クレジットカードにはそれぞれ国際ブランドがあります。そのため、どの国際ブランドを利用してクレジットカードを作るのかは重要になります。当然、これは法人カードを作成するときも同様です。
このとき、主要な国際ブランドとしてMastercard(マスターカード)があります。
重要となる国際ブランドであることから、Mastercardでビジネスカードを作りたいと考える個人事業主・会社経営者は多いです。ただ、マスターカードとはいってもいろんな種類の会社からクレジットカードが出されており、それぞれスペックは異なります。
そこで、どのような基準でMastercardの法人カードを作ればいいのかについて確認していきます。
もくじ
Visaに次ぐシェアのマスターカード
クレジットカードには、いくつかの国際ブランドがあります。有名なものとしては、一般的には以下が知られています。
- Visa
- Mastercard(マスターカード)
- アメックス
- JCB
他にはダイナースや中国でたくさん利用されている銀聯カード(UnionPay)などもあります。クレジットカードを発行するにしても、これら国際ブランのうち必ずどれかを選択しなければいけません。
法人向けクレジットカードのうち、メインになるのは「Visa、Mastercard、アメックス、JCB」の4つになります。それ以外のビジネスカードを利用することは、よほどのことがない限りありません。
このとき、世界シェア1位がVisaになります。その次にMastercardのシェアが高くなっています。Mastercardは世界シェア2位なのです。
日本では、法人向けクレジットカードの国際ブランドはどれでもいい
このとき、日本国内でカード決済することを考える場合、特に国際ブランドの違いを気にする必要はありません。どのビジネスカードであっても、問題なくカード決済することができるからです。
かつて、アメックスやダイナースではカード決済できない店舗が存在しました。そのため、VisaやMastercard、JCBなどでなければ不憫な思いをした時代があるのです。
しかし現在では、クレジットカード決済に対応している店舗の場合、国際ブランドに関係なく法人カード払いできるようになっています。
・海外では国際ブランドが重要
一方で海外になると、どの国際ブランドを保有しているのかは非常に重要です。カード決済できないことがよくあるからです。
まず、VisaとMastercardであれば全世界どこに行っても問題なくクレジットカードを活用できると考えればいいです。VisaとMastercardを合わせて世界シェア75%以上なので、どちらか一方を持っていれば困る場面は少ないです。
しかし、これがアメックスやJCBになると話が変わってきます。アメックスの世界シェアは3%ほどであり、JCBは1%くらいです。そのため、使えないケースが多いのです。
例えばアメックスはアメリカと日本では確実に問題ないものの、アジアやヨーロッパではほぼ使えません。JCBも同様であり、アジアやヨーロッパ、アメリカ(ハワイ以外)を含めカード決済できないケースが非常に多いです。そのため、海外へ出向くときにMastercardを保有していると安心です。
・Visaだけでも海外は微妙
参考までに、「海外ではVisaでの決済がどこでも可能」とはいっても100%問題ないとは限りません。実際、私がドイツへ海外出張へ行ったとき、以下の電車の券売機で切符を購入する場面がありました。
支払いはユーロですが、そのときは手持ちのユーロがほぼありませんでした。そこでカード決済を考えましたが、なぜかVisaのクレジットカードを受け付けてくれません。理由は不明です。
そこでMastercardの法人カードを差し込んだところ、今度は問題なく認識してくれました。異なる国際ブランドを保有していたため、問題なく電車に乗れたわけです。もし、Visaの法人向けクレジットカードしかもっていなければ危なかった場面でした。
マスターカードのビジネスアシストや招待日和
なお、他の国際ブランドには存在しないMastercardならではの特徴があります。その一つが法人向けのビジネスサポートサービスです。Mastercardはいろんなクレジットカード会社が出しているものの、MastercardをもっていればすべてのクレジットカードでMastercard独自のサービスを利用できるのです。
その一つがMastercardのビジネスアシストになります。ビジネスアシストでは、例えば以下のようなサービスがあります。
- 携帯料金の割引:ソフトバンクで経費精算の簡略化ができ、料金の割引サービスまである
- 宿泊予約:じゃらんの法人向け宿泊予約サービスを利用できる
