法人カードの中でも、レンタカーに特化した法人カードが存在します。そうした法人カードを利用すれば、お得に車を借りることができるのでしょうか。
車移動がメインの会社であっても営業車を何台も保有しているのであれば、レンタカーは必要ありません。ただ、営業車がなかったり数時間だけ車利用が必要だったりするとき、レンタカーを借りることになります。
ただ、通常価格で何度も借りると無駄に経費の額が大きくなってしまいます。そこでレンタカー会社が発行しているカードを作り、法人契約すると割引などさまざまな特典を受けられるようになります。レンタカーの法人カードには多くのメリットがあるため、これについて比較しながら紹介していきます。
もくじ
レンタカーのビジネスカードの特徴・メリット
まず、レンタカーの法人カードにはどのような特徴があるのでしょうか。法人ETCカードや法人ガソリンカードに比べると、レンタカーのビジネスカードならではの特徴があります。
レンタカーの法人カードはどのような機能があるのかを最初に知らなければいけません。
法人契約のため、特定のレンタカーだけで利用できる
レンタカーの法人カードを作るとき、どのような店舗網が存在するのかというと、以下のようになります。レンタカーの会社ごとにカードを作ることができます。
- トヨタレンタカー:TRBMカード
- ニッポンレンタカー:NBMカード(ネイションワイド・ビジネス・メンバー)
- タイムズレンタカー:タイムズビジネスカード
主なレンタカーの法人カードはこの3つであるため、基本的にはこの3つから選ぶことになります。または、複数のレンタカー店舗網を活用することがある場合、カードの枚数を増やしても問題ありません。
年会費はないものの、基本的には発行手数料が必要になります。ただ、レンタカー会社によっては、発行手数料すらなくメリットばかりのカードもあります。
実際に利用するとき、当然ですが発行したレンタカー会社でしかメリットを受け取ることができません。発行した特定のレンタカー会社だけで割引などのサービスを提供してもらえるようになります。
なお、法人契約になるので個人事業主は利用できません。その場合、別途個人向けにお得なプランが用意されていることがあるため、そちらを利用するといいです。
クレジット機能はないが、ETC機能はある
法人カードとはいっても、一般的なビジネスカードのようなクレジット機能はありません。つまり、電気代の支払いやネットショッピングなど、普通の買い物には利用できないのです。
例えば法人ガソリンカードの場合、多くは給油だけでなく普通の買い物でもカード決済できます。ただ、レンタカー会社が発行する法人カードにはクレジット機能がなく、法人契約したレンタカー会社だけでカード決済できる仕組みになっています。
しかし、レンタカーの法人カードの中にはETC機能が備わっているカードがあります。つまり、法人ETCカードとして利用できることがあるのです。
レンタカーを借りるとき、高速道路を利用することがあります。そうしたとき、法人ETCカードを別に用意しなくても、レンタカー会社の法人カードをそのまま以下のようなETC車載器へ差し込めば高速道路を走れるようになります。
ETCカードには深夜割引や休日割引など、多くの特典があります。そのため、ETC機能をつけることができるのは優れています。
どのレンタカーでも割引制度がある
レンタカーを借りる機会がそれなりにあるのであれば、必ずレンタカー会社の法人カードを作るといいです。理由は単純であり、それだけレンタカー代が安くなるからです。
会社によって異なりますが、一般的には法人契約することで10~20%は割引されます。レンタカー会社によっては、通常の予約なら20%引きだが、ウェブ予約なら25%引きなどに設定していることもあります。
また、お盆などの繁忙期でもレンタカー代を通常期の値段で借りることができたり、補償を無料でグレードアップできたりします。つまり、レンタカーを借りるとき法人契約しているだけで経費削減になるのです。
経費処理を簡素化でき、素早い出発が可能
わざわざレンタカー会社と法人契約を結ぶのは、「割引というメリットがある」という理由だけではありません。経費処理の大幅な簡素化が可能になるのです。
ビジネスカードを作れば、キャッシュレスになります。お金のやり取りをすることなく、利用料金は使った分だけ後で合算して請求が来るようになります。そのつど支払う必要がなく、社員に立替払いしてもらう必要もありません。
また、料金請求については口座振替などによって自動で銀行口座から引き落とされるようにすることが可能です。銀行振込の手数料を省くことができ、自動化することができるようになります。
それだけでなく、出発を大幅に早めることも可能です。通常、レンタカーを借りるときは免許証のコピーを取られ、説明を受け、同意書を作成するなど複数のステップが必要になります。
ただ、法人契約しておいて事前にカードを作っておき、情報を登録しておけば法人カードを提示するだけですぐにレンタカーを用意してもらえるようになります。無駄な待ち時間を減らすことができるため、ビジネスに集中できる時間を増やすことができます。
お勧めのレンタカーの法人向けクレジットカード比較
