クレジットカードは非常に便利であり、これは個人事業主や会社が活用する法人カードも同じです。経費処理や節税などで法人カードは重宝します。
経費決済で法人カードを利用すれば銀行振込手数料が必要ないため、経費削減にもなります。さらに、ビジネスカード利用によるポイント付与を活用すれば、非課税のお金を入手することもできます。
ただ、クレジットカードの唯一にして最大の欠点として、「紛失・盗難のときに再発行する必要があり、手間が面倒」ということがあります。
それでは、実際に紛失・盗難があったときはどのような手順で再発行すればいいのでしょうか。また、注意点はあるのでしょうか。この点について確認していきます。
もくじ
法人カードの紛失・盗難ではすぐに再発行するべき
法人カードの紛失・盗難にあった場合、すぐにカード会社へ電話するようにしましょう。電話をかけるだけで、即座にカードの使用が停止されます。今後、利用停止したクレジットカードを使えることはなくなります。
その後、新しい法人カードが再発行されるようになります。再発行するとき、特別な手続きは必要ありません。再発行するには数日かかりますが、待っていれば新しいビジネスカードが届くようになります。
紛失や盗難でも怖いのは、不正利用されることにあります。不正利用によって身に覚えのない買い物をされたとき、商品は届いていないにも関わらずあなたがお金を負担することになります。これを防ぐため、必ず再発行手続きを済ませる必要があります。
このときは「カード会社名 紛失・盗難」で検索するといいです。例えば、「JCB 紛失・盗難」「アメックス 紛失・盗難」「三井住友 紛失・盗難」という感じです。
ネット検索すると、どこに電話すればいいのか番号が書かれています。例えば、JCBでは以下のようになります。
紛失・盗難は緊急事態です。そのため24時間、365日対応しているのが基本です。法人カードを無くした場合、ネット検索して出てきた電話番号へかけるようにしてください。
海外で紛失・盗難したときはどうすればいいのか
ただ、トラブルが起こるのは日本だけではありません。海外で紛失・盗難することもあります。どちらかというと、海外出張(外国旅行)しているときの方が紛失・盗難に遭遇しやすいです。
海外であれば、たとえ先進国であってもスリは当たり前です。治安の悪い国であれば、強盗に遭遇することもあります。
そうしたとき、財布の中に入っているクレジットカードは盗難によってすべて無くなることになります。このときも同様に紛失・盗難の手続きをすることで、カードの利用停止をしなければいけません。
海外で法人カードを紛失・盗難した場合、国ごとに連絡先が異なります。これについては、先ほどと同じように「カード会社名 紛失・盗難」と検索するようにしましょう。
そうすれば、「海外での紛失・盗難時の連絡先一覧はこちら」「海外からのお問い合わせ先」などのような言葉があります。そこをクリックすれば、問い合わせ先の国別一覧が出てきます。
例えば、JCB(JCB法人カードなど)では以下のようなボタンをクリックして、海外問い合わせ用のページに飛びます。
他には、アメックス(アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードなど)では、以下のボタンをクリックします。
もし、海外からつながる携帯電話をもっていない場合、宿泊先のホテルを活用しましょう。「I lost my creditcard. Can I use the phone?(クレジットカードを無くしてしまったので、電話を貸してください)」と伝えれば問題ありません。
当然、電話に出る人は日本語を話せるスタッフです。電話でカードの紛失・盗難にあったことを伝え、すぐに利用停止してもらうようにしましょう。
すぐに再発行の手続きに入るため、旅行期間の長い人であれば日本に帰ってくるころにはカードが届いていることもあります。
海外でビジネスカードを使いたい場合、緊急カードを作ることも可能
ただ、中には海外で紛失・盗難に遭遇したとき、クレジットカードがないと困るので「海外用の緊急カードを発行してもらうことはできないのか」と考えます。
実は、海外で紛失・盗難にあったときのために、海外用の緊急カードを作ることは可能です。カード会社によって対応は異なりますが、問題なく発行することができます。
例えば、クレディセゾン(セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードなど)であれば、発行手数料として約10,000円必要であるものの、問題なく緊急カードを入手できます。これについては、三井住友カードやアメックスなどでも同様です。
また、JCBであれば現地のJCBプラザ ラウンジ(ロサンゼルス、ホノルル、グアム、香港、ソウル、バンコク、パリなど)へ出向くことで、即日受け取りできることもあります。
