利子が8~10%以上になるのは普通です。

そのため考慮するべきポイントは多いですが、「人口が増加していく」などの必須ポイントに加えて、その他の要因も考慮しなければいけません。

おすすめの国の海外不動産ランキング

そうしたとき、どの国へ投資するのがいいのでしょうか。これについては既に決まっており、以下の国への投資を考えるようにしましょう。

  1. アメリカ
  2. タイ
  3. フィリピン
  4. カンボジア
  5. イギリス

それぞれの国について、どのような投資環境になっているのかランキング形式で解説していきます。

アメリカ不動産は海外不動産投資で最も失敗しない

「海外不動産投資=アメリカ不動産」といえるほど、海外への不動産投資では米国不動産が投資対象として王道になっています。理由は単純であり、最も失敗する確率が低く、それでいて他の国よりも大きな利回りを期待できるからです。

特別な理由がない限り、海外不動産投資では米国不動産の一択です。「アメリカ不動産を提示せず、東南アジアの不動産のみを紹介する業者」であれば、100%詐欺といえるほどアメリカ不動産が優れているわけです。

これには以下のような理由があります。

  • 表面利回りが7~8%ほど(実質利回りは3.5~4%)
  • 高額な節税効果を得られる
  • キャピタルゲインを狙える
  • 少数だが日本の金融機関を利用しての融資が可能

まず米国不動産では、海外不動産投資の中でも表面利回りが高いです。フィリピンなどの新興国でも表面利回り7%ほどですが、これと同じ表面利回りになるのです。ここから税金や不動産会社への支払いなどその他の経費を差し引くと、実質利回りは3.5~4%になります。

またアメリカ不動産の特徴でもありますが、米国では以下のような木造住宅へ投資するようになります。

そうしたとき土地は減価償却できず、建物のみ減価償却の対象になりますが、日本だと国土が狭く土地の値段が異常なほど高いです。一方でアメリカでは国土が広く、土地が非常に安いです。その結果、不動産のうち建物価格の割合が高く、高額な節税(減価償却費の計上)が可能になります。

このとき個人が投資する場合、木造不動産は耐用年数22年ですが、「給水管:耐用年数15年」「外付けのエアコン:償却期間は7年」のように、構造物の明細を細かく分けていくことで、素早く減価償却できます。

例えば5,000万円の不動産(そのうち建物価格は4,000万円)だと、ザックリと「毎年300万円の減価償却費を計上できる」ようになります。

仮に課税所得が高く半分が税金(所得税&住民税で50%)の人だと、年間で「300万円(減価償却費) × 50%(税率) = 150万円」もの高額な税金を削減でき、後で税金還付されるようになります。

これに加えてアメリカでは毎年不動産価格が3~4%ほど上昇しているため、これら節税効果やキャピタルゲインまで考慮すると利回りが8%を超えるのは普通です。

また少数ではあるものの、アメリカ現地の不動産を担保に入れて融資してくれる日本の金融機関が存在します。そのためローンを組むことで、お金の問題も解決できます。

もちろん注意点は存在し、「治安の悪いエリアを避ける」「3,000万円以上の物件へ投資する」「学区(アメリカ人が重視する指標)を考慮する」などはあります。ただダメな不動産会社から投資しない限り、海外不動産投資で最も失敗が少ない国となっています。

タイはインカムゲインとキャピタルゲインを得られる

タイについても、海外不動産投資の中ではおすすめの国となります。東南アジアでわりと発展している国がタイであり、非常に親日の国でもあります。

タイ不動産だと投資エリアは決まっており、バンコク・スクンビット地区の周辺です。これ以外のエリアを勧めてくる業者はすべて詐欺ですが、こうしたバンコク中心部のコンドミニアムへ投資することになります。

このときの表面利回りは4~5%です。ただ日本やアメリカのような高い固定資産税がなく、タイは外国人が不動産投資したときの税金が非常に安くなっています。そのため表面利回りは前述のように4~5%ほどですが、そのうち多くのお金が手元に残るようになります。

