個人事業主や会社経営者であると、海外出張へ行く場面があります。そうしたとき、保有するべき法人カードは非常に重要です。ビジネスカードを海外で利用し決済するとはいっても、クレジットカードの種類によってはカード決済できないことがあるからです。

また海外出張で法人カードを利用するためには、現地でのカード決済だけでなく、その他の付帯サービスについても理解したうえで申し込む必要があります。

しかし、どのような法人カードが優れているのか分からないことは多いです。

そこで「個人事業主や法人向けのクレジットカードの中でも、海外出張をするときにどのビジネスカードを選択すればいいのか」について、おすすめを解説していきます。

海外でビジネスカードの利用は必須

クレジットカードを保有して海外出張(または外国への旅行)をするとき、現地決済のためにカード利用することを考えます。私も会社経営者として海外出張の機会は多いですが、このとき商談では必ずビジネスカードで決済します。

もちろん、一人で食事をしたときについても「得意先と打ち合わせをした」ことにして法人カード決済を行い、会社経費での支払いにしています。

海外でクレジットカードを利用する機会は非常に多いです。例えば、海外ではタクシーに乗る機会がどうしても多くなります。欧米では電車などの公共交通機関が発達しているものの、アジアではそもそも首都なのに電車がないことすら多いです。

そのときアジアでは「GRAB(グラブ)」、欧米では「Uber(ウーバー)」というアプリを使う頻度が非常に高いです。どちらもタクシー配車アプリであり、ぼったくりゼロでタクシーに乗車できるようになっています。

こうした細かい支払いを現金や個人カードでしていると、後での経費精算が非常に大変になります。そこで法人カード払いにしておけば、特に何も考えなくてもクレジットカード利用分はすべて経費だと分かるようになります。

例えば、私が海外へ行ったとき、以下が実際のビジネスカードでの利用明細になります。

ベトナムへ海外出張に行ったときの利用明細の一部ですが、このようにGRAB(タクシー)を含め非常に多くの明細が並ぶことになります。ただ、法人カードでの利用であったので経費処理はスムーズであり、日本円にも換算されているのでこの明細通りに計算していくだけとなります。

JCBとアメックスは海外で決済できず、VisaやMastercardが優れる

ただ、このときビジネスカード選びでは注意すべき点があります。それは、そもそも海外でクレジットカード決済が可能かどうかという点です。

クレジットカードのシェアトップはVisaであり、次がMastercardです。基本的には、VisaまたはMastercardであれば全世界で問題なくカード決済できると考えましょう。

しかし、これがJCBやアメックスになると急に機能不全に陥ります。非常に多くの国で利用できないからです。JCBの場合、ハワイでは使えるものの、ヨーロッパを含め欧米ではほぼ使用することができません。アメリカでも、ハワイ以外だとJCBは決済できないことが多いです。

アメックスについても、アメリカでは決済できますがアジアやヨーロッパのほとんどの国で使用できません。例えば、以下はドイツの切符購入機です。公共交通機関の切符を買うとき、JCBやアメックスは使用できませんでした。

そこでMastercardの国際ブランドで決済してみたところ、問題なく購入できました。JCBやアメックスであると、国によってクレジットカードを利用できないトラブルが頻繁に発生することを理解しましょう。

空港での優待サービスに優れたビジネスカードを保有する

外国へ出向いたとき、カード利用することを考える場合はVisaかMastercardを選択するといいです。

ただ、海外出張・外国旅行へ行くときは現地でカード決済するだけでなく、他にも重視するべき点があります。それは、空港利用や現地でのケガ・病気です。こうしたとき、どのビジネスカードを保有しているのかが重要になるのです。

そのため現地決済が可能かどうかだけでなく、その他のサービスを加味したうえで保有するクレジットカードを選ぶといいです。もちろん、現地決済ができてさらには他のサービスまで優れていると完璧なので、どのようなクレジットカードがいいのか事前に理解しておくのです。

このとき考えるべきポイントとしては、以下のような項目があげられます。

  • 空港ラウンジの利用
  • 海外旅行保険の自動付帯
  • 海外キャッシング
  • 手荷物宅配など、その他の空港サービス

グレードの高い法人カードを保有すれば、こうしたサービスを活用できるようになります。ハイステータスとはいっても、個人事業主や会社だと法人カードの年会費は経費になります。そのため、意外と安くステータスカードを持つことができます。

それでは、それぞれの項目について確認していきます。

プライオリティ・パスによる空港ラウンジの利用

いまの私は海外出張のとき、空港の固いイスに座って何時間も待つことはしません。必ず空港にあるVIPラウンジを利用するようにしています。空港ラウンジであれば、以下のように柔らかいイスがあります。