通常、緊急カードの受け取りまでに2~5営業日ほど必要にも関わらず、即日受け取り可能なのはメリットが大きいです。
なお、海外での緊急カードは外国でのみ利用できます。そのため、日本に帰国した後は緊急カードを破棄し、再発行されたカードを使用するようにします。
実際に不正利用されたとき、盗難補償される
それでは、不正利用されて身に覚えのない買い物をされたとき、全額を負担しなければいけないのでしょうか。
紛失・盗難にあったとき、再発行を含め必要となる手続きをしていなければ、全額あなたの負担になります。ただ、きちんと電話をかけて利用停止していれば、盗難補償によって損害を防ぐことができます。
多くの場合、クレジットカードでは紛失保険・盗難保険を設けています。「紛失・盗難を伝え、カード利用停止した日から60日前にさかのぼり、それ以降の損害を補償してもらう」というものです。
つまり、不正利用があったとしてもきちんと届け出(電話での利用停止)をしていれば、全額補償されるのです。
クレジットカードに否定的な人は「不正利用の心配」をします。ただ、これらの補償制度があるため、実は現金よりもクレジットカードの方が安全です。こうした盗難補償はどのカード会社であっても設けています。
私も不正利用に遭遇したことがある
恥ずかしながら、私は法人カードの不正利用にあったことがあります。そのときはクレジットカードを紛失・盗難されておらず、法人カードは手元にありました。しかし、店舗で法人カードを利用しているときに番号などを盗み取られたのか、不正利用に遭遇したのです。
このときの経緯ですが、まず私の携帯電話に電話がかかってきました。みなれない電話番号だったのですが、電話を取ってみるとカード会社の人でした。
電話では「10分ほど前に35万円のカメラが決済されたのですが、利用した覚えはありますか?」と聞かれました。私にカメラの趣味はなく、当然ながらそのようなカード決済をした覚えはありません。どうやら、第三者によって不正に利用されたようです。
利用した覚えはまったくないことを伝えると、カード会社の人からは「では、いますぐ利用停止しておきます。このカードは今後、一切使えません。カメラについては、決済を止めておくので心配は必要ありません。これから再発行手続きに入りますので、カードが届くまで一週間ほどお待ちください」と言われました。
その後、以下のようなメールが私のメールアドレス宛てに届きました。
不正利用はありましたが、このように金銭的な負担なく法人カードを再発行することができました。
法人カードが届くまでの間、カード決済できないので多少は不便でした。ただ、このようにカード会社では不正利用を防ぐ高度な検知技術をもっているのだと感心しました。
ちなみに、値段のはる高級カメラは転売することができます。不正利用をする人は転売目的でカード決済し、届いた商品をヤフオクや楽天などのネットショップで売ることでお金に変えようとするのです。
稀に不正利用を疑われて決済できないことがある
また、ほとんどないものの、こうした不正利用の検知に引っかかって、稀にビジネスカードによる決済をできないことがあります。飲食店などの店舗で利用するときは発生しないですが、ネット上で決済するときに生じます。
例えば、私は法人カードでディズニーランドへのチケット購入をしたことがあります。もちろん、私的利用では経費にできないため、福利厚生などの目的で購入することになります。
このとき、オリエンタルランド(ディズニーランド)のホームページへ移動し、法人カードで決済しようと試みました。ただ、「確定」のボタンを押してもエラーになります。2回ほど試しましたが、どれもエラーになります。法人カードの利用限度額は十分ありますし、決済できない理由がまったく分かりません。
そこで、カード会社に問い合わせてみました。すると、ディズニーランドはチケットの転売目的で不正利用が多いため、ランダムで不正利用検知の網に引っかかることがあるようです。
どうやら、私はたまたま不正利用の検知に引っかかってしまったそうです。ただ、電話窓口で私の生年月日や住所など、第三者では答えられない項目をいくつか口頭で話し、不正利用検知を外してもらいました。
電話を切って10分後、チケット購入の入力をしたら問題なく決済することができました。カード会社の不正利用検知システムは非常に高度なため、稀にこうした不具合を生じることがあるのは認識しておく必要があります。
なお、ディズニーに限らずこれらの事例に私はいくつか遭遇したことがあります。こうしたとき、以下のような決済画面になります。
また、カード決済できなくなった直後に以下のようなメールが届きました。
いつもJCBカードをご利用いただきありがとうございます。 弊社では、 このたび、弊社の不正検知システムにおいて、現在、 お忙しいところ大変恐れ入りますが、下の【お問い合わせ窓口】 |