これに加えて、発展途上国なので高額なキャピタルゲインを得られるようになります。以下はタイ不動産での住宅価格の推移です。

出典:GlobalPropertyGuide

10年ほどでコンドミニアムは1.8~2倍ほどの値上がりになっているわけですが、不動産価格が上がった後に売却することで、大きな利益を手にできるというわけです。海外不動産投資でタイがおすすめなのは、インカムゲイン(賃料収入)とキャピタルゲイン(不動産の値上がり益)の両方を狙えるからなのです。

ただタイへ投資するときの一番のデメリットとして、銀行融資を利用できないことがあげられます。タイ政府が外国人の不動産投資を広く受け入れているのは、タイ国内に外資を呼び込む意味があります。そのため、現地の銀行を利用できないのです。

また「東南アジアの不動産を担保にして融資してくれる日本国内の金融機関」は存在しません。アメリカ不動産であれば少数ながらも、そのような金融機関はありますが、担保対象が東南アジアの不動産では存在しないのです。そのため「3,000万円以上の現金を有する、かなりの富裕層」のみ実践可能な投資先がタイになります。

フィリピンはキャピタルゲインのみを狙う

なお東南アジアで最も優れる投資先はタイですが、銀行融資の問題から、現実的にはなかなか投資することができません。そうしたとき東南アジアだと、その次に候補になるのがフィリピンです。現地の銀行にて融資を利用できるからです。

東南アジアだとマレーシアが候補に挙がりやすいと思われがちですが、既に不動産価格が高騰していて「利回りが低い」「物件価格の上昇が少ない」とダメな点が多いです。そこで、フィリピンへの投資になるのです。

注意点として、フィリピン不動産へ投資する場合は「インカムゲインでの利益を捨て、キャピタルゲインだけを狙う」と考えるようにしましょう。仮にフィリピン不動産で利回りを強調する業者がいた場合、確実に詐欺なのでそうした業者を利用してはいけません。理由は単純であり、税金や支払利子が非常に高額だからです。

フィリピンの場合、マニラ・マカティ地区へ投資するのが大原則です。日本でいう東京・六本木のような一番の都心へ投資しますが、この場合は年間に以下の維持費が物件価格に対してかかります。

  • 固定資産税:1~2%(マニラ首都圏だと2%)
  • 特別教育基金:1%
  • 火災保険料:約0.4%

これに管理会社への支払いが加わるため、年間にして4%は自動的に利益が消えます。それでいて、銀行融資を利用したときの利子は以下のように8%以上であり、利子払いも考慮しなければいけません。

出典:BDO Unibank(フィリピン最大の商業銀行)

フィリピン不動産だと表面利回りは7%ほどです。ここから税金やその他の費用、銀行利子を支払うことになるため、インカムゲインでの利益がほぼゼロであることを容易に想像できます。

ただフィリピンの場合、不動産価格の値上がりが激しいです。以下は実際の不動産価格の値上がり率です。

出典:GlobalPropertyGuide

このように、毎年8~10%ほどの値上がりを続けていることが分かります。そのためうまくいけば、不動産売却のときに高額な利益を得られます。

もちろんキャピタルゲイン狙いになり、フィリピンペソという脆弱な通貨へ投資するので通貨安のリスクも高くなり、ギャンブルの要素は非常に強くなります。ただ、うまくいけば高額な売却益を得られるというわけです。

カンボジアでさらに高額な売却益を得る

また、フィリピン以上に高額なリターンを狙いたい場合はカンボジアになります。アジアの最貧国の一つであり、プノンペンのコンドミニアムへ投資することになります。

「東南アジアの不動産投資=コンドミニアム」ですが、その他のアジア諸国と違ってカンボジアには金持ちの外国人(=駐在員)が非常に少ないです。そのためコンドミニアムへ投資しても、住んでくれる人を見つけるのが大変です。