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また、VIPラウンジ内ではビールなどのアルコールが置かれているだけでなく、普通に食事をすることができます。しかも、食事はおいしいです。その国の食事を無料で楽しむことができます。

もちろん単に航空券を保有しているだけでは、こうした空港ラウンジを利用することはできません。グレードの高い法人カードを保有することにより、こうした空港ラウンジへ入れるようになるのです。

このとき必要になるのがプライオリティ・パスというカードです。以下が私の持っているプライオリティ・パスのカードです。

対象の法人カードを発行していれば、追加でプライオリティ・パスを無料にて発行できます。本来、プライオリティ・パスは年会費429ドル(約43,000円)ですが、これが無料になるのです。

ハイステータスな法人カードとはいっても、年会費2万円などでプライオリティ・パスを保有できるビジネスカードが存在します。そのため、プライオリティ・パスの年会費を考えるとそれだけで既に得をしていることになります。

全世界の主要国際空港にプライオリティ・パスのラウンジが存在します。看板にプライオリティ・パスのマークがある場合、このカードと航空券を提示することで問題なく入ることができます。

個人事業主や会社経営者を含め、飛行機のフライトを待つときに固いイスに1~2時間も座っているのは考えられません。そのため、海外出張や外国旅行のときは事前にプライオリティ・パスのカードを持っておくようにするのです。

病気やケガでも安心な海外旅行保険の自動付帯

また、空港ラウンジと同じくらい重要なものとして海外旅行傷害保険があります。海外旅行保険と呼ばれており、クレジットカードの機能を利用すれば事前に別途の旅行保険に入る必要がありません。

外国で病気やケガをしたとき、病院を利用すると非常に高額な費用を請求されます。ただ、海外旅行保険があればそうした心配はなくなります。

ゴールドカード以上のクレジットカードをもっていれば、こうした海外旅行保険が自動付帯になります。一般カードだと、「対象の航空券をカード決済しなければ旅行保険の対象にならない」ことがよくあります。ただ、ステータス性の高いカードであれば保有しているだけで、自動で海外旅行保険が付くのです。

また、ステータス性のあるビジネスカードであれば、キャッシュレス受診が可能です。キャッシュレス受診とは、現金をもっていなかったとしても現地の病院を受診でき、お金の支払いが必要ないという制度です。

医療費が高額にならないどころか、お金の支払いすら必要ありません。現地通貨をたくさん保有しているケースは少ないため、そうしたときにキャッシュレス受診が非常に重要です。

また、法人カードによっては家族特約というものがあり、本人だけでなく家族についても旅行保険が自動で付帯されるクレジットカードも存在します。こうしたビジネスカードを保有しておけば、家族旅行で海外へ行くときであっても安心です。

ちなみに、こうした海外旅行保険は飛行機遅延や空港でのロストバゲージ(手荷物が出てこず、荷物が消えてしまうこと)にも対応しています。海外出張や旅行でのあらゆるトラブルに自動で対応できる保険になっているのです。

海外キャッシングで現地通貨を高レートで得る

他には、海外キャッシングを考える人もいます。私は日本国内でキャッシングを利用することはありません。ただ、海外出張のときは100%の確率でキャッシングをしています。理由は単純であり、海外キャッシングのほうが優れたレートになるからです。

要は、両替所で現地通貨を得るよりも、海外のATMでキャッシングをしたほうが有利なレートでお金を得られるようになります。

また、両替所だと昼しか開いていません。一方でATMは24時間稼働しています。そのため海外キャッシングのほうが、圧倒的に都合がいいのです。例えば、以下はタイのATMでのキャッシング画面になります。

法人カードでキャッシングは一般的ではありません。ビジネスカードでキャッシング機能のあるクレジットカードはほとんど存在しないからです。しかし、少数ながらも海外キャッシングが可能な法人カードは存在します。

基本はクレジットカード払いにするといいですが、海外だと現金しか受け付けてくれない店舗がたくさんあります。個人商店のような店でカード決済はできないのです。

そうした場合はどうしても現地通貨が必要になります。キャッシング機能があれば、現地に出向いたときの現金支払を心配する必要はありません。

手荷物宅配など、その他の空港サービス

現地決済できることに加え、これら空港ラウンジと海外旅行保険、海外キャッシングが法人カードを選ぶうえで最重要になります。ただ、その他の空港サービスまで考えても問題ありません。

例えば、法人カードによっては空港まで無料で手荷物宅配を実施してくれるサービスがあります。重いスーツケースを持たなくても、事前に空港まで送っておくことが可能なのです。「出発の7日前までに予約が必要」などはありますが、こうしたサービスを利用することができるのです。