ただ、レンタカー会社によって法人契約の内容が異なるため、発行される法人カードのスペックは違ってきます。そこで、どのようなビジネスカードが適切なのか比較検討しなければいけません。
以下では、先ほど紹介した「トヨタレンタカー」「ニッポンレンタカー」「タイムズレンタカー」について比較していきます。法人契約ではほとんどの人がこれらのレンタカー会社のカードを作るため、どれがいいのか確認していきましょう。
トヨタレンタカーの法人カード
レンタカー会社が発行する法人カードの中でも、最も優れているカードとしてトヨタレンタカーのビジネスカードがあります。このカードをTRBMカードといいます。
なぜ非常に優れているのかというと、まず年会費無料です。発行手数料もかからないため、法人契約をしていて損をすることはありません。
このときは「ETC機能なし」と「ETC機能あり」のカードを選ぶことができます。ETC機能がない場合は完全無料ですが、ETC機能ありの場合は初年度無料ですが次年度から年会費500円が必要になります。ただ、年一回でも利用があれば契約カード全て年会費無料になるため、実質的にETC機能があっても無料で利用できます。
追加カードは999枚まで発行することができるため、非常に多くの枚数のカードを作ることができます。当然、追加カードについても年会費無料です。
・充実の割引制度
もちろん、カード利用によって割引があります。店舗ごとに違うので具体的な割引率は示せません。ただ、参考までにトヨタレンタカーの一般会員では10~20%の割引があります。
また、ゴールデンウィークやお盆などのハイシーズンでの割増料金が適応されず、通常料金のまま利用できます。車両指定オプションも無料になるため、経費削減を実現できます。
予約についてもキャンセル手数料が無料になるため、ビジネスで急に予定変更になった場合であっても問題ありません。法人カードをもっているだけで気軽に予約でき、いつでもキャンセルすることができます。
・NOC(ノンオペレーションチャージ)が免除
トヨタレンタカーの法人契約が優れている一つに、NOC(ノンオペレーションチャージ)無料があります。NOC(ノンオペレーションチャージ)とは、事故を起こしたときに支払わなければいけない営業補償料のことです。
例えば、事故を起こしたときは車を数日使えなくなるため、レンタカー会社としては「本来は他の客に貸すことで得られるはずのお金を受け取ることができない」ことになります。そのため、事故を起こした場合はNOC(ノンオペレーションチャージ)と呼ばれるお金を自己負担しなければいけません。
一般的な相場としては、傷やへこみなど営業所まで帰ることができる場合は自己負担2万円です。ただ、大破して営業所まで帰れない場合は自己負担5万円です。
トヨタレンタカーのTRBMカードであれば、借りて24時間までにはなりますが、NOC(ノンオペレーションチャージ)無料になります。つまり、NOC(ノンオペレーションチャージ)が免除になります。24時間あれば、ビジネス利用ではほとんどをカバーできます。
・その他の特徴
また、TRBMカード利用ではいつでもウェブ予約することができたり、チェックインの時間を大幅に短縮できたりします。
年会費無料で発行できる法人カードであるため、レンタカー会社との法人契約を検討している場合、最初はトヨタレンタカーから実施してみるといいです。
ニッポンレンタカーの法人カード
トヨタレンタカーと同じように、メリットの大きい法人カードとしてニッポンレンタカーのカードがあります。これをNBM(ネイションワイド・ビジネス・メンバー)カードといいます。
ニッポンレンタカーの法人契約には3種類あります。ただ、契約すべき内容としては、NBMカードだけで問題ありません。
他の2種類では、そのつど支払いが必要だったり、特定地域のニッポンレンタカーでしか利用できなかったりと制約があり、申し込むメリットがありません。そのため、全国にあるニッポンレンタカーの店で利用でき、後でまとめて請求が来るNBMカードの一択で問題ありません。
どれだけ割引があるのかについては、車種ごとに異なります。ただ、基本的には10~20%引きになります。車種によっては、さらなる割引になることもあります。
・ETC機能が初期装備されている
NBMカードの場合、ETC機能が最初からついています。ニッポンレンタカーでは全車にETC車載器が備わっているため、そのままカードを差し込むだけで利用できるようになっています。
年会費は必要ありませんが、ニッポンレンタカーのビジネスカードでは発行手数料が必要になります。一枚につき220円の手数料が必要になり、有効期間は3年です。
・リース契約も可能
レンタカーであれば、そのつどの利用になります。例えば、「24時間だけ利用する」など期間を決めて車を借ります。
一方でリース契約であれば、「一ヵ月の間で車を借りる」などのように、長期的スパンでレンタルします。NBMカードではリース契約にも対応しているため、事情があって少しの期間ずっと車を借りたいときにリース契約という形を取ることもできます。
・マイルやTポイントをためることができる