また税金はそれなりに高く、物件保有時は収益に対して14%の税金を課せられるようになります。もともとの固定資産税は安いですが、カンボジア非居住者に対する税率が高いのです。さらに現地の銀行を利用する場合、投資用不動産ローンの借入利率は12%以上です。

こうした現状のため、圧倒的にプロ向けの投資案件がカンボジア不動産になりますが、物件価格の値上がりは激しいです。参考までに、以下はプノンペンでの土地価格の上昇を示したデータです。

出典:CBRE:Investment On The Up Following General Election

このように、8年の間に約2倍となっています。ハイリスク・ハイリターンにはなりますが、カンボジアへ投資することで、フィリピン以上の物件価格の上昇益を得られるようになっているのです。

しかもカンボジアだと米ドルでの投資が可能です。東南アジアで唯一、米ドルが広く流通しているのがカンボジアです。カンボジアだと、旅行のときであっても現地通貨リエルを利用する場面は存在せず、すべて米ドル紙幣にて完結するほどです。

そのためカンボジア不動産へ投資しながら、米ドル資産を構築できるというメリットがあります。

デメリットとしては、先に述べた通りプロ向けであり、少なくとも素人が手を出す案件ではないことがあげられます。ただギャンブルをしたい人の場合、カンボジア・プノンペンへの不動産投資はおすすめです。

イギリスは堅実な投資先だが詐欺案件に注意

またヨーロッパ不動産へ投資するという選択肢もあります。こうしたヨーロッパの国々の中で、ドイツは人口減少する国として知られています。ただヨーロッパの中でも、イギリスについては人口増加し、それに伴い物件価格も上昇していく国として知られています。

さらにヨーロッパ不動産の特徴として、石やレンガ、ブロックなどで家が作られていることがあげられます。このようなレンガ造りの場合、日本だと地震で簡単に倒壊しますが、ヨーロッパでは地震がないためにこうした家でも問題ありません。

こうしたレンガ造やブロック造の不動産のため、ヨーロッパでは築200~300年は普通です。しかも古い家のほうがプレミアが付き、不動産価格が高くなります。日本のように家が朽ちていくことがないため、むしろ年数が経つほど投資家としては喜ぶべきなのがヨーロッパ不動産です。

それに加えて、人口増による不動産価格の上昇を見込めるのがイギリスというわけです。参考までに、以下はイギリスでの住宅価格の推移です。

またイギリスだと表面利回りは5~6%ですが、固定資産税に相当する支払いは「住んでいる人」が支払うことになっているため、不動産保有者で固定資産税の支払いはありません。また所得税はありますが、税金はほぼゼロになります。そのため、実質利回りは非常に良いです。

ただイギリス不動産だと、アメリカ不動産のような節税はできません。海外不動産投資で節税できるのは木造住宅だけです。これは木造住宅の耐用年数が低いからですが、不動産では以下のように減価償却年数が決められています。

  • 鉄筋コンクリート造(RC造):47年
  • れんが造・石造・ブロック造:38年
  • 木造:22年

東南アジア不動産やヨーロッパ不動産だと、確実に節税は無理です。これは、このように耐用年数が長くなっているからなのです。

そのため、同じ先進国だとイギリス不動産よりも圧倒的にアメリカ不動産のほうが条件はいいです。「利回り」「節税効果」「キャピタルゲイン」のすべてでアメリカ不動産のほうが勝っているため、イギリス不動産については、何らかの特別な理由がある人のみ投資先候補に入れるといいです。

・イギリス不動産は詐欺が多い

また堅実な投資が可能なイギリス不動産ですが、詐欺物件が非常に多い点については注意しましょう。代表的な詐欺物件は以下になります。

  • 学生寮への投資
  • ホテル不動産の投資

イギリス学生寮へ投資してもいいですが、最終的な不動産売却が不可能に近いほど難しくなります。つまり、投資の出口を作れません。さらに最悪なのがホテル投資であり、仮にホテルの稼働日数が多くても高確率で赤字になります。

