ビジネスを動かしてある程度まで軌道に乗ると、多くの人は法人化を考え始めます。個人事業主として頑張ってもいいですが、利益が大きくなると会社組織にした方がたくさんの節税を行うことができます。

無駄に税金を納めても問題ないのであればいいですが、それでは何のために頑張って働いているのか不明です。税金を払うためにビジネスを動かして働いているわけではないため、自分の手元にお金が残るようにしなければいけません。

そのため、たとえ個人事業主として頑張っていた人であっても稼ぎ始めたら法人化する必要があります。

ただ、法人設立をするにあたって大きな問題があります。それは、「開業前や会社を作ってすぐの状態(スタートアップ)では信頼などが何もないため、クレジットカードの審査に通りにくい」ということです。

そこで、設立直後の会社で法人カード(会社用のクレジットカード)を新規発行するとき、審査が通りやすいクレジットカード会社に頼まなければいけません。こうすることによって、ようやく法人カードを新規発行できます。

そこで、ここでは私が会社を創業し、設立1ヵ月でビジネスカードを発行した体験談や手順を踏まえ、どのようなカード会社に申請すればいいのか確認していきます。

開業前や法人口座開設、会社設立後に法人カードを発行する手順

会社を作るとき、司法書士に頼むことになります。どの司法書士にお願いすればいいのかについては、知り合いをたどって見つけるようにしてください。税理士はずっと付き合うことになるので非常に重要ですが、司法書士にお世話になる機会は非常に少なく、登記を行うだけなので誰でも問題ないです。

わずか数万円のフィーで面倒な書類作成をすべて代行してくれることを考えると、司法書士に業務をお願いした方が圧倒的に良いです。

会社設立には法人印が必要です。法人印は「法人印 楽天」などで検索すれば、安値で作成してくれるネット業者がたくさん見つかります。ここから、法人印を作ってくれる会社を探してネット注文すれば問題ありません。

例えば、以下は私がいつも活用している法人印であり、ネット注文で数千円ほどで作ってもらいました。

法人印の作成では、代表印だけで問題ありません。銀行印や角印を別途作ってもいいですが、実際のところほとんど使用しません。銀行通帳の印鑑は代表印でも問題なく、下手に銀行印を使うと管理する印鑑が増えて手間になります。

※もちろん、銀行印を作るのは勝手なので作成しても問題ありません。

そうして登記が終わることで無事法人化した後、いくつか行うことがあります。取引用の銀行口座開設などです。

この法人口座開設についてですが、創業後に法人用の銀行口座を作るのは簡単です。

個人でいつも取引している地元の銀行窓口へ出向き、「法人口座を作りたいのだが、どのような手続きをすればいいのか?」と聞くだけで問題ありません。このときはあらかじめ作成しておいた法人印、必要な書類(履歴事項全部証明書など)をもっていけばその場で処理してくます。

一方でクレジットカードの発行となると、簡単ではありません。法人は倒産リスクが高いため、簡単には法人カードを発行してくれないのです。

一般的には、「設立して2年間は黒字の会社でないと発行できない」といわれています。設立1~2年未満の会社であると、それだけでビジネスカードの発行が難しくなるのです。

設立直後の個人事業主・会社でもクレジットカードを作れる

それでは、設立後1~2年が経過して業績も好調な個人事業主・フリーランスや会社組織でなければ法人用のクレジットカードを作れないのかというと、必ずしもそうではありません。設立一年未満の会社であっても、問題なく新規発行できるクレジットカード会社へ申し込めば問題ありません。

例えば、他のクレジットカード会社に比べて、設立直後であっても審査が通りやすいカード会社としては「JCB」「三井住友カード ビジネスオーナーズ」「アメックス」などが知られています。

一般的には、法人カードを作るときには「固定電話が必須」「会社用のホームページをもっている必要がある」などといわれています。これらは確かに正しいですが、「JCB法人カード」「三井住友カード ビジネスオーナーズ」「アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード」などについては固定電話も会社用のホームページも不要です。

また、法人登記(起業)して1ヵ月ほどしか経過していない状況であっても問題なく審査に通過することが可能です。実際、私は設立直後にも関わらず固定電話や会社用ウェブサイトなしで法人カードを手にすることができました。

実際のところ、固定電話がなければ法人カードの審査に通らないというのは過去の話です。現在、店舗をもたずにビジネスを動かす人は非常に多いです。そうした中、固定電話がなければビジネスカードの審査に通らないというのは実情に合っていないのです。

実際、私はいまだかつて、法人カードの電話番号に固定電話の番号を書いたことがありません。

現在は会社を経営して何年も経過しており、固定電話をもっていませんがそれでも法人ゴールドカードや法人プラチナカードなど、ステータス性の高いカードまで活用しています。

