個人事業主や法人が保有できるクレジットカードの中でも、標準的なスペックの法人カードとしてUC法人カードが知られています。
年会費は安いものの、支払い猶予期間が長かったり利用限度額が高かったりと他の法人カードにはない特徴があります。
それでは、UC法人カードには具体的にどのような機能があるのでしょうか。ここでは、UC法人カードの特徴について確認していきます。
UC一般法人カード | UCゴールド法人カード | |
対象 | 個人事業主・法人 | |
券面 | ||
年会費 | 1,375円 | 11,000円 |
追加カード | 1,375円 | 2,200円 |
還元率 | 0.5% | |
ETCカード年会費 | 無料 | |
ETCカード枚数制限 | 複数枚 | |
限度額 | 20~300万円 | 50~500万円 |
国際ブランド |
もくじ
UC法人カードは年会費の安い法人カード
いい意味でも悪い意味でも、UC法人カードは普通です。特にポイント還元率が高いというわけではなく、ステータス性に優れているわけではありません。そのため、スタンダードな法人カードをもちたい人にとって最適です。
標準的な法人カードであることもあり、UC法人カードの年会費は安いです。UC一般カードであれば、年会費1,250円です。追加カードも同様に年会費1,375円が必要です。
また、ゴールドカードの年会費は11,000円です。ゴールドカードの場合、追加カードの年会費は2,200円になります。
法人カードでは年会費無料のカードは少なく、基本的には年会費1,375円以上からスタートするのが一般的です。そういう意味では、UC法人カードは個人事業主や法人用のクレジットカードとして非常に低額な年会費だといえます。
ビジネス一年目でも審査に通過する
年会費の安い法人カードに共通することとして、ビジネス開始直後の個人事業主や法人設立一年未満の会社であっても問題なく審査に通過することがあげられます。これは、UC法人カードも同様です。
一般的に法人カードは個人クレジットカードに比べて審査が厳しくなります。特にステータス性の高い法人カードであると、起業後3年以上や黒字決算が必要条件となります。
ただ、実際のところ業績好調の個人事業主や法人は少ないです。そうしたとき、ビジネス初心者であっても問題なく審査に通過するUC法人カードを活用するのです。
法人カードの場合、審査されるポイントは2つです。それは、「個人の信用情報」と「会社自体の信用情報」です。個人事業主の場合、会社組織ではないので個人の信用情報だけが審査対象になります。
そのため、個人でのクレジットカード利用で「過去に何回も支払い遅延を起こした」「自己破産したことがある」などの状況でない限り、審査で落とされることはないと考えて問題ありません。
UC法人カードの審査で必要になる書類は「個人の確認書類(運転免許証やパスポートなど)」「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」の2つだけです。決算書類は要求されないため、たとえ赤字企業であっても審査に通過するのです。
個人事業主の場合、法人でないので当然ながら登記簿謄本の提出すら必要なく、個人の確認書類を提出するだけで法人カードを手にすることができます。
利用限度額の利用枠が大きい
他の法人カードに比べて、UC法人カードは利用限度額が大きいです。
利用限度額とは、カード決済できる利用金額のことを指します。UC法人カードでは最大55日間の支払い猶予期間があるため、約2ヵ月支払いを先延ばしにすることができます。このため、UC法人カードの利用限度額は「約2ヵ月の間にカード決済できる利用枠」だと考えるといいです。
一般法人カードの場合、利用限度額は100万円までが普通です。ただ、UC法人カードの限度額は最大300万円と非常に大きいです。
また、一般的にゴールド法人カードの利用限度額は250~300万円までが普通です。それに対して、UCゴールド法人カードの最大利用枠は500万円です。つまり、ほかの法人カードに比べて利用枠が大きく設定されているのです。
役員や社員がいる個人事業主・法人の場合、追加カードを発行することがあります。限度額は「本カードや追加カードをすべて合算したもの」で計算するため、追加カードが多いほど限度額の高い法人カードでなければ対応できません。
その点、法人カードの中でも高額な利用枠を設定できるUC法人カードは優れているといえます。
法人ETCカードを複数枚、無料発行
法人カードではETCカードを作ることができます。法人カードによって作れるETCカードの枚数は異なりますが、UC法人カードの場合は複数枚を発行することができます。
さらに、法人ETCカードの発行手数料や年会費は無料です。
多くの場合、法人カードと法人ETCカードは対になっており、「法人カード(追加カード)1枚につき、法人ETCカードを一枚まで発行できる」というパターンがほとんどです。つまり、法人ETCカードを複数枚作る場合、それに対応する追加カードも発行する必要があるのです。
しかし、UC法人カードでは「追加カードを作らなくても、複数枚を無料で法人ETCカードを発行できる」という特徴があります。
そのため、追加カードは発行するつもりがないものの、法人ETCカードだけ何枚も欲しい場合はUC法人カードが優れています。追加カードを発行する必要がないため、無駄に年会費が加算されることはありません。
ポイント還元率は0.5%
クレディセゾンの系列会社として、UC法人カードが知られています。クレディセゾンでは永久不滅ポイントが採用されていますが、UC法人カードでは永久不滅ポイントをためることができます。