ここではイギリス不動産をランキングに載せましたが「イギリス不動産=問題ない」というわけではありません。そのため、どの投資案件であれば問題ないのか見極める目をもつようにしましょう。

ハイリスク・ローリターンの国は非常に多い

なお、今回のランキングに掲載していない国も存在します。そうした国については、絶対に手を出さないようにしましょう。ハイリスク・ローリターンの国ばかりであり、ほぼ確実に損をするからです。

もちろん「現地に住んでおり、特殊なコネクションがあって優れた条件で投資できる」というプロの不動産投資家であれば、ここに掲載していない国へ投資しても問題ありません。ただ、少なくとも海外不動産投資の素人がランキング外の国へ手を出すと確実に失敗します。

シンガポールやマレーシアについては既に述べましたが、例えばベトナムであれば「不動産価格がむしろ下落するリスクが高い」「非居住者は海外送金に制限がある」などの状況になっています。

他にもオーストラリアであれば、「新築物件しか購入できない」「表面利回りが2.8~3.7%と低い」「収入のうち税率32.5%が税金」という現状であり、現地に住んでいない日本人が投資したとしても赤字になる要素しか存在しません。

海外不動産投資では投資先の国の選定が最重要になりますが、現地の一般的な利回りや投資エリア、税制などを理解せずに投資すると詐欺に遭い、後で後悔するようになります。ハイリスク・ローリターンの国は実はかなり多いため、こうした事実を理解するようにしましょう。

投資するべきおすすめの国は意外と少ない

さまざまな国について得られる利回りや銀行融資、税制などを確認していったとき、投資に値する国は意外と少ないことを認識できます。

さらには、投資先の国によって得られる効果も異なります。例えばアメリカ不動産なら、インカムゲインやキャピタルゲイン、節税効果をバランスよく得られ、さらには米ドル投資なので最もリスクが低く成功しやすくなっています。

一方でキャピタルゲイン狙いによってギャンブルの要素を強めたいのであれば、フィリピンやカンボジアなどの不動産が投資先の候補になります。あなたが何を求めるのかによって、おすすめの投資先の国は違ってきます。

ここではランキング形式で投資するべき国を載せましたが、これ以外の国はハイリスク・ローリターンの国ばかりであるため、「現地に住んでおり、強力なコネがある」「海外不動産でいくつも物件を所有しているプロ」という人以外は、今回のランキングに沿って投資先を決めると失敗しなくなります。

米国不動産投資で個人・法人が節税し、利回り7%以上の物件で資産運用する

最もリスクが低く、条件が良い海外不動産投資の国がアメリカです。「海外不動産投資=アメリカ不動産」というほどであり、これには人口増加や空室率の低さ、物件価格の値上がりなどが理由として挙げられます。

東南アジアの不動産だとインカムゲイン(賃料収入)の利益を得られず、節税効果もありません。一方で米国不動産では「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」「節税効果」の3つを得られるため、圧倒的に優れた利回りを実現できるようになります。

ただアメリカ不動産の中でも富裕層向けでリスクが低く、さらには将来の値上がりを期待できる物件へ投資しなければいけません。

これを実現するため、アメリカ現地にオフィスをもつ優良の大手エージェント会社を紹介します。「すべて日本語で完結できる」「融資を引き出せる」「物件購入後の管理や売却までサポートしてくれる」という会社であり、米国不動産投資での問題点をすべて解決できるようになっています。

なおリスクの高い物件は取り扱っていない会社であり、インカムゲイン(賃料収入)での利回りは7~8%ほどになります。ただ、こうした利回りにて米国不動産へ投資し、数年後の物件価格の値上がりを期待しつつ、さらには個人・法人による節税まで可能になっています。

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