クレジットカードを保有することでマイルを貯めたいと考える人は非常に多いです。このときマイルにはANA(全日空)とJAL(日本航空)があり、どちらか一方のマイルを貯めることを考えます。
ただ、ANAマイルを貯めたい人は適切な法人カードを選ばなければいけません。飛行機に乗ることでANAマイルを貯めることはできますが、マイルを貯める場合はほとんどのケースでクレジットカード利用をするのが基本になるからです。
それでは、マイルのうちANAマイルを貯めることを考える場合はどのようなビジネスカードを利用すればいいのでしょうか。
ここでは、全日空のマイルを貯めるときに考えるべきことについて解説していきます。
もくじ
マイルの価値は非常に高い
個人事業主や会社経営者を含め、非常に多くの人がマイルを貯めます。この理由は単純であり、マイル価値が非常に高いからです。
マイルを航空券に変える場合、「1マイル=2~3円」になります。そのため、Tポイントなど他のポイントを貯めるのではなく、頑張ってマイルを貯めるのです。
国内や海外での移動のとき、飛行機を利用するケースは頻繁にあります。そのため、絶対に飛行機に乗らない人であれば関係ないですが、そうでないのであればマイルを貯めるのは非常に有効なのです。
また、ANAやJALを含め定期的に減額マイル(少ないマイルで航空券に変えられるキャンペーン)を実施していることがあります。このとき、以下は全日空が打ち出した減額マイルキャンペーンの内容です。
通常マイル(往復) | キャンペーン適用(往復) | |
成田⇔プノンペン | 35,000 | 28,000 |
成田⇔クアラルンプール | 35,000 | 28,000 |
成田⇔ジャカルタ | 35,000 | 28,000 |
成田⇔ムンバイ | 35,000 | 28,000 |
成田⇔北京 | 20,000 | 16,000 |
成田・羽田⇔広州 | 20,000 | 16,000 |
実際、このときのキャンペーンを利用して私はANAマイルを「ムンバイ(インド)へ行くための航空券」に変えて旅行したことがあります。ムンバイではアジア最大のスラム街へ出向くなど、以下のように非常に貴重な経験ができました。
航空券の値段から換算すると、このときは「1マイル=約3.1円」となりました。このように、マイルを貯めることは非常に効果的なのです。
・ビジネスクラスでも効果的
なお、減額マイルのキャンペーンを利用するときでなく、マイルを利用してビジネスクラスに乗るケースについても優れています。
エコノミークラスに追加して少しだけマイルを加算させれば、ビジネスクラスに搭乗できるようになります。例えば、私は以前にロサンゼルスへの航空券でANAマイルを使い、ビジネスクラスで予約したことがあります。
「羽田-ロサンゼルス」をビジネスクラスで搭乗すると、往復で約50万円です。ただ、85,000マイルで取得できていることが分かります。参考までに、エコノミークラスだと50,000マイルで取得できます。そのため、35,000マイルを追加するだけでビジネスクラスになります。
ビジネスクラスの場合、今回では「1マイル=約5.9円」となっています。ANAマイルを利用すれば、効果的にビジネスクラスを楽しめるようになるのです。燃料サーチャージは別途必要ですが、それでもマイル価値は非常に高いです。
全日空のフライトでなく、ビジネスカードでマイルを貯める
それでは、このときのANAマイルをどのように貯めるかというと、基本的には「全日空の飛行機に乗るのではなく、クレジットカード利用によってマイルを貯める」ようにします。理由は単純であり、航空機への搭乗によるマイル付与ではほぼ貯まらないからです。
例えば、以下は「羽田-ハノイ(ベトナム)」の航空券で搭乗したときのフライトマイルです。
加算マイルは片道1,147マイルです(往復で2,294マイル)。このように、わずかしか貯まりません。
一方で個人事業主や会社であると、ビジネスのために仕入れをしたり広告を出したりするなど、カード決済額が多くなる傾向にあります。そのため、例えば還元率1%の法人カードを利用すれば、100万円の利用で1万マイルが貯まります。
国内や海外での航空券を購入してもほとんどマイルは貯まりませんが、通常のカード支払いでANAマイルが貯まるのです。
ANA JCB法人カードの還元率は1%
