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ビジネスをしていると、何かしら銀行と接点があります。まず、法人であっても個人事業主であってもビジネス用の銀行口座を開設するのが基本です。さらに銀行から事業融資を受けている人であれば、法人担当の人と顔なじみになっていると思います。

私はいまのところ会社の財務状況は問題ありませんが、付き合いのためにメインバンクからはお金を借りるようにしています。何かしらの出来事があったとき、地元のメインバンクに恩を売っておくことで非常事態に備えることができるからです。

このとき、銀行から法人カードの発行を担当者からお願いされることが多いです。ただ、銀行で発行するクレジットカードはオススメできるものではありません。単純にクレジットカードを利用することによるサービスが悪いからです。

なぜ、銀行が関わる法人カードでは特典やサービスに問題があるのかについて解説し、どのような法人カードが適切なのかについて確認していきます。

銀行での法人カードの付帯サービスを理解する

私も会社経営をしているため、いつも使っている銀行の人からお願いされることはよくあります。これまでに投資信託や法人カード、(キャッシング機能ありの)個人用クレジットカードなどを作ってくれと頼まれました。

どうやら、銀行では営業ノルマがあるようです。投資信託の商品を購入してもらったり、クレジットカードを作ってもらったりして、何とかして金融商品を活用してもらうようにしているのです。

例えば、以下は私がメインバンクで利用している中国銀行(岡山県一番の地方銀行)のクレジットカードです。

キャッシュカード機能のあるクレジットカードですが、付き合いのために加入しました。

参考までに、私の担当者が話してくれたのは、「同じキャッシング機能付きのクレジットカードを作るにしても、20代の人と30代の人では、20代の人に作ってもらう方が営業ノルマを素早く達成できる」ようです。若い人の方がその後に使ってくれる期間が長いからだそうです。

さて、親しくしている銀行の営業マンからお願いされて私はクレジットカードを作ったわけですが、その銀行で作ったクレジットカードの年会費は2000円程度です。本当は欲しくないクレジットカードですが、実際のところまったく活用していません。

これまで述べてきた通り、銀行で作ったクレジットカードでは特典や付帯サービスが悪いからです。コンビニATMなどでお金を引き出すとき以外は利用せず、ただ年会費だけ支払っている状況です。

ポイント還元率やキャンペーン内容が悪い

まず、銀行系のカードは還元率がよくありません。クレジットカードを活用することによって、通常はポイントが付加されます。どれだけの割合でポイントが付くのかを表すのが還元率です。銀行が関わる法人カードでは、還元率が非常に悪いのです。

法人カードの場合、カード決済の額が膨れ上がることが多いです。例えば毎月100万円使用する会社であれば、還元率が0.1%下がると「100万円 × 12ヵ月 × 0.1% = 1万2,000円」もの違いになります。0.1%の還元率の差によって年間1万2,000円もポイントが減ると考えると、わざわざ還元率の低い法人カードを作る必要はありません。

特に法人カードを利用して付くポイントについては、社長個人が好きに利用できます。非課税の現金と同じなので、ポイント還元率の優れたビジネスカードを利用しなければいけません。

他には、例えば同じJCBブランドの法人カードであっても、JCB本体が発行している法人カードであれば3,000円分のJCBギフトカードがもらえたり、キャッシュバックがあったりと特典が付いています。

ただ、同じJCBでサービス内容がまったく同じであっても、銀行から申し込む場合はここまでの特典がありません。

銀行系だと審査が厳しい

また、JCB法人カードは設立1年未満の法人であっても審査に通過することができます。一方で銀行系が発行するJCBカードでは、多くの場合で審査基準が厳しくなります。

例えば私が利用しているメインバンクでは、ビジネスカードを発行する条件として「原則として営業年数1年以上で黒字決算の法人または個人事業主」となっていました。私が銀行の担当営業マンから法人カードを作らされたのは、ギリギリではあるものの当時の1期目が黒字決算だったからという理由もあります。

このように特典や審査基準から考えても、銀行系の法人カードを発行する意味はあまりありません。

もちろん、銀行の担当営業者との関係性を保つという目的がある場合、私と同じように銀行系の法人カードを作っても問題ありません。ただ、そうでない場合は銀行系以外の一般的な法人カードに最初から申し込みましょう。

銀行系のクレジットカードは何があるのか

それでは、銀行系の法人カードとしてはどのようなものがあるのでしょうか。これには、メガバンクや地方銀行が関わっているクレジットカードだと考えてください。

同じVisa、JCB、Mastercardの中でも、例えば以下のような銀行が発行するクレジットカードが銀行系のカードになります。

  • りそな銀行
  • 横浜銀行
  • 武蔵野銀行

……

他にもたくさんありますが、基本的には銀行が関与している法人カードだと考えてください。

なぜ、銀行カードはサービスが悪くなるのか

銀行が関わるクレジットカードであると、その分だけ利益が薄まってしまいます。そのため、銀行の営業マンからお願いされて発行する法人カードは特典を含め、サービスが悪くなります。

クレジットカード会社から申し込めば、カード会社にとってすべての利益を受け取ることができます。その一方、銀行経由で申し込むとなると、クレジットカードからの利益は「クレジットカード会社と銀行とで折半」になります。

