個人事業主(自営業)やフリーランス、会社経営者として事業を続けていると、いま使っている法人カードに加えて、新たに法人カードを作った方が良いことは多いです。つまり、ビジネスカードの2枚持ちや3枚持ちをするのです。

これまで、私も中小零細企業の会社経営者としてビジネスカードを5枚ほど発行してきました。もちろんすべてを保有しているわけではなく、そのうち何枚かを利用停止手続きしました。いまでは、3枚の法人カードを活用しています。

単に法人カードを増やすとなると、それだけ年会費が必要になります。それにも関わらず、なぜ2枚持ち以上をする個人事業主や会社経営者が非常に多いのでしょうか。この理由について確認していき、どの法人カードが2枚目に適切なのかを述べていきます。

複数枚のビジネスカードを保有するメリット

ビジネス間もないフリーランスや起業直後の会社では法人カード1枚で十分です。ただ、ある程度ビジネスを続けているのであれば、いま保有しているビジネスカードに追加して、複数枚を所有することを考えましょう。

ビジネスを回している経営者の中で法人カードが1枚だけという人は少ないです。それでは、なぜ2枚持ち以上にするとビジネスが円滑に回るようになるのでしょうか。

これには、以下のようなメリットがあるからです。

限度額が増える

ビジネスをしていると、どうしてもカード決済額が増えていくようになります。広告費や交際接待費などを含め、月100万円以上の支払いになるのは普通です。

売上の大きい会社であっても、「現金勘定」として使用することのある個人クレジットカードではそこまで決済額は大きくなりません。ただ、法人カードであるとどうしてもカード利用額が増えてしまうのです。

私の会社は社員がほぼいない非常に小さな零細企業ですが、それでも以下のように月100万円以上の請求が来るのは珍しくありません。

そうしたとき、複数枚の法人カードがあれば安心できます。1枚のカードが利用限度額いっぱいになったとしても、2枚目の法人カードで決済すれば問題ないからです。

保有カードの限度額の合計が「法人カードで決済できる総額」となります。クレジットカードごとに利用枠が当てられていますが、2枚持ち以上にすればそれだけ利用限度額が大きくなります。例えば、「限度額100万円のカード」と「限度額200万円のカード」を保有している場合、300万円まで決済できるようになります。

他にも税金の支払いをする場合、非常に高額になります。消費税の支払いだけで100万円以上になるのは普通です。また、ビジネスでは急な出費をすることは多いです。そのため、急な出費に備えるために法人カードを2枚持ちするのです。

海外で使えるようにする

クレジットカードには国際ブランドがあります。主なものはVisaやMastercard、JCB、アメックス、ダイナースです。日本国内であれば、どの国際ブランドであっても問題なく決済できます。

ただ、海外では使えない国際ブランドが多いです。例えばJCBの場合、アジアとハワイ以外では使い物になりません。アメックスであれば、日本やアメリカなら問題ないですがアジアやヨーロッパでは高確率で受け付けてくれません。

それでは、VisaやMastercardのどちらか一方があれば問題ないかというとそういうわけでもありません。例えば私の場合、ドイツ出張のときに駅の券売機でクレジットカードを使用してみたところ、国際ブランドがVisaにも関わらずカードを受け入れてくれませんでした。

そこで、Mastercardのクレジットカードを差し込んだところ、ようやく認識してくれたことがあります。法人カードを複数枚所有していて助かったわけです。現地通貨(ユーロ)をほとんど持っていなかったため、電車に乗ることができました。

これらを踏まえて、2枚目では国際ブランドを分けるようにしましょう。世界で最も使われているVisaであっても、認識されないことがあるのです。

必要枚数だけ社員用の追加カードを作る

ビジネスカードの2枚持ち以上を考えるとき、社員用の追加カードをもつことを考える社長も多いです。個人事業主や会社経営者で社員がいる場合、経理処理を簡素化するために追加カードを活用するのは効果的です。

経営者自体は年会費の高いハイステータスな法人カードを使えば問題ありません。ただ、従業員用の法人カードでステータス性は必要ありません。そこで、社員用の追加カードについては年会費の安いカードを選び、追加カードとして活用するようにしましょう。

法人カードによっては、「本体のビジネスカードが年会費無料であり、追加カードも年会費無料」も存在します。そうしたビジネスカードを活用すれば、気兼ねなく追加カードを発行できます。

また、法人カードによっては年会費を払えば何枚でも追加カードを発行できるクレジットカードがあります。そうしたカードを活用すれば、社員数の多い企業であっても対応できます。

