ステータス性の高い法人カードとしてアメックスが知られており、法人カードとしてはアメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードが多用されています。

アメックスのゴールド法人カードを多くの人が利用するものの、実はアメックスの法人カードには一般カードが存在し、これをアメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード(グリーン)といいます。通称、アメックス・ビジネス・グリーンです。

ゴールド法人カードと比較して、アメックス・ビジネス・グリーンはどのようなスペックになっているのでしょうか。年会費や審査基準、限度額、サービス内容を含めて解説していきます。

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード (グリーン)
対象 個人事業主・法人
券面
年会費13,200円
追加カード6,600円
還元率0.5~1%
ETCカード年会費550円
限度額個別設定
国際ブランド

年会費は半額以下のアメックス・ビジネス・グリーン

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードは年会費36,300円(当サイトからの申し込みで初年度無料)です。法人カードの中でも年会費は高めですが、ステータス性やサービス内容が優れているため、多くの個人事業主や会社経営者が利用しています。

ただ、アメックスのゴールド法人カードに比べて、年会費が半額以下のアメックス法人カードとしてアメックス・ビジネス・グリーンがあります。アメックス・ビジネス・グリーンの年会費は13,200円です。

また、追加カードは一枚当たり6,000円で発行することができます。家族や従業員へ追加カードを発行するとき、アメックスのゴールド法人カードでは年会費13,200円です。そのため、追加カードの年会費についても半額になります。

追加カードを活用すれば、どの社員がどれだけカード決済したのか一目瞭然になります。カード利用による明細が明らかになり、ビジネスでの経費処理を簡単にすることができます。

アメックスの法人カードを作りたいものの、年会費の面で36,300円も出すことができないという場合、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード(グリーン)が適切です。

・法人ETCカードは年会費550円

なお、法人ETCカードを発行したい場合、年会費550円です。これについては、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードと同じです。

ETCカードは高速道路でのゲート通過が早くなるだけでなく、深夜割引や休日割引などを利用できるようになります。さらに、ETCマイレージサービスを利用できるなど多くのメリットがあります。

また、経費精算しなくても法人ETCカードであれば自動的に利用明細が表示されるため、会計処理が簡単になります。そのため、多くの人が法人ETCカードを利用します。

審査基準は非常にゆるい

法人カードの中でも、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード(ゴールド法人カード)は非常に審査が甘いクレジットカードとして知られています。

JCB法人カードなど、初心者用ビジネスカードの審査に落ちた人であっても、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードの審査には通過するのです。

それでは、一般法人カードであるアメックス・ビジネス・グリーンはどうなのでしょうか。ゴールド法人カードに比べて、アメックス・ビジネス・グリーンはグレードが低いです。そのため、アメックス・ビジネス・グリーンも同様に審査基準が非常にゆるくなっています。

一般的にカードのグレードが下がるほど、審査に通過しやすくなります。これはアメックスでも同じであり、アメックス・ビジネス・グリーンではより審査に通過しやすくなっています。

ビジネスをしたことのない個人事業主や設立一年未満の法人であっても、問題なく審査に通過するようになっています。

ポイント還元率0.5%だが、マイルなら還元率1%になる

アメックスの法人カードであると、基本的なポイント還元率は0.5%です。

カードを利用したとき、アメックスは100円につき1ポイントたまります。このときのポイントをギフトカードや他のポイントへ変換する場合、「1ポイント=0.5円」になります。そのため、還元率0.5%です。

ただ、アメックスの法人カードを利用している人の場合、ポイントをギフトカードなどに変えることはしません。ほぼ全員がマイルへ変換します。マイルでためる場合、還元率1%になるからです。

この場合、メンバーシップ・リワード・プラスという年会費3,300円のサービスに加入する必要はありますが、ここに入ると「1ポイント=1マイル」で交換できるようになります。100円で1マイルたまるため、マイル還元率1%です。

