会社を運営していると名義変更をすることがあります。代表者変更があれば名義変更するのは必須です。また、役員交代や従業員の退職などによって追加カードを発行していた人が辞める場合、追加カードを廃止しなければいけません。

それでは、なぜこうした作業が必要になるのでしょうか。また、どのようにして名義変更をすればいいのでしょうか。これらについて確認していきます。

名義変更のときは電話をかければ問題ない

個人のクレジットカードであれば、名前が変わったときなどは名義変更が必要です。

それでは法人カードではどうなのかというと、たとえ改姓がなかったとしても名義変更が必要になることがあります。それは、代表者が変わったときです。

法人カード(会社用のビジネスカード)は会社に対して発行されるわけではなく、個人に対して付与されます。そのため、法人カードの券面には個人名が記されます。

例えば、国際太郎さんが代表取締役を務める会社の場合、以下のように「TARO KOKUSAI」と個人名が記載されます。

しかし、代表者が変わればどうでしょうか。法人カードが個人に対して発行されることを考えると、代表者変更があったときはビジネスカードを作り直さなければいけません。

今回の場合であれば、「代表者:国際太郎さん」の法人カードを廃止し、次の代表者の個人名が刻印された法人カードを作り直す必要があります。

このときの対応としては、カード会社に電話をかければ問題ありません。法人カードの場合、個人クレジットカードと違って、名義変更のときはネット上から申請できないことがほとんどです。

例えば、以下ではJCB法人カードで名義人を変更するときの手続き方法が書かれてあります。

【法人カード:JCB法人カードの住所や名前、支払い口座を変更したいのですがどうしたら良いですか?】

「JCB法人デスク」までご連絡いただくか、JCBカードサイトの「JCBの資料請求サービス」ページから「専用諸変更届」をご請求のうえお手続きください。

法人カード会員様は、「MyJCB」からはご変更いただけません。

これはJCB法人カードに限らず、基本的にはどのカード会社でも同じだと考えてください。そのため、名義人を変えたいときは「カード名 電話番号」でネット検索して、出てきた番号に電話するといいです。

例えば、「JCB法人カード 電話番号」「三井住友カード ビジネスオーナーズ 電話番号」などで検索します。その後、カード会社へ電話して名義変更に必要な手続きを開始します。

名義人以外は法人向けクレジットカードを使えない

ただ、名義変更すると手続きがあって面倒です。そのため、代表者が変更になったときに名義変更をせず、そのまま名義人以外(代表者ではない本人以外)が使い続けることはできるのでしょうか。

まず、大前提として名義人(法人カードに個人名が刻印された人)以外がクレジットカードを使うのは禁止されています。実際には、名義変更しなければ使い続けることができるものの、これは規約違反に当たります。

また、役員や社員に追加カードを発行していた場合、退職したらその役員や社員名義の法人カード(発行した追加カード)は廃止が必要だと冒頭で述べました。これは、本人以外の人が法人カードを使うことは禁止されているからです。退職すれば、当然ながらその人名義の法人カードは必要なくなります。

もちろん、発行されたビジネスカードを一時的に貸してもらい、名義人以外の人が「サインをする」「カード情報を入力する」などをすることは現実的にあります。ただ、本人以外の人がずっと法人カードを使い続けるのは避けなければいけません。

退職後、名義変更なしにビジネスカードが使われるリスク

それでは、なぜ名義変更が必要になるのでしょうか。役員や社員向けに発行された追加カードであれば、いくら名義人以外が使用するのを禁止されているとはいっても、そのまま使い続けても大きな問題になることはありません。

ただ、代表者変更の場合は必ず名義変更すべきです。特に社長を辞めようと考えている人の場合、他の役員から「面倒なので名義変更なしでそのまま法人カードを使わせてくれ」といわれることがあるものの、これには絶対に応じてはいけません。

法人カードの連帯保証人は多くの場合で代表者になっているからです。

ビジネスカードの利用規約を確認すると、「法人会員はカード会員と連帯して責任を負う」などのように書かれています。これはつまり、代表者が連帯保証人であることを意味しています。

例えば、代表者を退いた後も法人カードの名義変更をしなかった場合、もし辞めた会社の経営が傾いて倒産してしまえば、法人カードの未払い分は「法人カードの代表者名」が書かれた人に請求がきます。つまり、既に退職した会社の未払い請求を負担することになってしまうのです。

代表者変更があったとき、そのまま法人カードを使い続けることについては、会社に残る役員たちにとっては面倒な手続きがなく都合がいいです。ただ、退く代表者にとってはデメリットしかなく、下手をすれば法人カードの未払い分を負担させられて破産する可能性があります。