ハイステータスカードの特典を使い分ける

ただ、2枚目のビジネスカードを発行する理由は「社員用の追加カードを作りたい」だけではありません。社長個人が活用する、ステータス性の高いカードを作るために、2枚持ち以上にすることはよくあります。

私も保有していたカードの利用限度額が低かったり、ポイント還元率や特典が悪かったりしたため、年会費は高くてもいいので特典が優れている法人カードに乗り換えたことはよくあります。要は、メインカードを新しくしたのです。

ステータス性の高い法人カードの場合、例えば以下のような特典があります。

・空港ラウンジやプライオリティ・パス

出張で空港を使うときにビジネスマンの多くは空港ラウンジを活用します。飛行機では待ち時間が長くなりがちですが、固いイスに座って待つことはしないのです。

空港には以下のようなラウンジがあります。

国内線では、ゴールドカード以上だと活用できる「ゴールドカードラウンジ」があります。また、プライオリティ・パスという「世界主要空港(国際線)の空港ラウンジを活用できるカード」を無料で配布してくれるクレジットカードも存在します。

こうした法人カードを活用すれば、カード年会費を経費で落としながら空港での待ち時間を快適に過ごすことができます。

・海外旅行傷害保険

外国へ行くとき、旅行保険に加入する人は多いです。ただ、旅行保険はそれなりに値段が高いです。

そこで、クレジットカードの海外旅行傷害保険を活用するようにします。ステータス性の高いカードだと、海外旅行傷害保険が自動付帯になります。つまり、カードを保有しているだけで、現地で病気やケガをしたときに高額な医療費を請求されずに病院を受診できます。

また、グレードの高い法人カードだとキャッシュレス受診と呼ばれる「現地での支払いなしに病院を受診できる制度」を利用できます。

特に2枚持ちの場合、海外旅行傷害保険の額は合算されます。例えば、ケガや病気のときに「200万円まで支給されるカード」と「300万円まで支給されるカード」を保有していた場合、最高500万円までが支給対象になります。

そのため、旅行保険という観点でいえばビジネスカードを複数枚保有していた方が有利です。

・グルメクーポン

プラチナカードなどのハイステータスカードになると、多くの特典が付与されるようになります。その一つにグルメクーポンがあります。プラチナカードであると、「所定のレストランに2名以上で予約すると、1名分が無料になる」というものがあります。

いまでは、私はプラチナカードを保有するまでになっていますが、例えば以下のような店に妻と一緒に出向きました。

高級レストランとはいっても、一人10,000円ほどのコースです。2名なので、一人5,000円ほどでこうした料理を食べられることを考えると、実はハイステータスカードであってもすぐに元を取ることができます。

2枚目以降のクレジットカードの選び方

ステータス性の高いカードについては、上記で述べた以外にもさまざまな特典が存在します。そのため、どのような特典を得たいのかによって申し込むビジネスカードを変えるといいです。

なお、法人カードが複数枚になると管理が大変なのではと考えてしまいます。ただ、実は意外とそうではありません。法人カードごとに使い分けるのが一般的なので、どのような用途に使用したいのか事前に決めておけば問題ありません。

  • 社員用の追加カードを発行するために活用する
  • ステータス性の高いカードに切り替え、いま保有しているカードはサブにする
  • 広告費の支払い用のビジネスカードとして利用する
  • ETC用の法人カードにする

人によって2枚持ち以上にする理由は異なりますが、いずれにしてもこうした使い分けをして法人カードを管理すれば煩雑にはなりません。

むしろ、1枚の法人カードだけであるといろんなカード決済がごちゃ混ぜになってしまいます。その方が経理処理は大変になるため、分かりやすくするように用途別にカードを使い分けている個人事業主・フリーランスや会社経営者は多いです。

社員用カードかステータスカードを考える

ビジネスを動かす立場にある人は2枚目以降の法人カードを発行する場合、「社員用の追加カードとして活用する」「自分用のビジネスカードを発行する」のどちらかになります。用途ごとに使い分けをするとはいっても、社員用か自分用かのどちらかになるのです。

これについては、それぞれで適切な法人カードが違ってきます。

社員用の法人カードを発行する場合、多くの人は年会費が無料または安いクレジットカードに申し込みます。ただ、ビジネスカードによっては追加カードの発行枚数の上限が設けられているため、これを考慮しながら申し込む法人カードを決めるといいです。

また、社長個人が使う法人カードについて検討している場合、2枚目は必ずハイステータスなカードに申し込みましょう。

ビジネス初心者の場合だと、特別な理由がない限りは年会費の安い法人カードを使用しているはずです。ただ、2枚目でも同じように年会費が安い法人カードだとスペックが最初のカードと同じになり、カードを複数枚もつ意味がなくなります。