NBMカードの最大の特徴はポイントをためられることにあります。クレジット機能がない法人カードでは、多くの場合でポイントがつきません。ただ、ニッポンレンタカーの法人カードではマイルやTポイントをためることができるのです。
200円についてき、1ポイントが付与されます。還元率0.5%であるため、ビジネスカードとしては悪くありません。ポイントがたまることがニッポンレンタカーの法人カードの最大の特徴です。
なお、経営者ならポイントをマイルでためるといいです。マイル価値は高く、「1マイル=2~3円」になるからです。Tポイントではなく、ポイントはマイルにするといいです。なお、たまるマイルはANAマイルになります。
・三井のリパークを利用できる
レンタカーを利用するとき、どこかで駐車しなければいけません。このときは駐車場を使うのが一般的ですが、NBMカードでは三井のリパークでも利用することができます。
駐車場代が安くなるわけではありませんが、お金の支払いなくキャッシュレスで駐車場を利用できるようになります。駐車場代については、レンタカー代と一緒に後で請求される仕組みになっています。
駐車場についても、無駄な経費精算の作業を簡略化できるようになります。
・その他のサービス
ウェブ予約をすることで素早く乗車できるサービスがあり、これについては他の法人カードと同様です。また、利用の1時間前までであれば予約可能になっているため、急にレンタカーが必要になったとしても問題なく利用できます。
基本的にウェブ予約したほうが出発がスムーズになりますし、割引率が高くなるカードです。
タイムズレンタカーの法人カード
レンタカーの予約をするとき、タイムズレンタカーの法人カードも忘れてはいけません。タイムズレンタカーでは、タイムズビジネスカードという名前になります。
レンタカーという意味では、トヨタレンタカーなどに比べると店舗数は非常に少ないです。ただ、他のビジネスカードにはないメリットがあります。
最もわかりやすいメリットとしては、割引率の高さがあります。タイムズと法人契約してカード発行した場合、法人割引を実現できます。
これについても、車によって割引率は異なります。参考までに、カーシェアリング用の法人カードを提示した場合、レンタカーを20%引きで借りられるようになります。さらに、事前にウェブ予約をすれば割引率は25%になります。
これだけの割引は他の法人カードにはなく、タイムズレンタカーならではの特典だといえます。
ただ、カードの発行手数料が少し高めです。年会費はありませんが、カード発行すると660円が必要になります。ただ、レンタカー利用が多い場合はカードの発行手数料分はすぐに元を取れるようになります。
・駐車場の利用がキャッシュレスになる
タイムズといえば、レンタカーよりも駐車場の方が有名です。タイムズレンタカーの法人カードを発行すれば、同時にタイムズの駐車場でも利用できるようになります。
駐車場については、割引はありません。ただ、全国に無数にあるタイムズの駐車場利用がキャッシュレスになります。お金の支払いが必要なくなり、利用料金は後で合算されての請求になります。
駐車料金が表示されたとき、カードを挿入するだけで支払い完了になります。
・カーシェアリングにも対応
駐車場に強みがあるため、カーシェアリングにもカード対応しています。レンタカーの場合、長時間・長距離の移動に向いています。そのため、24時間での利用に限らず、数日などある程度の日数で車を借ります。
一方でわずかな時間だけ車を利用したいケースがあります。そうした短時間・短距離の移動ではカーシェアリングを活用します。
カーシェアリングの場合、給油なども必要ないので面倒な手間がありません。実際にカーシェアリングを利用する場合、15分206円から利用できます。
・その他のサービス
タイムズレンタカーの場合、30分前の予約であっても問題なく対応できます。直前の予約でも法人割引を実現でき、ウェブ予約なのでスムーズな出発が可能になります。
なお、最大のデメリットは支払い方法が「銀行振込」である点です。銀行振込の手間が必要になりますし、銀行振込手数料も発生します。この点が他のビジネスカードに比べて大きく劣っている点です。
レンタカー会社の法人カードを利用する
それぞれのレンタカー会社ごとに法人契約の内容を比較しながら解説しました。レンタカー会社によって法人契約の内容が異なり、カードのスペックも違います。
それぞれ特徴があるため、必要とする法人カードを活用するようにしてみてください。レンタカー会社の法人カードはどれも大幅な法人割引があるため、レンタカー利用がある場合は必ず利用するといいです。
なお、レンタカー会社によって店舗数が異なります。店舗数については、以下のようになります。
- トヨタレンタカー:全国に約1,200店舗
- ニッポンレンタカー:全国に約800店舗
- タイムズレンタカー:全国に約400店舗
クレジット機能がなく対象の店舗でしか利用できないため、全国の店舗数やあなたの会社・自宅近くにレンタカー店があるかを考慮しながら、利用するビジネスカードを選ぶといいです。
いずれにしても割引などのメリットがあるため、経費削減や経費処理の簡素化を視野に入れながら、レンタカー会社の法人カードを利用してみてください。