創業でのスタートアップにビジネスカードへ申し込む手順

もちろん、スタートアップで審査が通りやすいといっても無条件で通過できるわけではありません。適切な手順を踏む必要があります。まず、以下のものを準備しましょう。

  • 必要な書類(履歴事項全部証明書、法人印の印鑑証明書など)
  • 法人印
  • 代表者本人確認書類(運転免許証・各種保険証など)
  • 電話番号(携帯電話の番号でも可能)

※個人事業主(自営業)の場合は履歴事項全部証明書は不要であり、印鑑は個人印になります。

会社の概要を記した公的な書類として、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)や印鑑証明書があります。司法書士に頼んで法人登記をしたのであれば、履歴事項全部証明書を含めた書類一式を渡してくれるはずです。

また、法務局に行けば履歴事項全部証明書や印鑑証明書を入手できるため、手元になければ入手するようにしてください。

法人登記した直後であれば、履歴事項全部証明書や印鑑証明書を提出する機会が多くなります。それだけ、さまざまな手続きが必要だからです。そのため、多めに入手しておけば問題ありません。

法人カードの場合、多くは履歴事項全部証明書や印鑑証明書のコピーを提出すれば大丈夫です。

例えば、以下は私の会社の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)です。現在は起業して何年も経過しているため、登記内容が何回か変更されて少し内容が複雑になっています。ただ、創業して一年未満の会社であれば、もっとシンプルな履歴事項全部証明書になっているはずです。

なお、問題になりやすいのが電話番号です。法人カードを申請するとき、「固定電話の番号を記載しなければいけない」とネット上に書かれていることがあります。しかし、私の会社を含め固定電話のない場合はどうすればいいのでしょうか。

前述の通り、いまでは携帯電話の番号でも問題なくなっています。例えば、以下はJCB法人カードの申請画面ですが、「フリーダイヤルや携帯電話番号を入力された場合、書面や電話にて確認をお願いする場合があります」となっています。

これはつまり、カード会社から後日確認の電話があるものの、その電話での受け答えが問題なければ法人カードを発行できることを意味しています。そのため、携帯電話の番号を記載しても大丈夫です。

固定電話でなければ法人カードの審査に通過しないというのは、いまでは都市伝説(実体のないウソの情報)になっています。

ビジネス用にIP電話を活用する方法もある

ちなみに、ビジネスをする場合は店舗をもたない人であっても「自分の携帯電話以外の番号」は何かと必要です。

現在、ウェブサイトを活用して集客するのは基本です。また、ウェブサイトを使わなかったとしても、広告を出してお客様を集めなければいけません。

このとき、まさか自分の携帯電話の番号をサイトや広告に載せるわけにはいきません。ただ、固定電話を引くのは面倒です。そうしたとき、IP電話を活用するといいです。IP電話は10分ほどで取得でき、いま使っている携帯電話とは別の番号を保有できるようになります。

IP電話とは、簡単にいうと「050から始まる番号」だと考えてください。携帯電話が「090」や「080」から始めるのに対して、「050」から始まるというだけです。

例えば、「050 plus」という名前でNTTが提供しているサービスがあります。月額300円ほどで利用できるのでお金はほぼかかりません。

実際に利用するとき、新たに契約して電話番号を取得した後、携帯電話に「050 plus」のアプリをインストールするだけです。「050」の電話番号にかかってきたとき、勝手にアプリが起動して知らせてくれます。

要は「いつも使っている携帯電話の番号のほかに、050から始まるもう一つの電話番号を一つの携帯電話で使い分けることができる」と考えてください。IP電話をビジネス用として使えば、IP電話がかかってきたときはビジネス相手からの電話だとわかるし、いつも通りの電話通知であればプライベートからの電話だと分かります。

例えば、以下は私のIP電話の番号あてにかかってきた電話です。

ちなみに、IP電話と契約していれば、法人カード発行での申請時は、手続きがよりスムーズになります。

申請のとき、それでも携帯電話の番号を記入するのに躊躇してしまう場合、IP電話の番号を記入するといいです。IP電話の番号であれば問題なく審査通過します。実際、私は法人設立1ヵ月目で法人カードに申し込んだときはIP電話の番号を書き、問題なく法人カードを手にすることができました。

なお、過去には携帯電話の番号を記入して法人カードの審査に通過したこともあります。このときはカード会社から確認電話がきましたが、携帯電話の番号でも問題なく通過することは確認済みです。

法人カードへ申請を行うときの注意点

上記の必要なものをそろえた後は、クレジットカードの発行を申請するだけです。このとき、どのようなことを記載すればいいのか、あらかじめ知っておくといいです。

まず、法人カードによっては会社名が印字されます。このときの会社名はローマ字表記になるため、どのような文字を印字したいのか考えておくようにしましょう。例えば「株式会社 世界一商事」であれば、「SEKAIICHISHOJI 」と書類に記せば問題ありません。

または、「SEKAIICHISHOJI CO LTD」でも問題ありません。「CO LTD」とは、株式会社のことを指します。通常、法人設立するときは多くが株式会社であるため、同じように「CO LTD」と記載するといいです。