他にもサービスは存在します。ただ、実際のところ個人事業主や会社経営者がMastercardのビジネスアシストを利用する機会はほぼないといえます。私もこれまで、一度も使ったことがありません。
・Mastercardの招待日和はかなり使える
しかし、招待日和については非常に優れたサービスであり、私は何度も利用したことがあります。招待日和とは、「指定のレストランを2名以上で利用することにより、1名分が無料になる」というサービスになります。そのため、例えば2名で食事をすれば半額になります。
以下のような食事をしたとき、1名分が無料だと考えましょう(ドリンク代は含まれず、コース料金が1名分無料となります)。
一般法人カードは招待日和の対象外ですが、ゴールドカードやプラチナカードであれば問題なく利用できます。もちろん法人カードであっても、Mastercardでれば招待日和を活用できると考えましょう。たとえ家族との食事であっても、「得意先の接待」ということにして経費計上すれば問題ありません。
注意点として、東京や大阪、名古屋、福岡など都市部のレストランがほとんどになります。200店舗と提携していますが、都市部の店で利用できるようになっています。
Mastercardのおすすめビジネスカード比較
それでは、実際にMastercardの国際ブランドで発行できるビジネスカードとしては何があるのでしょうか。これについては、既に種類が決まっています。
具体的には、以下のような法人向けクレジットカードがMastercardの対象になります。
法人カード | 選べる国際ブランド |
オリコ EX Gold for Biz | |
三井住友カード ビジネスオーナーズ |
実際には、他にもMastercardに対応しているビジネスカードは存在します。ただ、「人気の法人カードの中でMastercardブランドを利用できるカード」がこうしたクレジットカードとなっています。そこで、それぞれの法人カードについて比較しながら確認していきます。
ポイント還元率やマイル、年会費で比較する
法人向けクレジットカードを作るとき、重要な判断基準としてポイント還元率があります。ビジネスカードで決済したとき、どれだけポイント付与があるのかを考えるのは非常に重要なのです。
このとき、還元率はそれぞれ以下のようになっています。
- オリコ EX Gold for Biz:0.6~1.1%
- 三井住友カード ビジネスオーナーズ:0.5%
ポイント還元率については、オリコ EX Gold for Bizは最初から還元率0.6%と優れています。年間のカード利用額が多くなるにつれて還元率が上昇し、年間200万円以上のカード決済があれば最大で1.1%になります。年会費2,200円(初年度無料)なので、コストパフォーマンスの優れた法人カードです。
一方で三井住友カード ビジネスオーナーズでは還元率0.5%です。また、年会費は永年無料です。
こうした違いがあるため、月200万円以上のカード決済があり、ポイントを貯めたい人であればオリコ EX Gold for Bizがおすすめです。一方でカード決済額が少ない場合、三井住友カード ビジネスオーナーズが優れています。
個人事業主や社長にとってポイントは重要です。ビジネスカード決済でのポイントは社長個人が好きに利用できるからです。
非課税の現金を手にしているのと感覚は同じなので、ポイント還元率の高い法人カードを活用するのは重要です。
・マイルで貯めたい場合はオリコ EX Gold for Biz
なお、中にはマイルでポイントを貯めたいと考える人もいます。その場合、オリコ EX Gold for Bizを選ぶようにしましょう。
ただマイルの場合、還元率が悪くなります。年間200万円以上の利用があったとしても、ANAマイル0.66%、JALマイル0.55%という還元率になっています。
一般的にマイルを貯めたい場合、法人カードではアメックスの国際ブランドを作る必要があります。例えば、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレスカードではJALマイル還元率1.125%となっています。
ゴールドカードやプラチナカードを活用する
なお、オリコ EX Gold for Bizはゴールドカードのスペックです。また、三井住友カード ビジネスオーナーズについてもゴールドカード以上の法人カードをもつことができます。
そのため空港ラウンジの利用や招待日和の活用など、よりグレードの高いサービスを利用したい場合はゴールドカードを利用するといいです。例えば空港ラウンジであれば、飛行機を待つときに以下のようなラウンジを利用可能です。