クレジットカードの裏面にある電話番号(またはメールにある電話番号)にかけて手続きを取れば、問題なくカード決済できるようになります。
セキュリティチェックはわりと頻繁にあるため、ネットショッピングしているとどこかでセキュリティチェックに引っかかることがあります。ただ、あわてずに対処すれば問題ありません。
紛失・盗難の際に困らない法人カードとは
どの法人カードであっても紛失・盗難に遭ったときに電話をすれば素早く対応してくれますし、一週間ほど経過すれば再発行されたクレジットカードが手元に届きます。
また、どのビジネスカードであっても、不正利用があれば届け出(電話)をして、その日から60日までさかのぼって補償されます。
多額の現金であれば、紛失・盗難があった時点で諦めなければいけません。ただ、現金の代わりにクレジットカードを利用していれば、たとえ紛失・盗難したとしても痛手はほとんどないのです。
日本国内で紛失・盗難した場合、どのカード会社であっても対応は同じです。ただ、実際のところ海外で紛失・盗難に遭遇する確率も高いため、以下では「日本国内での紛失・盗難は当然として、海外での紛失・盗難があったとき、より優れたサービスを受け取ることができるカード」を紹介します。
JCB法人カード
ビジネス初心者の個人事業主や設立直後の会社でも申請可能な法人カードとして、JCB法人カードが知られています。年会費1,375(初年度無料)と非常に安いカードです。
JCB法人カードを紛失した場合、「JCB 紛失・盗難」とネット検索し、出てきた公式ページに掲載されている電話番号にかけるといいです。
JCBの場合、海外で盗難・紛失があった場合、「ロサンゼルス、ホノルル、グアム、香港、ソウル、バンコク、パリ」では前述の通り緊急カードの即日受け取りが可能です。
また、その他の国際的な主要都市でも、JCBの窓口で2~5営業日以内で受け取りが可能になっています。
※受け取り可能なその他の都市:台北・シンガポール・バリ・ホーチミンシティ・マニラ・クアラルンプール・シドニー・ケアンズ・ゴールドコースト・ラスベガス・サンフランシスコ・ニューヨーク・サイパン・バンクーバー・ロンドン・ローマ・ミラノ・ジュネーブ・マドリード・フランクフルト・ウィーン・コペンハーゲン
また、紛失・盗難の届け出した日(電話をした日)から60日以内であれば、すべての不正利用で補償されます。年会費が安く使い勝手の良いビジネスカードですが、トラブル時の対応は一般的なクレジットカード以上になっています。
なお、JCB法人カードの利用限度額は30~100万円です。どの法人カードであっても、重大な過失(他の誰かにカードを貸していたなど)があれば補償の対象外です。ただ、重大な過失により補償されなかった場合であっても、限度額が低ければそれ以上の被害にあうことはなくなります。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
プラチナカードであり、年会費22,000円ですが手厚い補償内容になっているカードとしてセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードがあります。
国際ブランドはアメックスですが、カード会社はクレディセゾンです。そのため、クレジットカード紛失したときは「クレディセゾン 紛失・盗難」で検索してください。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードでは、海外であっても緊急カードを発行してくれます。
JCBの場合、現地にJCBプラザがないとカードを受け取ることができません。一方でセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードであれば、多くの国(都市)で緊急カードの受け取りが可能です。
こうした国としては、「アメリカ、カナダ、台湾、オーストラリア 、デンマーク、フランス、ドイツ、イギリス、ベルギー、イタリアハンガリー、ハワイ、韓国、シンガポール、ニュージーランド、オランダ、スペイン、ポルトガル、スウェーデン、グアム、香港、タイ、マレーシア、インドネシア」などがあります。
特定の都市でなくても、対象の国であれば問題なく緊急カードを活用できることは優れています。なお、緊急カードの発行には約1万円が必要です。
プラチナカードであるため、プライオリティ・パス(空港ラウンジの使用)、保険付帯、コンシェルジュサービスなどその他のサービスも優れています。ハイステータスなカードを活用し、紛失・盗難の際にも迅速に対応してくれる法人カードがセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードです。