ビジネスを動かす立場の人として、ビジネスカードは必須です。法人カードがあることで、経費処理を簡素化することができたり、節税できたりするわけです。また、支払いを後払いにしてキャッシュフローを改善させることができます。

ただ、ある程度ビジネスが軌道に乗った後に会社経営者がもつべき法人カードとしては何が適切なのでしょうか。

社長や会社役員を含め、経営に携わる人の中でビジネス経験のある人のほとんどはステータス性の高い法人カードを活用しています。私も中小零細企業ではあるものの、経営者としてハイステータスな法人カードを利用しています。

当然、これには理由があります。カード決済額の多い会社にとって、ハイステータスなビジネスカードの方が圧倒的に得だからです。ここでは、その理由について解説していきます。

ステータス性の高い法人カードが経営者に優れる理由

実際のところ、私はステータス性を重視する人間ではありません。いまでも時計をもっていませんし、経営者の中ではかなり質素な生活をしている方だと自負しています。

ただ、それでもクレジットカードについてはゴールドカードやプラチナカードなど、かなりハイステータスな法人カードを利用しています。

当然、クレジットカードの中でもゴールド法人カードやプラチナ法人カードになると年会費は高くなります。ただ、それでもハイステータスな法人カードを利用しているのには理由があります。それは、カード決済額の多い会社であるとスペックの高いビジネスカードの方が得だからです。

この理由について確認していきます。

ビジネスカードの年会費は経費で落とせる

個人クレジットカードでは無理ですが、ビジネスカードについては年会費を経費にすることができます。会社の業務で必要なためにビジネスカードをもつことになるため、経費で落とせるのは当然です。

法人税率は一般的に30%です。そのため、たとえ年会費2万円の法人カードであったとしても、実質的に14,000円(2万円×70%)で法人カードをもてることになります。

個人で年会費の高いクレジットカードを保有するのは大変です。所得税が引かれた後のお金の中から、年会費を捻出しなければいけないからです。所得税や住民税が仮に40%だとすると、年会費2万円のクレジットカードをもつには「2万円 ÷ 0.6 = 約33,300円」のお金を稼がなければいけません。

それに対して、2万円の法人カードは経費になるため、2万円の利益が減って法人税は6,000円が減少します。そのため実質14,000円で保有できるのです。年会費2万円のクレジットカードであっても、個人のクレジットカードと法人カードでは、保有するときに今回の場合は約19,300円もの違いが出てしまうのです。

実際のところ、個人クレジットカードの決済額が高額になることは少ないです。ただ、法人カードでは決済額が大きくなりがちです。また、ビジネスカードの年会費は経費になるため、法人カードはハイステータスなクレジットカードにしている社長や役員は多いです。

利用限度額が高く、還元率が良い

また、法人カードの中でも一般カードであると利用枠が最大で100万円など非常に低くなっています。起業直後の会社ならまだしも、2~3年以上の年数が経っている会社で限度額100万円は低いです。利用枠300万円でも足りないことがあります

私は何年も会社経営していますが、社員数は多くありません。そうした中小零細の私の会社でも、月100万円以上の決済は普通です。以下のように、毎月の決済額は大きくなるのです。

そのため、ある程度の設立年数が経っている会社の社長や役員は上限金額の大きい法人カードを活用する必要があります。そのためには、年会費の高いハイステータスなビジネスカードを活用しなければいけません。

・ポイント還元率は高いほどいい

また、一般的な法人カードであるとポイント還元率が0.5%です。個人のクレジットカードに比べると、ビジネスカードの還元率は低いです。

ただ、適切に法人カードを選べば還元率1%以上を達成できるクレジットカードが存在します。カード決済額が大きい場合、ポイント還元率が0.1%でも違うと1年でかなりの開きがでるようになります。年会費が高くても、還元率が高いのでステータスカードの方が得をすることになります。

ハイステータスな法人カードでないと還元率1%以上は達成できないため、こうしたビジネスカードを利用するのです。

対外的な問題をクリアする

また、社長や会社役員であると必ず発生するのが打ち合わせや接待です。私も社外の人と打ち合わせをする機会がたくさんあります。以下のような、ホテルのラウンジやカフェなどで打ち合わせをすることが多いのです。

このとき、奢ってもらうことがあれば、あなたが奢ることもあります。このとき現金を出す人はほぼいません。大概は法人カード決済をすることになります。

法人カードを取り出すとき、一般カードのようなステータスの低いビジネスカードであると相手先に「あれっ」と思われてしまいます。

ビジネス間もない個人事業主・フリーランスや創業直後の会社経営者であれば特段何とも思われないでしょう。ただ、あなたが何年もビジネス経験のある社長や役員である場合、ステータス性の低いカードを取り出すと得意先に疑念を抱かれてしまうのです。

私もビジネスで打ち合わせをしていて、相手に奢ってもらったことは何度もあります。そのとき取り出すのは、みなゴールド法人カードかプラチナ法人カードです。ただ、それなりにスケールの大きな打ち合わせをした後にも関わらず、稀にステータス性の低い一般カードを出して「今回は私が奢ります」と申し出る経営者もいます。

奢ってもらっていて大変申し訳ないですし、非常に心苦しいですが、やはり同じ経営者として「この会社はステータス性の低いカードを使っていて本当に信頼できるのか、信用して大丈夫か?」と、どうしても思ってしまうのです。

創業間もない会社なら何とも思いませんが、ビジネス経験がそれなりにある人の場合、「そのクレジットカードはありえないのでは」と思ってしまいます。これが現実なので、対外的な問題の発生を避けるために設立後2~3年以上の会社はゴールドカードやプラチナカードをもつようにしましょう。

クレジットカードの持ち方は会社次第

社長や役員が法人カードをもつとき、クレジットカードの活用方法は会社によって異なります。

例えば私の場合、典型的なワンマン会社です。決裁権のすべては私にあります。節税のために妻を会社役員には入れているものの、妻は多少の経理をするだけであり、会社経営に大きく関わっているわけではありません。

そのため、役員ではあっても妻に新たなビジネスカードを発行することはありません。勝手にカード決済されては困るからです。発行したとしても、社員用(役員用)の追加カードです。

ただ、会社によっては代表取締役社長のほかにも、一緒に会社を立ち上げた共同創業者(役員)がいるケースがあります。その場合、社長は法人カードをもちつつ、共同創業者の役員についても別の法人カードをもつことがあります。追加カードではなく、完全に別の2枚の本カードをそれぞれが保有するのです。

このように考えると、会社経営者が法人カードをもつときは2種類あることがわかります。

  • 社長(代表取締役)が本カードをもち、役員は追加カードを使う
  • 社長だけでなく、その他の会社役員にも本カードを発行する

どのようなビジネスカードの使い方がいいのかについては、会社ごとに異なります。たまたま、私の会社は私一人だけのワンマン会社だったため、「私がメインで活用する法人カードだけを発行し、他の役員へビジネスカードを発行するにしても追加カードになる」ようにしているのです。

追加カードの利用額は本カードに合算される

なお、本カードに付随して発行できる追加カードについては、利用限度額が合算されます。

例えば、本カードの利用枠が500万円だったとします。このうち、追加カードで200万円を決済した場合、本カードを含めて残りの利用限度額は300万円になります。限度額500万円の本カードに付随して追加カードを作ったとき、本カードで500万円まで決済でき、追加カードでも500万円まで別枠で決済可能なわけではないのです。

限度額500万円というのは、「本カードの決済額 + 追加カードの決済額」の合計で500万円まで支払いができるという意味なのです。

そのため、追加カードをたくさん発行してたくさん決済するようになると、すぐに上限金額まで達してしまうことになります。

こうしたことまで考慮したうえで、法人カードを作らなければいけません。一人のカード決済額が大きくなる場合、「本カードの発行に付随して追加カードを作る」のではなく、複数枚の本カードを作成するようにするといいです。

ステータスカードの特典を利用するべき

なお、ゴールド法人カードやプラチナ法人カードを作る場合、クレジットカードに付随する多くのサービスを利用できます。

これらのサービスについては、できるだけ活用するようにしましょう。特に飛行機や新幹線については、出張のときに必ず利用するようになります。法人カードでは、飛行機や新幹線での移動を快適にするサービスがたくさん存在するため、どのような特典があるのか事前に把握しておくといいです。

具体的には、以下のようなものがあります。

空港ラウンジの利用

ゴールド法人カード以上であると、必ず空港ラウンジを利用できるようになります。空港にはゴールドカードラウンジが存在するため、飛行機の待ち時間が快適になります。

日本国内のあらゆる空港にゴールドカードラウンジが存在します。地方空港であっても、ゴールド法人カードと航空券を提示することで入れるラウンジはたくさんあるのです。

ゆったりしたソファがあるため、飛行機での待ち時間の仕事がはかどります。アルコール類はほとんどありませんが、ソフトドリンクは飲み放題です。食事はできずシャワールームもありませんが、快適な時間を過ごすことができます。

priority_pass

また、プラチナ法人カードになるとよりグレードの高い空港ラウンジを利用できるようになります。プラチナ法人カードだと、プライオリティ・パスというカードを発行できるようになります。

ゴールドカードラウンジは基本的に日本国内の空港だけに存在します。海外の国際空港にはありません。

ただ、プライオリティ・パスであれば外国にある国際空港の空港ラウンジを利用できるようになります。例えば、以下はカンボジア・プノンペン国際空港のラウンジです。プライオリティ・パスで入ることができます。

ソフトドリンクだけでなく、アルコールも飲むことができます。シャワールームが完備され、食事は食べたい放題です。ゴールドカードラウンジに比べて、よりグレードの高いラウンジが「プライオリティ・パスで入れる空港ラウンジ」になります。

海外旅行傷害保険の利用

社長や役員であると、海外出張する機会があります。そうしたとき、旅行保険に入らなければいけません。海外でケガや病気をしたとき、旅行保険がなければ高額な医療費を支払うことになります。

ただ、クレジットカードに付いてある海外旅行傷害保険を利用すれば、旅行保険に別途入らなくても問題ありません。これだけで、何千円も節約できるようになります。

ゴールド法人カードやプラチナ法人カードであると、海外旅行傷害保険が自動付帯になります。つまり、クレジットカードをもっているだけで旅行保険が勝手に付いてくるようになります。さらにいうと、よりステータス性の高いカードであれば家族特約がつき、家族についても旅行保険が自動付帯されるようになります。

しかも、ステータスカードだと「現地での支払いがないキャッシュレス受診」を利用できます。あなたがまったくお金を支払うことなく、病院を受診できるのです。

海外へ出向き、体調が悪くなったときに最もダメなのが我慢することです。ただ、それなりの法人カードを保有しておけば、海外旅行傷害保険があるので現地の病院を受診するのが怖くなくなります。

新幹線での移動に優れた法人カード

また、飛行機だけでなく新幹線による移動についても考えるようにしましょう。社長や役員であると、新幹線での移動も多いからです。

クレジットカードによっては、新幹線での乗車が非常に有利になるカードを発行できます。こうしたものとして、プラスEXがあります。

法人カードの年会費とは別に、プラスEXを発行するには年会費1,100円が必要です。ただ、プラスEXを発行できる場合は必ず利用したほうがいいです。年会費以上のメリットがあるからです。私もプラスEXは保有しています。

プラスEXを発行すると、JR新幹線のエクスプレス予約を利用できるようになります。エクスプレス予約ではネット予約が可能になり、チケットレスになります。そのため、みどりの窓口で長蛇の列に並ぶ必要がなくなります。

また、自由席と同じ料金で指定席に乗車できます。つまり、指定席に乗車するときにプラス料金が必要ありません。こうした制度があるため、新幹線(指定席)に一回でも往復乗車(2回乗車)すれば年会費分の元を取れます。

また、指定席の予約変更は何回でも無料です。打ち合わせ時間が長引いたとしても、ネット上から予約変更するだけで問題なく乗車時間を移動できます。わざわざ、みどりの窓口に出向く必要はありません。

さらに、長距離移動の場合は3日前までの予約で割引があります。これをEX早割といいます。例えば、以下の区間でEX早割の適応になります。

  • 東京・品川・新横浜~西明石・姫路・岡山・福山・広島・博多など
  • 京都・新大阪・新神戸~小倉・博多

EX早割のある区間の場合、以下のように早割の項目が表示されるようになります。ここから予約すれば、乗車料金がお得になります。

指定席が無料になり、予約変更が何回でも可能であり、長距離移動で割引があるとなると、プラスEXを発行しない理由はありません。

社長・役員がもつべきおすすめビジネスカード

それでは、会社経営者はどのようなビジネスカードを保有するのがいいのでしょうか。これについては、おすすめのビジネスカードが存在します。

何でもいいからゴールド法人カードやプラチナ法人カードをもてばいいわけではありません。年会費だけなく、ポイント還元率の高さやサービス内容まで含めたうえで申し込む法人カードを選ぶ必要があります。

こうしたとき、社長や会社役員におすすめのビジネスカードは以下になります。

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード

ステータス性の高いプラチナ法人カードとして、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードがあります。年会費22,000円とプラチナ法人カードの中では格安です。

プラチナカードなので、「取引先との信用・信頼関係」など対外的な問題はクリアできますし、利用限度額も高くビジネスカードのスペックは問題ありません。

ポイント還元率も非常に高く、還元率1.125%です。非常に素早くポイントを貯めることができるため、カード利用額の多い社長や役員におすすめです。

もちろん、プラチナ法人カードなのでプライオリティ・パスは付いていますし、高額な海外旅行傷害保険補償も自動付帯です。コストパフォーマンスに優れた法人カードです。登記簿謄本の提出が不要なので、創業直後の法人でも審査に通過するクレジットカードとなっています。

三井住友ビジネスプラチナカード for Owners

インビテーション(招待制)なしで保有できる法人カードの中でも、あらゆる優れたサービスを満たしているビジネスカードが三井住友ビジネスプラチナカード for Ownersです。年会費55,000円(税込)のビジネスカードです。

プラチナ法人カードですが、登記簿謄本を提出する必要がありません。社長や役員の個人信用だけが審査され、会社の財務状況は関係ないので設立一年未満や赤字会社でも審査に通過できます。

ただ、スペックは非常に優れています。カード利用枠が高額なのは当然であり、ポイント還元率は0.5%です。プライオリティ・パスは付きますし、海外旅行傷害保険(自動付帯)は家族特約まであります。さらにプラスEXを発行できるので新幹線に有利に乗車でき、タクシーチケットの無料手配も可能です。

また、「2名以上の予約で1名分が無料になる」というグルメクーポンがあるなど、非常に特典内容が豊富です。これらを活用すれば、実は簡単に年会費分の元を取ることが可能です。

飛行機や新幹線、タクシー、レストランを含めあらゆるサービスを含めて活用したい場合、三井住友ビジネスプラチナカード for Ownersを利用すると便利です。

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