アルコールや食事などはないですが、ゆったりしたソファに座りながら仕事をすることができます。また、ソフトドリンクであれば飲み放題です。
さらに、ゴールドカード以上になれば海外旅行保険が自動付帯になります。海外旅行保険があれば、現地で病院をケガや病気で受診したとしても高額な費用請求がありません。こうした海外旅行保険が自動で付いてくるのです。そのため、海外へ行く人がゴールドカード以上のビジネスカードを保有するメリットは大きいです。
・プラチナカードでは三井住友ビジネスプラチナカード for Owners
なお、法人カードの中でプラチナカードを考えている場合、Mastercardだと三井住友ビジネスプラチナカード for Ownersの一択になると考えましょう。実際に法人カードの場合、プラチナカードは以下のようになります。
- アメリカン・エキスプレス・ビジネス・プラチナカード:国際ブランド(アメックス)
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード:国際ブランド(アメックス)
- JCB プラチナ法人カード:国際ブランド(JCB)
- 三井住友ビジネスプラチナカード for Owners:国際ブランド(Visa or Mastercard®)
2つはアメックスであり、1つはJCBです。そして最後に三井住友ビジネスカード for Ownersが存在します。
三井住友ビジネスプラチナカード for Ownersであれば、還元率は0.5%ですが、ギフトカードなどによるさらなる高還元の仕組みが存在します。また、よりグレードの高い空港ラウンジを利用できる「プライオリティ・パス」が付き、非常に高額な海外旅行傷害保険が自動で付きます。当然、総利用枠は高額です。
Mastercardで法人向けクレジットカードを考えている場合、三井住友ビジネスカード for Ownersになります。
法人向けクレジットカードをMastercardで作る
ビジネスカードとしてクレジットカードを作成するとき、Mastercardを考える人は非常に多いです。異なる国際ブランドを保有するのが基本になるからです。日本国内だとカード決済で困ることはないですが、海外出張だと違う国際ブランドのクレジットカードを複数枚もつ意義は大きいです。
私の場合についても、VisaやMastercardなどいろんな国際ブランドの法人カードをもっていたために海外で何とか切り抜けられた場面がたくさんありました。したがって、特にアメックスやJCBの法人カードしかもっていない場合、早めにMastercardの法人カードを作るようにしましょう。
そこで、個人事業主や会社経営者がMastercardで作るべきおすすめのクレジットカードを紹介しました。
ここで紹介した法人カードについては、どれも審査基準は低くビジネス実績のない個人事業主や法人であっても審査に通過するようになっています。そのため、起業直後であっても安心して申し込みをして問題ありません。
オリコ EX Gold for Biz
年会費2,200(初年度無料)の法人カードがオリコ EX Gold for Bizです。Mastercardを選ぶことができ、Visaで作ることも可能です。
前述の通り還元率0.6%であり、年間200万円以上の利用でポイント還元率1.1%になります。
またゴールドカードのスペックなので招待日和を利用できます。さらに、利用限度額は10~300万円と高めです。空港ラウンジについても、ゴールドカードラウンジに入ることができます。そのため、コストパフォーマンスに優れた法人カードになります。
初心者用の法人カードの一つであるため、個人事業主や法人であれば誰でも申し込むことのできるビジネスカードです。
三井住友カード ビジネスオーナーズ
起業直後の個人事業主や法人でも審査に通過する法人向けクレジットカードの一つが三井住友カード ビジネスオーナーズです。
実際、法人であっても登記簿謄本の提出が不要なカードです。「本来は提出が必要な書類」がなく、それだけ審査基準を低くして多くの個人事業主・法人を受け入れているのです。
年会費は永年無料です。スペック自体は普通であり、還元率0.5%ほどです。また、カード利用枠は~500万円(所定の審査あり)です。ただ、ゴールドカードへとステップアップすることができます。
さらに新幹線予約で割引があったり、電車賃が安くなったり、独自の特典に優れたビジネスカードでもあります。ポイント還元率は普通であっても、その他のサービスで得をすることの多い法人カードです。なお、国際ブランドはVisaかMastercard®になります。