他には、例えば法人カードを利用することで以下のようなサービスがあります。

  • 空港でコートを預かってくれるクロークサービス
  • 帰国時、手荷物を空港から自宅へ送ってくれる
  • 自宅から空港まで、定額でタクシー送迎が可能

これら法人カードによるサービスを利用したい場合、対象のビジネスカードを保有しても問題ありません。

・グローバルWiFiのレンタルは意味がない

なお、クレジットカードによってはグローバルWiFiのレンタル割引を利用できることがあります。ただ、これは意味がないのでやめましょう。

海外の空港では、100%の確率で格安SIM(旅行SIM)の売り場があります。現地に到着後、ここで申し込みをすれば安い料金で携帯電話を使えるようになります。以下が実際の売り場です。タイの田舎にある非常に小さな空港ですが、そうした空港でも旅行SIMを販売しています。

参考までに、私がタイで14日ほどのプランで格安SIMを購入したところ、1,500円ほどでした。グローバルWiFiだと異常に利用料が高いため、そうしたサービスは使わないようにしましょう。

コンシェルジュサービスは意味がない

なお、ステータス性の高い法人カードだと期待するものとしてコンシェルジュサービスがあります。コンシェルジュデスクを利用することで、日本語で予約することができるのです。

しかし、海外出張や外国旅行においてコンシェルジュサービスは使えないと考えるようにしましょう。

例えば、私は法人カードとして三井住友ビジネスプラチナカード for Ownersを保有しています。ここの裏面にある電話番号にかければ、コンシェルジュサービスを利用できます。

そこで、私がカンボジアへ海外出張へ行くときに事前に電話してみると、コンシェルジュデスクで「カンボジアは対応していない」といわれてしまいました。

ただ、気を取り直して「別の日にバリ(インドネシア)へ行く予定があるのだが対応できるか」と聞いたところ、ここについては問題ないと電話口で話してくれました。バリ島なら代理店が存在するようです。

このときは出張のついでにバリでダイビングをしたいと考え、そうしたサービスを紹介してもらいました。ただ、よく分からないダイビングツアーを一つ紹介してもらっただけでした。仕方ないため、結局は自分でバリのダイビングショップを探し当てて申し込むことにしました。

クレジットカードのコンシェルジュサービスは日本国内だと大きな威力を発揮するのは間違いありません。しかし、海外出張や外国旅行のときは急に機能不全に陥り、まったく活用できないと考えるようにしましょう。

海外出張や外国旅行におすすめの法人用クレジットカード比較

ここまでのことを理解したうえで、どの法人カードに申し込むべきなのか考えるようにしましょう。

当然ながら、人によって欲するサービスは異なります。そこで、海外出張や外国旅行のときに年会費や優待サービスを比較したうえで最適なビジネスカードを保有するようにしましょう。

このとき、個人事業主や会社経営者にとっておすすめの法人カードとしては、以下の種類のクレジットカードがあります。

三井住友ビジネスプラチナカード for Owners

個人事業主や会社経営者が海外出張するとき、最強の法人カードが三井住友ビジネスプラチナカード for Ownersです。プラチナカードの法人カードであり、あらゆる機能が備わっています。

年会費は55,000円(税込)と少し高いです。ただ、ここまで述べた全機能を有するビジネスカードになっています。

「プライオリティ・パスの付帯」「最高1億円の海外旅行傷害保険(自動付帯)が付き、家族特約まである」「海外キャッシング可能」を揃える唯一の法人カードです。また、VisaやMastercard®を選べるので全世界でカード決済できます。

なおポイント還元率は0.5%であり、プラチナカードなのに審査基準が非常に低いという特徴もあります。実際、審査時は会社組織であっても登記簿謄本が不要です。また、ビジネス実績のない個人事業主でも申請できます。

「代表者が30歳以上でなければ申し込めない」のはデメリットですが、この条件さえ満たしていれば個人事業主・法人を含めて申し込める法人カードです。

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード

プラチナカードとして知られる法人カードにセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードがあります。

年会費22,000円の法人カードであり、プラチナカードの中では非常に年会費の安い法人カードになります。

プラチナカードなのでプライオリティ・パスがあり、さらには海外旅行保険も手厚いです。海外旅行保険の家族特約はないものの、一人での出張なら問題ありません。また、海外キャッシングも行うことができます。

しかもポイント還元率が1.125%と最高水準です。非常にコストパフォーマンスの良い法人カードがセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードです。

唯一の欠点は、国際ブランドがアメックスなのでカード決済できる国が限られることです。ただ、空港ラウンジや旅行保険、海外キャッシング用として保有するだけでも価値があります。

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