日本でビジネスをする人としては、日本人だけではありません。外国の人も存在します。中国や韓国などアジアに限らず、欧米から日本に来てビジネスを展開する人もいます。

このとき、外国人だとビジネスカードを発行してカード決済できるようになるのでしょうか。これについては、問題なく可能です。

ただ、当然ながら外国人の時点で日本人よりも審査基準が厳しくなってしまいます。そのため、事前に必要書類をきちんと集めなければいけませんし、審査基準のゆるい法人カードを選んで申し込むことも必要です。

そこで、外国人が法人カードを作るときに注意するべきポイントについて解説していきます。

海外の人がビジネスカードを発行する理由

どのような人であっても、自分の銀行口座を保有しています。このとき、個人でクレジットカードを使うのであれば、外国人は本国(生まれた国)にある自分の銀行口座と紐づいたクレジットカードを利用すれば問題ありません。

クレジットカードは世界中、どこでも利用できます。特にVisaやMastercardなどの国際ブランドであれば、あらゆる国で決済可能です。しかし、法人カードであると必ず日本国内で発行しなければいけません。

まず大前提として、日本に住んでいて、日本国内でビジネスをする場合は日本の銀行でビジネス用口座を開設するようになります。個人事業主なら事業用口座になりますし、法人なら法人口座を作ります。そうしなければ、日本でビジネスをして得たお金を入金する先がないからです。

そうした後、法人カードを発行します。日本の事業用口座と結びついたビジネスカードを作ることで、カード決済での経費化が可能になるのです。

個人クレジットカードの立て替えは微妙

なお、外国人で法人カードの発行が面倒な場合、「個人クレジットカードを利用したあと、この立替を精算すればいいのでは」と考える人もいます。しかし、この方法はかなり微妙です。

まず、個人クレジットカードでの支払いだと経費化できないケースがたくさんあります。例えば携帯電話の料金を支払うケースでは、会社組織が法人カードで支払う場合、全額を経費にできます。しかし、個人クレジットカードでの立て替えだと半額ほどしか経費計上できません。

そのため節税の観点から、ビジネスカードを作成するのが適切だといえます。

また、日本でビジネスをしていると「稼いだお金を正しく申告し、税金を納めているか」を確認するために税務調査が定期的に行われます。このとき、法人カードではなく個人のクレジットカードで立替払いをしていると指摘される可能性があります。

いずれにしても、日本でビジネスをするときは法人カードが必須です。海外から日本に来てビジネスを開始したら、銀行口座と共に法人カードの作成を考えるようにしましょう。

外国人が法人向けクレジットカードを作る手順

それでは、実際に外国人が法人向けクレジットカードを作るときはどのような流れになるのでしょうか。これについて、まずはどの法人カードを作りたいのかを決めて申し込めば問題ありません。

このとき、一般的な申込書類としては以下のようなものがあります。

  • 自動で記載される申込書(Webからの事前入力により記載済み項目あり)
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の原本またはコピー
  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 補完資料

ビジネスカードの公式ホームページの申込画面に行き、必要事項を記入した後は会社(または自宅)に以下のような書類が届きます。

これが、ネット上から申し込みをすることで送られる「自動で記載される申込書」になります。これに、法人の場合は登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を添付します。

※個人事業主の場合、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)は不要です。

ただ、本人確認書類で外国人の場合は運転免許証をもっていないことが多いです。この場合、本人確認書類としては以下のものについても可能になっています。

  • 在留カード
  • 特別永住者証明書

日本に中長期にわたって在留する人が保有するカードとして、在留カードがあります。以下のようなカードが在留カードです。

日本人だと、一般的に運転免許証を本人確認書類として利用します。ただ、外国人の場合はそうした確認書類を保有していないケースが多い以上、その他の本人確認書類を利用しなければいけません。このとき重要になるのが在留カードなのです。