例えば、あなたがクレジットカードを利用することで合計10万円の利益が生まれたとすると、「クレジットカード会社が5万円を受け取り、銀行が残り5万円を受け取る」とザックリと考えてください。

もちろん、クレジットカード会社との取り決めによって若干の変動はあります。ただ、いずれにしても銀行が営業代行をしている以上、クレジットカード会社の利益が少なくなることには変わりありません。その結果、法人カードを利用することによるサービスが悪くなります。

使用できる銀行口座が限られる

また、銀行から法人カードを申し込んだ場合、指定できる銀行口座が限られます。基本的には、申し込んだ銀行しか引き落とし口座を指定できないと考えてください。例えば、りそな銀行からJCB法人カードに申し込んだ場合、りそな銀行に関係する銀行口座でしかクレジットカードの引き落としを指定できません。

ビジネスをしている人なら理解してもらえると思いますが、これは非常に不便です。実際のところ、諸事情によっていくつかの法人用銀行口座をもつことになってしまうケースがあるため、特定の銀行しか引き落とし口座を指定できないのはよくありません。

クレジットカード会社が発行する法人カードであれば、ネット銀行を含めどの銀行であっても問題なく引き落とし口座を指定できます。こうしたことも、銀行系の法人カードを発行するデメリットです。

個人信用に傷がある社長は銀行担当者に掛け合うべき

それでは、銀行で発行する法人カードはすべてにおいて意味はないのでしょうか。もちろんそうではなく、特定の人であれば意味があります。どういう人かというと、個人信用に傷がついている人です。

クレジットカードを新規発行するとき、「この人はクレジットカードを発行するに値する人物かどうか」を審査されます。もっといえば、「過去にクレジットカードの支払い遅延がないか」「債務整理(自己破産など)をしていないか」を確認されます。

クレジットカードやローンなど、金融商品の返済能力を「個人信用」といいますが、支払い遅延などが起こると個人信用に傷がつきます。こうした金融事故を起こした人を「ブラック」といいますが、ブラックの状態ではクレジットカードを発行することができなくなります。

法人カードを発行するとき、会社の状態だけでなく「代表取締役の個人信用」も参照されます。そのため、どれだけ会社の業績が良かったとしても、社長が過去に金融事故を起こしてブラックであれば、法人カードを新規発行することができなくなるのです。

ただ、ビジネスを行う上で法人カードは非常に重要な存在です。そこで会社の決算を黒字にして、銀行の営業担当者に事情を話し、何とかして法人カードを作れるように掛け合ってもらうといいです。

もちろん努力と時間は必要ですが、少しずつ信頼を積み重ねていくことで審査を通過できるように働きかけてもらうのです。

「クレジットカード会社が発行する法人カードは特典が優れている」とはいっても、ブラックではそもそも発行できません。そこで銀行の営業担当者と仲良くなることによって、内部で根回しをしてもらうことで銀行系の法人カードを作れるように力を借りるのです。

どうしようもなくなったとき、結局のところ頼るべきは「人」なのです。ただ、それでも新規発行が難しい場合、法人デビットカードを活用しましょう。デビットカードは自己破産した人でも、高校生でも保有できるため、事業用に利用したい人は法人デビットカードを活用します。

法人に適したビジネスカード

このように銀行系の法人カードでは利用すべき人とそうでない人がいます。社長としていまの個人信用の状態を見極めながら、銀行が発行する法人カードを使用すべきかどうかを検討してください。特殊な事情でない限り、基本的には銀行から発行される法人カード以外を活用すればいいです。

それでは、どのようなビジネスカードを活用するのがいいのでしょうか。銀行系以外の法人カードとはいっても、種類があります。その中から、あなたに合う法人カードを選択しなければいけません。

年会費や還元率、利用限度額、カード会社独自の特典などを考慮したうえで申し込む必要があります。このとき、以下のような法人カードが人気です。

三井住友カード ビジネスオーナーズ

年会費が永年無料の法人カードとして、三井住友カード ビジネスオーナーズがあります。年会費永年無料にて、VisaまたはMastercard®で保有できるビジネスカードです。

還元率は0.5%であり普通です。ただカード利用枠は~500万円(所定の審査あり)と法人カードの中でも優れています。

登記簿謄本の提出が不要になっているため、会社の状況はカード会社側は分かりません。そのため、ビジネスをしたことのない個人事業主や赤字経営の会社であっても問題なく審査に通過します。

また、新幹線予約で割引があったり、自由席料金で指定席に乗れたりするカードを発行できます。他には、地下鉄やJRなど関西圏での電車代を安くできます(PiTaPaカード利用)。そのため、さまざまな特典が付いた非常に優れた法人カードです。

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード

プラチナ法人カードとして、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードが知られています。

年会費は22,000円です。プラチナカードの中では、低めの年会費となっています。

なお、ポイント還元率は1.125%です。還元率の高さから、年間200万円以上など高額利用がある場合、年会費の安い法人カードよりもセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードを利用したほうが得をすることになります。

もちろんプラチナ法人カードなので、空港ラウンジの利用や海外旅行傷害保険の自動付帯など、その他の特典も優れています。高額なカード決済がある場合、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードを活用しましょう。

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