こうしたことを避けるためにも、「代表者は連帯保証人になっている」ことを自覚して名義変更をしなければいけません。

ビジネスカードの名義変更ではカード番号が変わる

それでは、実際に名義変更をすればどのようなことになるのでしょうか。新しく法人カードが発行されるのは当然ですが、このときは法人カードの番号が変わります。

例えば、JCB法人カードでは以下のように記載されています。

【カードの名義が変わった場合、カード番号も変更になりますか】

名義が変わられる場合は、新しいカード番号にてカードを再発行させていただきます。

悪用や偽造のリスクからお客様を守り、安心してカードをご利用いただくために新しいカード番号を設定し、カードを再発行いたします。

ただ、会社によっては「役員Aに対して追加カードを発行しており、この役員Aが代表者になるので、役員Aの法人カードを番号変更せずにそのまま代表者のビジネスカードとして使いたい」ということがあるかもしれません。

これについては、カード会社によって対応が異なるので電話して確認してみてください。

名義変更後、手続きなしで公共料金などの支払いなどは可能なのか

代表者変更などにより、名義変更をした場合に心配になるものとして「いま公共料金やネット回線などの支払いを代表者の法人カードで行っているが、代表者変更によって発行される新たな法人カードに切り替えないといけないのか」というものがあります。これを実施するとなると、非常に面倒です。

結論からいうとまさにその通りであり、必ず新たに発行された代表者用の法人カードで決済するように設定し直さなければいけません。

代表者変更による名義変更をした場合、以前の代表者の法人カードは使えなくなります。そのため、決済できなくなります。この世に存在しない法人カードであるため、これはある意味当然だといえます。

多少は大変であったとしても、代表者変更のときは新しく発行された法人カードの番号を入力し直すようにしましょう。ある程度の時間が経過すると、以前のビジネスカードは使えなくなるので新しい法人カードを活用する必要があります。

社名変更や銀行口座変更でも届出が必要になる

代表者変更では法人カードの届け出が必要になることを解説しました。ただ、ビジネスカードでは他にも届け出が必要となる場面があります。

これには、以下のようなものがあります。

  • 支払い口座の変更
  • 社名変更
  • 所在地の変更(住所変更)
  • 連帯保証人の変更

例えば、以下はJCB法人カードの会員サイトの一部です。ここにある通り、会員ページから社名変更や銀行口座変更、住所変更などに関する書類を取り寄せられるようになっています。

代表者変更とは異なり、これら支払い口座や所在地、連帯保証人などを変える場合は新たに法人カードが発行されるわけではありません。そのため、住所変更などによってカード会社への届出は必要であっても、公共料金の支払いなどを新たに設定し直す必要はありません。

ただ、代表者取締役が女性であり、結婚などによって改姓する場合、名前が変わることになります。この場合も同様に名義変更が必要になるため、カード会社に電話する必要があります。

新たな法人カードを検討するのも問題ない

代表者変更によって名義変更するとなると、すべての公共料金支払いを新たに設定する必要があります。そのため、どうせならよりグレードの高い法人カードを活用するなど、新たな法人カードに申請することも検討するといいです。

法人カードは名義人以外が使用できないため、代表者変更があるといろいろと面倒です。ただ、よりハイステータスであったり、スペックが良かったりするビジネスカードを試してみるチャンスでもあります。

法人カードごとに特徴が異なるため、どの法人カードが適切なのか確認してみてください。

三井住友カード ビジネスオーナーズ

法人カードの中でも、コストパフォーマンスに優れたビジネスカードとして三井住友カード ビジネスオーナーズがあります。年会費は永年無料です。

また新幹線での割引が可能であったり、電子マネーを利用できたり、その他の機能も充実しています。

一般カードであるもののカード利用枠は~500万円(所定の審査あり)です。ただ還元率は0.5%と普通です。なお登記簿謄本や決算書の提出が不要になっており、審査基準が低く通りやすいビジネスカードとして知られています。

新たな法人カードを検討するとき、年会費をかけたくなく、審査基準の低い法人カードを利用したい場合、三井住友カード ビジネスオーナーズが最適です。なお、国際ブランドはVisaかMastercard®から選ぶことができます。

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード

プラチナカードであり、ゴールドカードよりもハイスペックな法人カードとしてセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードがあります。

年会費は22,000円ですが、プラチナカードの中では年会費が非常に安いです。

なお、カードのスペックは最高レベルです。コンシェルジュサービスは当然ついていますし、利用限度額は個別設定(~500万円)されるため、クレジットカード一枚であらゆる支払いに対応できます。

また、JALマイルでためる場合は還元率1.125%と法人カードの中でも最高クラスの還元率を誇ります。ポイント付与という面でも優れたカードなのです。国際ブランドはアメックスですが、サービス内容は本家アメックスに引けを取らない法人カードです。

おすすめの法人カードランキング

法人カードランキング