それではANAマイルを貯める際には、どのように考えるといいのでしょうか。このとき、最初に思いつくのは「全日空が出しているビジネスカードとして何があるのか」だと思います。
全日空の法人カードとしては、ANA JCB法人カードが知られています。スペックは以下の通りです。
一般カード | ワイドカード | ワイドゴールドカード | |
対象 | 個人事業主・法人 | ||
券面 | |||
年会費(税込) | 2,475円 | 12,925円 | 20,900円 |
追加カード(税込) | 825円 | 4,400円 | |
還元率 | 1.0~1.075% | ||
ボーナスマイル | 区間基本マイレージ×クラス・運賃倍率×10% | 区間基本マイレージ×クラス・運賃倍率×25% | |
マイル移行手数料 | 年間5,500円(税込) | 無料 | |
ETCカード年会費 | 無料 | ||
ETCカード枚数制限 | 複数枚発行可能 | ||
限度額 | 公式サイト参照 | ||
国際ブランド |
法人に限らず、個人事業主を含めて加入できるようになっています。ビジネスをしている人であれば、誰でも申し込めるビジネスカードです。
最大の特徴は還元率です。ANA JCB法人カードの場合、ANAマイル還元率1%です。つまり、100円の買い物につき1マイルが貯まると考えましょう。そのため、法人カードの中では効率的にANAマイルを貯められるようになっています。
・VISAやダイナースを選んではいけない
参考までに、ANAの法人カードではVISAやダイナースを選択することも可能です。ただ、VISAは絶対に選ばないようにしましょう。VISAの場合、還元率ゼロになるからです。つまり、ANAマイルをまったく貯めることができません。
ダイナースについても年会費が非常に高額なだけでなく、公共料金や税金などの支払いをするとき、還元率が半分(還元率0.5%)に下がってしまいます。非常にデメリットが大きいため、特別な理由がない限りはJCBで全日空の法人カードを作成するようにしましょう。
発行するべきクレジットカードはワイドゴールドカード
このとき、ANA法人カードの中でどのクレジットカードが適しているのかというと、それはワイドゴールドカード(ANA JCB法人カード ワイドゴールド)になります。
全日空が発行するクレジットカードにも関わらず、ANA法人カードで貯めたポイントをマイルに変換するためには移行手数料が必要になります。移行手数料は意外と高く5,000円です。ただ、ワイドゴールドカードであれば移行手数料は無料です。
- 一般カード:移行手数料5,000円
- ワイドカード:移行手数料5,000円
- ワイドゴールドカード:移行手数料無料
年会費だけを考えると、ANA JCB法人カード ワイドゴールドは年間20,900円(税込)と高めです。ただ移行手数料は無料ですし、利用限度額などまで含めるとANA JCB法人カード ワイドゴールドの一択になります。
・フライトボーナスもある
また、ANA JCB法人カード ワイドゴールドであるとフライトボーナスがあります。つまり、ワイドゴールドカードで決済することにより、「実際に飛行機に搭乗したときに付与されるポイント」に加えて、さらにボーナスマイルがあるのです。
このときのフライトボーナスは以下になります。
- 区間基本マイレージ×クラス・運賃倍率×25%
ANA JCB法人カード ワイドゴールドを利用して航空券を購入し、搭乗すればその分だけ付与されるマイルが多くなります。
また、入会時やクレジットカード継続時は2,000マイルが付与されます。このようにANAマイルが加わるメリットがいくつも存在するビジネスカードです。
カードのスペックが高くないのはデメリット
ただ、ANA JCB法人カード ワイドゴールドには最大の欠点があります。それは、クレジットカードのスペックが高くないという点です。JCBが発行する法人カードに共通することでもありますが、カードスペックの内容自体が優れているわけではないのです。
まず、このクレジットカードのグレードについてはゴールドカードが最高です。プラチナカードはありません。そのため、よりグレードの高いANAの法人カード(ANAの法人プラチナカード)を保有することはできません。
またゴールドカードですが、限度額はそこまで高くありません。私は実際にANA JCB法人カード ワイドを発行したことがあり、このとき2年とそれなりに長く法人カードを使っていたものの、利用限度額は130万円ほどしか上がりませんでした(緊急時の一時増枠でも170万円まで)。