なお、在留カードについては裏面もコピーして本人確認書類として提出するのが基本になっています。

滞在期間が短い外国人や単なる留学では法人カードを作れない

なお、このとき日本への滞在期間が短かったり、単なる留学であったりする場合は法人カードを作ることができません。

滞在期間が6ヵ月以内など短い場合では、そもそも銀行口座を作ることができません。そのため、ある程度は長く日本に滞在する外国人が対象になります。これについては、いろんな銀行の公式サイトで明記されています。

また、留学などで訪れている外国人の場合、日本の在留カードには「就労不可」と記されます。一般企業で働くことすら許可されていない外国人にも関わらず、自らビジネスをしてお金を稼ぐのは不自然です。

もちろん、ネットビジネスで転売などをしてこっそり副業を行うくらいであれば特に問題はありません。ただ、個人事業主や法人として本格的にビジネスをするとき、「就労不可の外国人がビジネスカードを発行する」となると、どう考えても不都合です。

そのため、日本でのビジネス活動を許可されていない外国人だと法人カードを作ることができません。

もちろん日本でビジネスをしたいのであれば、そのための手続きを必ず事前に完了する必要があります。そうした手続きを踏んだ後であれば、起業して問題なく事業をすることができるため、その後にビジネスカードの発行を考えましょう。

審査基準のゆるい法人カードへ申し込む

さらに外国人の場合、必ず確認するべきポイントがあります。それは、「審査の甘い法人カードかどうか」という点です。

ビジネスカードを発行するとき、日本人であっても一般的に審査は厳しめになります。会社は倒産確率が非常に高く、クレジットカード会社が大きな痛手を背負うケースが多いからです。

これが外国人になると、さらに審査は厳しくなります。「会社経営が難しくなったとき、本国へ逃亡する」などのケースは実際にありますし、外国と日本では文化が大きく違ってビジネスでの失敗リスクも高いからです。

そのため、必ず審査基準のゆるい法人カードを選ぶようにしましょう。このとき、日本でビジネスカードを作るときは「会社の状況」「法人の代表者」の2つが審査の対象になります。

ただ、法人カードの中には「会社の状況などを審査対象にしていない」など、審査が非常に甘くなっているケースがあります。そこで、このような法人カードを選んだうえで申請しなければいけません。

日本でビジネスをするときに作るべきクレジットカード

海外の人が日本でビジネスを展開することを考える場合、必要になるものが法人カードです。ただ、どのようなビジネスカードが外国人にとって優れているのか見当がつきません。

ポイント還元率やスペックなどを考えるのは重要であるものの、まずは「法人カードを発行できる」ことが外国人にとって最重要になります。当然、日本でビジネスをしても問題ないビザを取得しておく必要はありますが、そうした諸問題をクリアした後は審査の甘い法人カードへ申し込むようにしましょう。

このような法人向けクレジットカードとしては、主に以下のようなビジネスカードがあります。

三井住友カード ビジネスオーナーズ

クレジットカードの中でも、初心者向けで作りやすい法人カードが三井住友カード ビジネスオーナーズです。

ビジネスカードにも関わらず、法人で登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の提出が不要です。これは個人事業主や法人の外国人を含め、多くの人に利用してもらうためでもあります。

そのため、どうしてもクレジットカードの審査が心配な外国人は三井住友カード ビジネスオーナーズに申し込みましょう。年会費は永年無料であり、カード利用枠~500万円(所定の審査あり)の法人カードとなっています。

還元率は0.5%と普通ですが、新幹線や電車代の割引があるなどその他のサービスも優れている法人カードです。そのため、使いこなすことで日本でのビジネスをしやすくなる法人カードでもあります。

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード

プラチナカードではあるものの、個人事業主や法人を含め審査基準が非常に低いビジネスカードがセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードです。

ビジネス実績のない外国人でも問題なく申し込むことのできる法人カードでもあります。

プラチナカードなので内容は優れており、非常に高額な限度額が用意され、さらには優れた海外旅行保険が付きます。空港のよりグレードの高いVIPラウンジも活用できます。また年会費は22,000円であり、プラチナカードなのに低めです。

さらに、ポイント還元率が1.125%と最高水準なのも魅力的です。こうしたプラチナカードがセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードです。

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