マイルへ変える年だけ、メンバーシップ・リワード・プラスに加入すれば問題ありません。他の年は脱退すればいいです。こうすれば、還元率1%で効果的にマイルをためることができるようになります。

・公共料金や税金支払いは還元率半減

ただ、アメックスのクレジットカード全てにいえることですが、アメックスでは電気代や水道代、ガス代などの公共料金をカード払いしたとき、還元率が半分になります。

これは税金の支払いも同様であり、法人税や消費税の支払いをすると還元率が半減します。つまり、マイル還元率0.5%(通常のポイント還元率なら0.25%)になるのです。

特に税金支払いでは、カード払いすると無駄に手数料が加算されるため、アメックス・ビジネス・グリーンで支払うとかなり損することになります。公共料金や税金のカード払いでは、このようなデメリットが存在します。

利用限度額の上限がない

他のカード会社と大きく異なる点として、アメックスではカードの色に応じて利用限度額が変わらないことがあげられます。

通常、一般法人カードやゴールド法人カード、プラチナ法人カードとカードのスペックが上がるにつれてカード利用枠(限度額)が上がっていきます。ただ、アメックスではそうしたことがなく、どの法人カードも限度額は個別設定となります。

個別設定のため、常識の範囲内であればカード利用枠に上限はありません。人によっては、限度額1,000万円の人もいます。

また、アメックスではデポジット(事前入金)の制度が設けられています。これは、あらかじめデポジットとして入金しておけば、それだけカード利用枠が上昇するというものです。

例えば、限度額300万円のとき、急に支払いが必要になってカード決済額が500万円ほどになるとします。通常、限度額を超えてのカード決済はできないため、カード利用300万円を超えた時点で利用がストップされます。つまり、カード決済できません。

ただ、事前にデポジットとして200万円を追加していれば、「限度額300万円 + デポジット200万円 = 500万円」となり、500万円までなら問題なくカード決済できるようになります。デポジットの機能を利用すれば、利用限度額に上限がなくなります。

優れた海外旅行傷害保険

一般法人カードとはいっても、年会費1万円以上する法人カードです。そのため、海外旅行傷害保険は優れた内容になっています。

最高5,000万円の補償となっており、ケガや病気などで現地の病院を受診した場合、最高300万円まで補償されます。これだけの補償額があれば、現地で大けがをして入院したとしても医療費について心配する必要はありません。

また、これらの医療費はキャッシュレス受診(キャッシュレス診療)と呼ばれ、お金の支払いなく受診できる制度になっています。そのため、現地通貨の支払いすらなしに受診できます。

カード会社に電話した後、日本語対応の病院をカード会社側が勝手に予約してくれるため、あとはタクシーなどで出向くだけです。

さらに、このときは家族特約がついており、一緒に旅行した家族(親や配偶者、子供)なども補償対象になります。

・利用付帯なのに注意すべき

ただ、アメックス・ビジネス・グリーンの注意点として、海外旅行傷害保険は利用付帯であることがあります。つまり、「日本出入国のために必要な飛行機チケット(または船舶チケット)」または「旅行ツアーの代金」をアメックス・ビジネス・グリーンで支払わなければ適応されないのです。

法人カードでは利用付帯と自動付帯があります。自動付帯の場合、カードをもっているだけで適応されます。

ただ、アメックス・ビジネス・グリーンは利用付帯なので、航空券代を対象のアメックス・ビジネス・グリーンで決済しなければいけません。

充実の空港サービス

アメックスのビジネスカードといえば、空港サービスが非常に優れていることで有名です。これについて、アメックス・ビジネス・グリーンはどうなのでしょうか。

付いているサービスについて、順に確認していきます。

・空港ラウンジの利用

一般法人カードではあるものの、アメックス・ビジネス・グリーンは空港ラウンジを利用することができます。国内線には「ゴールドカードと航空券を提示すれば入れる空港ラウンジ」が存在し、アメックス・ビジネス・グリーンでも入れるのです。

ただ、プライオリティ・パスという、よりグレードの高いラウンジを利用できるカードは発行できないため、あくまでも主に国内線にあるカードラウンジになります。

ただ、カードラウンジであってもソファがあってジュースを飲み放題であるため、これだけでも飛行機の待ち時間はかなり快適になります。

また、アメックス用のラウンジも存在し、そこではカードをもっている人だけでなく、同伴者まで一名無料になります。国内出張や海外出張などで他の人と一緒だったとしても、一名まで無料で連れて入れるようになります。

・手荷物の宅配サービス

海外出張をするとなると、どうしても手荷物の量が多くなってしまいます。重いスーツケースをもって空港まで出向くのは気が重いです。

ただ、アメックス・ビジネス・グリーンを保有していれば、カード会員一名につき、スーツケース1個を無料で空港まで送ることができます。

海外出張が対象であり、空港は羽田空港、成田国際空港、中部国際空港、関西国際空港となっています。こうした空港を利用して外国へ行くとき、スーツケースの宅配サービスを利用してみてください。7日前までに予約することでサービスを受けることができます。

・空港パーキングが安くなる

また、成田国際空港、羽田空港、関西国際空港、福岡空港が対象になりますが、空港まで車で行きたいときに駐車場料金が安くなります。このときは20~40%ほど値引きされます。

さらに、空港によっては機械による水洗い洗車が無料になるなどの特典もついてきます。

・国内線利用で1,000円の食事券がつく

アメックスの法人カードをもったとき、必ず利用してほしいものとして、国内線の利用でもらえる1,000円分の食事券があります。これを、エアポート・レストラン・クーポンといいます。

「H.I.S. アメリカン・エキスプレス・トラベル・デスク」を経由して国内線を利用すると、羽田空港や伊丹空港で利用できる1,000円分の食事券をもらうことができます。空港内の対象レストランで利用できます。

昼食代や夕食代を浮かすことができるため、国内出張のときはぜひとも利用したいクーポン券です。

アメックスのゴールド法人カードとの違い

それでは、アメックスの法人カードをもつとき、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード(グリーン)とアメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードではどちらを選べばいいのでしょうか。

年会費だけを比較すると、アメックス・ビジネス・グリーンの方が19,000円も安いです。ただ、スペックの違いまで考慮すると、必ずしもアメックス・ビジネス・グリーンが良いとは限りません。

そこで、アメックスの一般法人カードとゴールド法人カードでの違いについて、比較しながら確認していきます。

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード (グリーン)アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
対象 個人事業主・法人 個人事業主・法人
券面
年会費13,200円36,300円
追加カード6,600円13,200円
還元率0.5~1%
ETCカード年会費550円
限度額個別設定
国際ブランド
海外旅行傷害保険最高5,000万円(利用付帯&家族特約)最高1億円(自動付帯&家族特約)
国内旅行傷害保険最高5,000万円(利用付帯)最高5,000万円(自動付帯)
空港ラウンジ〇(プライオリティ・パスなし)
その他サービス・VIP会員クラブ「クラブオフ」

・飲食店利用のコンシェルジュサービス

ステータス性はかなり劣る

やはり、どうしてもゴールドカードに比べるとアメックス・ビジネス・グリーンのステータス性は劣ってしまいます。

特にアメックスの法人カードであると、グリーンカードは一般的ではありません。ほとんどの人がゴールドカードを選びます。そのため、他の人に「なぜゴールドカード以上ではなくグリーンなのだろう」と疑問を持たれることがあります。

アメックスではあっても、一般カードとゴールドカードを比べたとき、ステータス性の意味では大きな違いがあります。

海外旅行傷害保険の違い

また、機能面での大きな違いといえば、海外旅行傷害保険があります。海外出張するとき、別途旅行保険に入らなくてもクレジットカードの保険を活用すれば高額な医療費を避けられるようになります。

ただ、前述の通りアメックス・ビジネス・グリーンでは利用付帯です。航空券やツアー代金をカード決済しなければ補償対象になりません。

一方でアメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードでは自動付帯になります。つまり、カード決済しなくても、保有しているだけで補償適応されます。しかも、家族特約についても自動付帯なので、家族が現地の病院へ入院したとしても医療費が高額になることはありません。