有効期限のないポイントが永久不滅ポイントであり、UC法人カードを活用した場合のポイント還元率は0.5%になります。UC法人カードを活用する場合、1,000円で1ポイントたまります。1ポイントは約5円分の価値があるため、還元率0.5%になるのです。
クレディセゾンの法人カードでは、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードが知られています。この法人カードでも永久不滅ポイントをためることはできますが、プラチナカードなので年会費は高くなります。
それに対して、一般法人カードで永久不滅ポイントをためられるのはUC法人カードだけです。
たまるポイントを2~30倍にする方法
還元率0.5%は法人カードの中で普通です。ただ、UC法人カードではクレディセゾンが運営するサイトを経由して買い物した場合、付与されるポイントが2~30倍になります。ポイント2倍であれば、還元率1%になります。
これは、「セゾンポイントモール」というサイトを経由して購入すると適応されます。
セゾンポイントモールでは楽天やアマゾン、ヤフーショッピングなどの大手ショッピングサイトがいくつも存在しています。これらの大手が入っているため、ネットショッピングをするときはセゾンポイントモールを経由すればほとんどのショッピングサイトを網羅できます。
また、セゾンポイントモールでふるさと納税も可能です。節税しながら、同時に高い還元率でポイントをためることもできるのです。
追加カードを含め、法人カードで決済して付いたポイントについては代表者に集約されます。つまり、経営者は法人カード支払いによるポイントを好きなように利用して問題ありません。法人カードのポイントは非課税のお金と同じなので、うまくポイントをためるといいです。
マイルをためることはできるのか
なお、個人事業主や法人経営者で気になるものとして「ポイントをマイルでためることができるのか」というものがあります。
永久不滅ポイントについては、マイルでためることができます。要は、たまった永久不滅ポイントをマイルに変換するのです。
ただ、このときは還元率が悪くなります。「1永久不滅ポイント=3ANAマイル」「1永久不滅ポイント=2.5JALマイル」となります。つまり、ANAマイルでためるときは還元率0.3%になり、JALマイルであれば還元率0.25%になります。
マイルだと還元率が悪くなることから、たまった永久不滅ポイントについてはそのままギフトカードなどに変えて活用する人が多いです。もちろんマイルへ変換してもいいですが、還元率は若干悪くなることを認識しなければいけません。
UC法人カードのビジネスメリット
ビジネス用の法人カードであるため、UC法人カードにはビジネス利用するときに便利な機能が付いています。
クレジットカードを利用するのであれば、こうしたビジネス利用でのメリットを最大限に活かさなければいけません。以下では、UC法人カードを利用するときのビジネスメリットについて確認していきます。
タクシーチケットの手配
法人カードの中でも、タクシーチケットを手配できるクレジットカードは意外と少ないです。そうした法人カードでも、UC法人カードはタクシーチケットを取り寄せることができる数少ないカードです。
実際にUCタクシーチケットを活用する場合、事前に電話などによって取り寄せます。このとき、20枚つづりのタクシーチケットが送られてきます。
一回の手配に300円ほどかかりますが、ゴールドカードであれば無料で手配することができます。
接待のときにタクシーチケットを渡してもいいし、家族がタクシー利用するときに「誰かを接待した」ということにして節税に活用しても問題ありません。
いずれにしても、タクシーチケットをもっていればさまざまな場面で節税できるようになります。UC法人カードをもつ場合、タクシーチケットを有効活用してみてください。
カーシェアサービス
営業車を何台も保有している会社であれば関係ないですが、たまに車を利用する場面がある個人事業主や法人の場合、レンタカーを借りるとなると料金が高くなり、手続きの時間も必要になります。
そうしたとき、カーシェアサービスを利用すれば経費削減や時間短縮を実現できます。
UCカードを活用すれば、初期費用ゼロ円で24時間使えるカーシェアサービスを利用することができます。ガソリン代や保険代は料金に含まれており、10分単位での料金精算も可能です。
関東や関西、名古屋などの都市部だけにはなりますが、車をもたずカーシェアを利用することで経費削減が可能になるのです。
その他のビジネスサービス
UC法人カードには、他にもVisaビジネスオファーやMasterCardビジネス・アシスト、UC-JAL オンラインサービス(24時間365日国内航空券を手配できる)などのビジネスサービスがあります。
ただ、これらはそこまで重要ではなく活用する人はほとんどいないのが現状です。「ないよりはあった方がいいかな」という程度で考えるといいです。
一般カードとゴールドカードの違い
ここまで、UC法人カードが他の法人カードに比べて何が違うのかについて確認してきました。次は、UC法人カードの中でも「一般カードとゴールドカードで何が異なるのか」について確認していきます。
まず、年会費が異なるのは既に述べました。一般カードは年会費1,375円(追加カード1,375円)であり、ゴールドカードは年会費11,000円(追加カード2,200円)です。
利用限度額も異なり、一般カードは20~300万円です。一方でゴールドカードの限度額は50~500万円となります。
ただ、他にもゴールドカードだけの特徴があるので、これについて確認していきます。
海外旅行傷害保険は大きく異なる