また、創業間もない会社が他に困るものとして「それまでの業績」があります。会社設立直後の当時の私を含め、創業一年未満では業績ゼロです。設立から1年が経過しているならまだしも、法人登記して一年未満の会社に誇れる実績となる利益はありません。

しかし、法人カードの申請書類には以下のような「年商」「経常利益」の記載項目があります。

そこで私の場合、「会社を設立した日」から「用紙を記入した日」までの売上と利益を記載することにしました。

会社を登記して1ヵ月後に法人カードへ申請したため、約1ヵ月の売上や利益にはなります。そこで、「○月○日から△月△日までの実績」と記載した付箋を張り付け、業績の欄に数字を記入して申請を出しました。

私が初めて手にした法人カードはJCB法人カードですが、設立直後(法人登記して一ヵ月ほど)であったにも関わらず、上記の手順で問題なくJCB法人カードの審査を通過してカードが手元に届きました。

当時の私は「固定電話無し、会社のホームページなし、従業員ゼロ(私一人だけ)、資本金50万円、会社設立1ヵ月ほど、申請した月の売上は13万円ほど」という悪条件でしたが、それでも審査をパスすることができました。

こうしたことから、設立一年未満の会社でも問題なく法人カードを入手できると断言できます。

法人カードの審査を通過できないケースは何か

このように、法人設立して歴史が浅い会社であったとしても、適切なクレジットカード会社を選べば問題なく審査を通過します。ただ、こうした審査に通過しやすいカード会社を選んでも審査を通過できないケースが存在します。

ここまで述べてきたようなことを実行したにも関わらず審査に落ちる理由として、最も考えられるのは「社長(代表取締役)の個人信用がない」ことが挙げられます。過去に支払いが滞ったことがあったり、債務整理をしていたりしてブラックの状態であると審査に通過しません。

法人カードの場合、「会社そのものの信用」だけでなく「代表者の信用情報」も審査対象になります。そのため、会社の社長の個人信用に傷がついている状態であると法人カードの審査に通りにくいです。

このように社長個人の信用情報が審査過程において確認されるものの、これらの個人信用の問題をクリアしている人であればスムーズに法人カードを新規発行できると考えてください。

審査に通過しやすいクレジットカードを選べば、個人事業主や設立一年未満の創業間もない会社であっても問題なくクレジットカードを活用できるようになります。

起業した後、設立一年未満の会社が申請するべき法人カード

それでは、開業前の個人情報や起業直後(スタートアップ)の歴史が浅い会社であっても問題なく申請できる法人カードとしては何があるのでしょうか。

当然ながら、設立直後の会社であっても受け入れてくれる法人カードが適切です。ビジネス初心者の個人事業主や設立一年未満の会社でも申請できる法人カードを選びましょう。

それでは、どのような法人カードがいいのかについて、以下では設立一年未満の会社であっても問題なく申請できる法人カードを掲載しています。

三井住友カード ビジネスオーナーズ

創業間もない会社(起業直後の法人)であっても申請できる法人カードに三井住友カード ビジネスオーナーズがあります。

一般カードであり、年会費は永年無料です。登記簿謄本や決算書の提出がなく、起業直後や赤字企業であっても問題なく審査に通過するビジネスカードです。

還元率は0.5%であり、カード利用枠は~500万円(所定の審査あり)のスペックです。なお新幹線利用で割引を利用できたり、電子マネーを使えたりと法人カードとしての内容は優れています。

会社設立一年未満ではあり、初心者用のビジネスカードを利用したい場合、多くの人が最初に選択するのが三井住友カード ビジネスオーナーズです。なお、国際ブランドはVisaかMastercard®から選ぶことができます。

JCB法人カード

私が起業した後、設立一年未満の状態で申請し、問題なく審査に通過した法人カードがJCB法人カードです。

年会費1,375円(初年度無料)であり、設立直後でビジネスでの実績が乏しい法人であっても法人カードを手にすることができます。

法人カードのとしてのスペックは一般的です。ポイント還元率は0.5%ですし、保険付帯などが特別優れているわけではありません。限度額の上限は100万円までと高くはありません。ただ、設立一年未満の会社でも受け入れてくれやすい法人カードです。

設立直後の会社であり、まだビジネスでの実績が乏しい場合はJCB法人カードへ申請してみてください。

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード

非常にステータス性の高いカードとして、アメックスが知られています。この法人版がセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードです。

プラチナカードであるため、年会費は22,000円と高額であるものの、サービスは非常に優れています。

例えば、利用限度額は個別設定されるため、限度額1,000万円など常識の範囲内であれば上限なく設定できます。また、海外旅行傷害保険が自動付帯であり、さらにコンシェルジュサービスやプライオリティ・パス付帯(空港ラウンジを利用可能)など、多くのサービスを利用できます。

法人カードの中でも、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードは創業直後の法人でも申請できるカードとして知られています。「ステータス性を重視したい」「審査に通過するか不安」の両方を満たしたい人はセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードに申し込んでください。

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