スペックや特典の異なる法人カードをもつのが基本なので、2枚持ち以上を考えて法人カードに申し込む場合、限度額やポイント還元率の高いビジネスカードを活用するようにしましょう。

早めに申し込み、利用を始めるといい

なお、法人カードの複数持ちを検討している場合、2枚目や3枚目以降の法人カードは早めに申し込むようにするといいです。最初は利用限度額が低く設定されているためです。

個人クレジットカードとは異なり、法人カードはどうしても審査が厳しくなりがちです。カードを発行したばかりであり、そのカード会社が発行するビジネスカードでの利用実績が少ない場合、一時的な利用限度額の増枠すら認められないことが多いです。

例えば、私は過去にゴールド法人カードを発行したことがあり、最初の利用限度額は100万円でした。ただ、カード決済額が早くも利用限度額を超えそうになったので一時増枠の電話をかけたところ、「カード発行6ヵ月未満の法人は増枠できない」と拒否されました。

カード発行から時間が経過していないと、いろいろと不便なことが起こりやすいです。そのため、2枚持ち以上を考えている場合は早めに申し込みを行い、利用実績を積むようにしましょう。

個人事業主・会社で従業員用の追加カードに優れた法人カード

それでは、どのような法人カードが適切なのでしょうか。まずは社員用の追加カードを検討している場合に適したビジネスカードについて紹介していきます。

経営者が活用する法人カードとは別に社員用の追加カードを発行するといいです。

三井住友カード ビジネスオーナーズ

年会費が永年無料である法人カードとして、三井住友カード ビジネスオーナーズがあります。

また追加カードを発行する場合についても永年無料です。追加カードの発行については19枚まで可能です。

法人ETCカードについても、追加カードの発行につきペアで1枚を発行できます。法人ETCカードについては550円(税込)が実質的に年会費無料(初年度無料&前年度に一度でもETC利用の請求があった場合は年会費が無料)となっています。

なお、タクシーチケットを手配できたり、新幹線予約が非常に有利になるプラスEXを発行できたりなどメリットの大きいカードです。

経営者・役員の2枚目に適したカード

次に社員用の追加カードではなく、経営者が決済するための法人カードを検討するとき、2枚持ちに適したステータスカードとして何があるのかを確認していきます。

ハイステータスのビジネスカードだと、年会費はどうしても高くなります。ただ、ポイント還元率が優れていたり、特典が充実していたりするのでカード決済額が年200万円以上ある個人事業主や会社経営者であればステータス性の高いカードであっても簡単に元を取れます。

そのため、カード決済額がそれなりに多い場合は早めにハイステータスの法人カードを利用するようにしましょう。こうした法人カードには以下のようなものがあります。

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード

格安で保有できるプラチナカードとして、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードがあります。年会費22,000円であり、プラチナカードの中ではお手頃です。

一番の特徴はポイント還元率の高さです。JALマイルで貯める場合、還元率1.125%となります。高還元率を実現したい場合、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードは優れています。

さらに、「プライオリティ・パスが無料で付くため、空港ラウンジを使える」「高額な海外旅行傷害保険」「コンシェルジュサービスの完備」など、年会費が低いにも関わらず優れたサービスを受けることができます。

審査基準が高くない法人カードとしても知られており、ビジネス実績のない個人事業主や会社経営者であっても審査に通過するという特徴もあります。

年会費を抑えつつも高還元率を実現し、ステータス性の優れたカードを2枚目にもちたい場合はセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードが優れています。

三井住友ビジネスプラチナカード for Owners

三井住友ビジネスカード for Ownersのプラチナカードとして、三井住友ビジネスプラチナカード for Ownersがあります。年会費55,000円(税込)の法人カードです。

年会費はそれなりに高いですが、審査は甘いです。登記簿謄本(履歴事項全部証明書)や決算書の提出は不要であるため、会社の状態は審査されず、赤字企業であっても問題なく申し込むことが可能です。

年会費は高めですが、その分だけ特典内容は優れています。プライオリティ・パスが付き、海外旅行傷害が高額(家族特約あり)なのは当然として、「2名以上のレストラン利用で1名が無料になる」というプラチナグルメクーポンを利用できます。

もちろんコンシェルジュサービスは利用できますし、細かい特典では「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで待ち時間を短縮できるパスを無料発行できる」などもあります。

なおポイント還元率は0,5%と普通ですが、特典内容を理解して使いこなせば、簡単に元を取ることのできる法人カードが三井住友ビジネスカード for Ownersのプラチナカードです。

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