JCBは法人カードでの増枠時の審査が非常に厳しいです。そのため、たくさんのカード決済のある会社だと向いていません。
こうした性質のため、ANAマイルを貯めるためにANA JCB法人カード ワイドゴールドを使っていたものの、結局のところ利用限度額の高い他の法人カードに切り替えることにしました。限度額いっぱいになることが頻繁に発生し、困るケースが多発したからです。
もちろん、そこまでカード決済額が大きくない場合は問題ありません。ただ、月50万円以上のカード決済(限度額100万円ほど)の利用がある個人事業主や会社だとすぐに上限いっぱいになって困ることになります。
限度額というのは、約2ヵ月で利用できる利用枠となります。例えば限度額100万円の場合、前月に70万円を利用したのであれば、今月は30万円しかカード決済できません。
ANAマイル還元率が最初から1%であることは非常に優れています。ただ、こうしたデメリットがあることは事前に理解しましょう。プラチナカードはないため、ビジネスでのカード決済額が月50万円以上ある個人事業主・法人には向いていないクレジットカードになります。
・JCBのゴールドカードだと審査基準は高い
なお、ビジネス初心者だとカード決済額が少ないために申し込む価値はあるものの、JCBのゴールドカードなので審査基準がそれなりに高めという欠点があります。
一般カードであれば起業直後の会社でも問題なくクレジットカードを発行できます。ただ、ANA JCB法人カード ワイドゴールドはゴールドカードになるので、ビジネス実績の少ない個人事業主や会社だと審査が厳しくなると考えましょう。
ANAラウンジやプライオリティ・パスは付かない
なお、日本ではあらゆる空港にANAラウンジがあります。全日空の上級会員になればANAラウンジに入れるようになりますが、ANA JCB法人カード ワイドゴールドを保有していたとしてもANAラウンジは利用できません。
さらには、国際線にはグレードの高いVIPラウンジとして「プライオリティ・パスで入れる空港ラウンジ」があります。クレジットカードの種類によってプライオリティ・パスを無料で発行できますが、ANA JCB法人カード ワイドゴールドはプライオリティ・パスには対応していません。
そのため、「ゴールドカードラウンジを超えるハイクラスの空港ラウンジを利用することはできない」と考えるようにしましょう。
・ANAのスーパーフライヤーズで法人カードは存在しない
ちなみに、全日空の上級会員(スーパーフライヤーズ)になっている人であれば、個人クレジットカードとしてスーパーフライヤーズカードを保有していると思います。
私もANAの上級会員であり、プラチナカードのスーパーフライヤーズカードを保有しています。
ただ、全日空のスーパーフライヤーズカードは個人カードしか存在しません。法人カードを作ることはできず、ビジネスカードで全日空が発行する法人カードとなるとANA JCB法人カード ワイドゴールドの一択になるのです。
カードのスペックが優れたビジネスカードを利用する
それでは、ビジネス初心者であっても問題なく利用することができ、さらにはマイル還元率の高い法人カードとしては何があるのでしょうか。
このとき、ビジネスカードの中では以下の法人カードを選択するといいです。
- ANA JCB法人カード ワイドゴールド:ANAマイル還元率1.0~1.075%
審査基準やカード利用枠など、さまざまな点を考慮して申し込む法人カードを選ぶようにしましょう。以下のようになっています。
ANA JCB法人カード ワイドゴールド
あらゆる法人カードの中でも、最も効率的にANAマイルを貯めることのできる法人カートがANA JCB法人カード ワイドゴールドです。ANAマイルの還元率は1.075%です。
マイル還元率が最高レベルのため、ANAマイルを貯めたい人にとって最適な法人カードです。
ただ注意点として、マイル以降での年会費を考えるとき、必ずゴールドカードでなければいけません。またJCBのゴールドカードなので、審査基準は高いです。それでいて、そこまで限度額が高いわけではありません。
そのため「個人事業主時代を含めて、既に何年も経営している」「カード利用額が月に50万円以下」などの上限を満たす必要はありますが、その場合はANAマイル還元率に優れた法人カードといえます。