家族旅行などであれば、経費にならないので法人カードで決済できません。ただ、アメックスのゴールド法人カードは自動付帯なので、たとえ家族旅行であっても問題なく補償されるのです。

つまり、家族旅行のように法人カード決済できない場合であっても、自動付帯という性質上、カードをもっているだけで補償対象になります。海外で一度もカード決済しなくても補償されます。家族分の旅行保険代を削減できるため、これだけで大きなお金の節約になります。

迷ったらグリーンとゴールドのどちらを選択すべきか

それでは、結局のところグリーンとゴールドでどちらを選択すればいいのでしょうか。この点については、以下のように考えるといいです。

  • 年会費36,300円がどうしても負担になる場合 → グリーン
  • それ以外 → ゴールド

アメックスのゴールド法人カードはステータス性に優れているだけでなく、「海外旅行傷害保険&家族特約の自動付帯」があるだけでなく、その他のビジネスサービスまで含めるとグリーンよりもかなりハイスペックな内容になっています。

また、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードの上位版として、プラチナ法人カード(アメリカン・エキスプレス・ビジネス・プラチナ・カード)があります。

年会費141,000円と非常に高額であるため、ビジネスがまだ軌道に乗っていない場合は手が出ないカードです。

ただ、「自動的に高級ホテルの上級会員になれるため、1万円程度で高級ホテルに泊まれる」「高級レストラン2名以上の予約で1名無料(1人1万円のコースを2人で予約した場合、1人5,000円)」「コンシェルジュデスクを通すだけで、レストランが1~2割引になる」など、ここでは書ききれないほどのサービスがあります。

ビジネスが軌道に乗ってくると、アメックスのプラチナ法人カードがほしくなります。ただ、インビテーション(招待)が届く必要があり、誰でも保有できるカードではありません。そうしたとき、アメックスのゴールド法人カードをもつことが「インビテーションが届く条件」になります。

つまり、ゴールドカードで決済を継続していると、以下のような案内が届くようになるのです。

将来のことまで見据えると、グリーンではなくゴールドへ申請する人が多いです。そのため、年会費36,300円がどうしても負担な場合はグリーンに申請し、それ以外のときはゴールドを検討するといいです。

・一般カードとしては年会費が高い

なお、アメックス・ビジネス・グリーンは一般カードで考えると年会費が高いです。他社のゴールド法人カード以上の年会費が必要になります。

その代わり、マイル還元率1%を実現できたり、空港サービスが優れていたりなどの特典が存在します。そのため、カード利用額の多い人であれば問題なく年会費分のもとを取ることができます。

また、利用限度額が個別設定で非常に高額です。さらに、アメックスのゴールド法人カードより審査が甘く、法人カードの中でも最高レベルで審査がゆるいという特徴もあります。

年会費が高めの一般カードではあっても、機能性の面では十分すぎるほどです。

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード(グリーン)を活用する

このように、メリットやデメリットを含め中立的な立場で述べてきましたが、アメックスの中でも年会費の安い法人カードがアメックス・ビジネス・グリーンです。

ゴールド法人カードに比べると、かなり年会費を抑えることができます。ただ、それでも他の一般法人カードと比べて年会費は高めなので、サービス性やマイル還元率は他会社のカードよりも優れています。

アメックスのカードを保有したいものの、ゴールド法人カード(アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード)に手を出せない場合、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード(グリーン)から活用してみてください。

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード (グリーン)
対象 個人事業主・法人
券面
年会費13,200円
追加カード6,600円
還元率0.5~1%
ETCカード年会費550円
限度額個別設定
国際ブランド
海外旅行傷害保険最高5,000万円(利用付帯&家族特約)
国内旅行傷害保険最高5,000万円(利用付帯)
空港ラウンジ〇(プライオリティ・パスなし)

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