法人カードをもつとき、一つの保有基準として海外旅行傷害保険の有無があります。現地でケガや病気をしたとき、クレジットカードの海外旅行傷害保険があれば高額医療費を請求されなくて済みます。
そこで、海外出張などがある個人事業主や法人の場合、海外旅行保険の手厚さを考慮に入れてクレジットカード申請をするのです。
UC法人カードの場合、残念ながら一般カードに海外旅行傷害保険はついていません。そのため、海外出張のある経営者にとっては不満が残ります。
それでは、ゴールドカードではどうかというと海外旅行傷害保険が付いています。このときは最高5,000万円まで補償されるため、十分な補償額となっています。
さらに、自動付帯なのでUCゴールド法人カードをもっているだけで補償適応になります。
このときは、現地通貨をもっていなくても病院を受診できるというキャッシュレス受診(キャッシュレス診療)と呼ばれ制度が採用されています。一般カードでは海外旅行傷害保険がなく微妙であるものの、ゴールドカードではそうした心配がなくなります。
空港ラウンジの利用
ゴールドカードであると、日本全国の空港にあるカードラウンジを活用することができます。これは、ゴールドカードと航空券を提示すれば入ることのできる空港ラウンジのことを指します。
飛行機は待ち時間が長くなりやすいです。そうしたとき、ジュース飲み放題でくつろげるイスが用意されている空港ラウンジであれば、快適に時間を過ごすことができます。
例えば、以下は実際のゴールドカードの提示で入れる空港ラウンジです。
UC一般カードでは空港ラウンジに入ることができません。あくまでも、UCゴールド法人カードの提示によってラウンジを利用できます。
日本の空港であれば、小さい空港であってもゴールドカードの提示で入れるラウンジが存在します。
UC法人カードの位置づけ
クレディセゾン系列のUC法人カードですが、どのようなクレジットカードをもちたいのかによって名前が変わります。
クレディセゾンではプラチナカードを含めあらゆる法人カードに対応していますが、このときは以下のようになると考えてください。
- 一般カード:UC一般法人カード
- ゴールドカード:UCゴールド法人カード
- プラチナカード:セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
- 大企業向けカード:UCコーポレートカード
プラチナカードではあっても、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードは設立一年未満の法人であっても審査に通過することで知られています。
こうした事実から、よりグレードの低いUC一般法人カードやUCゴールド法人カードでは、ビジネス初心者の個人事業主を含め、多くの人で審査に通過するようになっているのです。
なお、UCコーポレートカードは大企業向けであるため、ほとんどの経営者にとって関係ないカードになります。
UCコーポレートカードであると、部署単位での清算が可能になるなど、法人カードとしての利用の幅が広がります。
・VisaかMater Cardから選べる
UC法人カードを発行するとき、選べる国際ブランドとしてはVisaだけでなくMastercardがあります。
日本であれば、どの国際ブランドであっても問題なく決済できるのでそこまで慎重に考えなくても問題ありません。ただ、海外であるとたとえ先進国であっても特定の国際ブランドが使えないことはよくあります。
そうしたとき、既に法人カードを持っているのであれば、さまざまな国際ブランドの法人カードをもっていると安心です。
UC法人カードの場合、世界シェアの大きいVisaかMastercardから選べます。どちらを選んでも問題はなく、好きな方を選択するといいです。
・みずほ銀行のUCカード
参考までに、UCカードでみずほ銀行提携の個人クレジットカードを作れますが、みずほ銀行のUC法人カードは存在しません。
みずほ銀行とは関係なく、単純にUC法人カードを作るのであれば可能です。
UC法人カードを活用してビジネス特典を得る
法人カードを活用すれば、使用した分を利用明細(web明細)で確認することができ、経費の見落としがなくなります。また、何もしなくてもweb明細で確認できるため、経費処理の簡素化を実現できます。
さらに、UC法人カードでは「利用限度額が高い」「本カード一枚だけで法人ETCカードを複数枚発行できる」「タクシーチケットの手配が可能」など、他の法人カードにはない特徴があります。
一般カードでは海外旅行傷害保険がなく、ポイント還元率が0.5%と普通であることはデメリットです。ただ、標準的な法人カードを求めている人であれば、UC法人カードを活用するメリットが大きいです。
「追加カードを何枚も発行したいため、年会費の安い法人カードの中でも利用限度額の大きい法人カードが欲しい」「法人ETCカードだけ、何枚も発行したい」などのように考えている人の場合、UC法人カードが適切です。
UC一般法人カード | UCゴールド法人カード | |
対象 | 個人事業主・法人 | |
券面 | ||
年会費 | 1,375円 | 11,000円 |
追加カード | 1,375円 | 2,200円 |
還元率 | 0.5% | |
ETCカード年会費 | 無料 | |
ETCカード枚数制限 | 複数枚 | |
限度額 | 20~300万円 | 50~500万円 |
国際ブランド | ||
タクシーチケット | 〇 | |
キャッシング | × | |
空港ラウンジ | - | 〇 |
海外旅行傷害保険 | - | 5,000万円 |
国内旅行傷害保険 | - | 5,000万円 |
ショッピング保険 | - | 年間300万円 |